迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

陰陽-カゲヒナタ-13

2012-05-13 21:26:27 | 戯作
やがて、誰かに肩を軽く揺すられて、僕は意識を取り戻した。 ハッと頭を上げると、中年の男性が、 「電車、動き出したみたいですよ」 と声を掛けながら通り過ぎて行くところだった。 「あ、ありがとうございます。すみません…」 僕は茫としたまま立ち上がり、辺りを見た。 それまでコンコース外から凄まじい勢いで聞こえていた風の音は止んでいた。 うたた寝の間に、ピークは過ぎたらしい。 “大変 . . . 本文を読む
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