近頃の新築住宅は、玄関も窓も狭小なシロモノばかりなのが、どうも私には氣になる。
勝手口のやうな玄関、
申し訳程度の、空気穴のやうな窓──
四方がほぼ壁で、まるで物置きか倉庫、或ひは要塞のやうだ。
ヒトが住んでゐると云ふより、ヒトが収納されてゐる、と云ったはうがよいやうな。
玄関扉を小さくし、窓も小さくして數を減らしてゐるのは、氣密性を高めるため、またドロボウの侵入を防ぐため、と聞く。
ドロボウの侵入路を断つと云ふことは、逆に屋内で何か事故が發生した時、住人の逃げ道も断たれると云ふことになる。
また、気密性の高い家屋は外氣中を浮遊する“外敵”に對して体の免疫力を低下させ、重度のアレルギー体質を生む温床となってゐることは、すでに研究者によって指摘されてゐるところだ。
これは私の素人考へだが、人災疫病の家庭内感染は、かうした気密性の高い──言ひ換へれば“換氣性の惡い”現代家屋のつくりも、一因として挙げられらるのではないだらうか。