正月休みの賑はひもすっかり落ち着いた大型ショッピングモールで、長葱が盛られた京風ラーメンの昼食をとる。子どもの頃は嫌ひだった長ネギが、いつの間にか食欲をそそる藥味になってゐる。和食系でおネギが無いなんて、いまでは邪道でしかない。子どもの項、母が食事になんでも長ネギを混ぜることにウンザリして、それで嫌ひになったと記憶してゐる。成人する前年に一人暮らしを始めて、自分で好きに食事を摂れるやうになり、もふ . . . 本文を読む
閃きを朝のうちに体現して書き留め、昼には今年最初の回転壽司店へ行く。昨秋に値上げ風潮へ便乗した結果、見事に客足を落とした企業の經營店であることを、皿を見て初めて知る。米(シャリ)と魚(ネタ)に經營の“苦味”が表れてゐて、たぶん次は来ないだらうと思ひながら、最安値130圓と云ふ庶民(わたし)には高額な皿ばかりを狙ふ。令和五年になったらやらうと決めてゐるうちの一つ、宝くじを初めて買ってみる。抽選日がい . . . 本文を読む
正月恒例のお墓参りを済ませて、やうやく正月恒例の軌道に乗る。トウキョウ住まいが地方から戻って来るにはまだ時間があり、街はいくらか静閑を保ってゐるが、“バイ菌持ち”だけはどこにでも徘徊してゐるので、用が済んだらすぐ引き上げるに限る。特急列車に乗り初め。値段に見合った快適な移動は、時期と方向を外す工夫をするだけで、確實に約束される。大勢(ひと)と同じことをするやうなマヌケはゴメンだよ。夕方に散歩へ行く . . . 本文を読む
昼から散歩に出る。いろいろな家族連れを見たりすれ違ったりは、この時期に特有の光景。あのやうに新春の道を歩くことは、これからも私には縁の無いことだらう。驛を覗くと、こちらもヒトの流れが頻繁だ。正月休みにどこかへ行くヒト、行って来たヒト、それらの流れを立って眺めてゐる私と、世界は完全に斷絶してゐる。しかしそれらを眺めながら、今までやらなかった事を今年は實行してみやう、とひとつの抱負を立ててみる。人災& . . . 本文を読む
令和五年(2023年)正月朔日を、日本晴れにて迎へる。朝はまずラジオ放送で、正月だけやたら有り難がられる日本の傳統藝能より、長唄(大薩摩)「矢の根」を聴く。歌舞伎十八番の内「矢の根」の伴奏音楽である“大薩摩”地を編曲したもので、生来の惡聲にさらに磨きをかけた人間國寶が、放送事故スレスレな銅鑼聲でとんだ惡靈退散を聞かせる。夕方頃より、隣町の古刹まで新年の挨拶に行く。閉門時間に近かったからか、参拝者も . . . 本文を読む