6400人以上が亡くなった阪神淡路大震災から、28年となる。
震災から二年後に大阪へ移住し、瞬く間な速さで復興を遂げつつ、所々にまだ爪跡を残してゐた神戸の街も見てゐるだけに、私にとっては現在(いま)も遠い對岸の火事ではない。
その後、複數の被災者から當時の經験を聞き、それぞれにそれぞれの物語があったことを知る。
まだ寝てゐる人も多い5時46分、突如として襲った激震の恐怖は、いまも動画投稿サイトで見られる、関西TV局の情報番組のオープニング直後で騒然とする様子が、はっきりと傳へてゐる。
コンクリート建造物がいくつも倒壊し、火煙を吹き、街並みを塗りつぶす有様は、時間が長く經過するにつれて昔になるどころか、却って濃色な現實として私に迫ってくるのは、私も確實に二十八年の年齢(とし)を重ねたゆゑか。
高速道路を營業運転中に震災に遭ひ、奇跡的に助かったバスドライバーの方は、「自分は生かされた」と話しておられる。
人の生死の深淵を思はせる、深い言葉だと思ふ。
經験の深さは時間の經過を超える。
亡くなられたすべての方に、
合掌。