「ところで、かつて子役だっと云うそのお知り合いの方は、今は何をなさっているんですか?」
それだけはちょっと気になったので、訊いてみた。
「そいつさ、高校に入ってからミュージシャンに憧れて、仲間とバンド組んで活動を始めたんだ」
「ミュージシャン」
「そいつはヴォーカルでね。自分達でCD出したり、PV撮ったり、そこそこファンも付いたりして、けっこう順調にやってたらしいけど、結局最後は仲間割れし . . . 本文を読む
そこへ、パンパンに膨らんだショルダーバッグを肩に引っ掛けた母親と、やけに大人びた服装をした小学校低学年くらいの娘とが、僕たちの前を通り過ぎて行った。
母親は、やはり使えないらしいスマホに指を頻りに走らせながら、「これじゃオーディションに間に合わないわ…」などと焦りまくっていた。
そのオーディションとやらを受ける当人であるらしい娘の方は、“もう終わった”、みたいな表情(かお)。
そんな母娘が改 . . . 本文を読む