迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

用心をも樂しまん。

2020-06-24 19:05:00 | 浮世見聞記
午前中の靄がかった雨空は昼になるとすっかり晴れ渡り、なれば散歩に出んと支度する。


……が、「さて今日はどのマスクをしやうかな」と、すっかり時世慣れして當然のやうにタンスの抽斗を開けてゐる自分に、つひ苦笑せり。


今日は鎌倉街道“上道”の一部と考へられてゐることを最近になって知った、城の裏手の古道を行くことにする。



と言っても、1キロ半ほど先で寸断されてその先は消滅してゐるので、近くの新道へ逸れなければならぬ。

──さりながら、時代の需要と変遷によって道が途中で消滅してゐる光景に出くわすのも、古道歩きの樂しさなり。



地元の記念館に寄り、“感冒”に関する資料を少し見てから帰城すると、今日確認された東京都の感染者數は五十五人、“夜の街”より日中の勤め人に多く見つかった云々。

今日の數字だけで支那病菌のこれからを速断することは出来ないが、いかにトウキョウといふ街が雑種集合都市であるかを示してゐる、とは言へるだらう。


肝心の為政者は来月上旬に確定するおのれの進退ばかりに関心があるやうで、



「まう少し過ごし方を考へよ」と、「自衛」にかこつけて相変はらず國民の衞生には無関心のご様子。


もっとも、國民の現今の衞生意識にも問題があるのは事實だ。




さて、いつまで「日常が戻りつつある」などと云ふ幻覺を見てゐられるか──


その様子を城から物見せんとの次なる樂しみを見つけ出した、梅雨の晴れ間の一日。





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