迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

板屋を敲く雨の音は盤渉なり。

2018-06-06 19:40:59 | 浮世見聞記
東京も今日、平年より二日はやく梅雨入り。


雨は私の活動をことごとく遅滞させるので、とにかく大嫌ひだ。


学生時代に初めて観るはずだった薪能が雨で中止となり、

山形県へ初めて黒川能の薪能を観に行った時もゲリラ豪雨に悩まされ、

同じく新潟県村上市へ大須戸能の薪能を観に行った日も日中が雨となり、

四月の大須戸能の定期能を観に再び村上市へ出掛けた時は、帰りの列車に乗るまで本降り、

佐渡島へ佐渡寳生の「羽衣」を観に渡った時は帰途に豪雨となり、乗る列車の予定も大幅な変更を余儀なくされ、

旧東海道を探訪中にも行程の途中から大雨となり、さすがに今回はここで切り上げやうかと思ったが、「雨ごときにせっかくの楽しみを邪魔されてたまるか!」と、持ち前の意地っ張りを発揮してその時の目的地まで強行突破──


と、思ひ出すまま並べるうち、「よくもまぁ……」と、しまあには可笑しくなってくる。

もっとも薪能に関しては、初めての時の苦々しい教訓から、雨天時は会場を屋内に移す対策をとってゐる能会だけを選ってゐるので、観損なふことはないのだが……。


まったく降るな、とは言はない。

飲み水に困らない程度の、最低限の降雨で結構なのじゃよ……。







ところで、JR山手線の品川~田町間に開業予定の、西日暮里駅以来49年ぶり、30番目の新駅の名称を、一般公募してゐると云ふ。

2020年の開業予定といふわりに駅名が発表されないので、また揉めてゐるのかと思ったが、さういふことだったやうだ。





いまのところ候補に挙がってゐるのが、


京浜急行と同じく、ご近所の名所から『泉岳寺』。

所在地からとって『高輪』。

海側の地名からとって『芝浦』。


などなど。


また、落語のご当地ネタに因んだ『芝浜』も挙がってゐるとかで、これはなかなか洒落てゐて面白ひと思ふ。


いづれもが、その場所の駅名に相応しく捨て難い。

むしろ、候補が出揃った感がある。

横浜市営地下鉄の「伊勢佐木長者町」駅のやうに、双方を採って折り合ひをつけるやうな気がしなくもないが、年内には発表されるらしいので、だうなるか楽しみではある。


さりながら。

誰のために、そして何のためにやるのか、よく解らない“トウキョウオリンピック パラリンピック”に絡んで新設する駅とはいへ、それにこじつけた駅名や、郊外の新興住宅地じみた安っぽい平仮名片仮名まじりのそれだけは止めて欲しいな、と思ふ。
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