孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

地球温暖化  気温上昇抑制の目標達成が遠のく現況 トランプ、「ブラジルのトランプ」という政治要因も

2018-11-28 22:47:41 | 環境

(米ジョージア州の石炭火力発電所【11月28日 共同】)

【トランプ大統領 地球温暖化にる経済的損失について「信じない」】
アメリカ・トランプ大統領はパリ協定離脱を表明するなど、温暖化防止には否定的な立場をとっていますが、アメリカ政府(NASA=航空宇宙局やNOAA=海洋大気局など13の省庁)は、逆に温暖化に伴う巨大な経済的損失に関して警鐘を鳴ら報告書をまとめています。

****米政府報告書、気候変動に警鐘 トランプ氏主張と矛盾****
米政府は23日、気候変動とその影響に関する報告書「第4次全米気候評価」を発表した。気候変動に伴う米経済の損失は今世紀末までに数千億ドルに達し、最悪のシナリオでは国内総生産(GDP)の10%以上を失う可能性があるとしている。(中略)

米海洋大気局(NOAA)環境情報センターの技術サポート部門責任者、デービッド・イースターリング氏は、(中略)「世界の平均気温は近代文明が経験したことのない高さと上昇ペースになっている」と指摘。こうした温暖化傾向は人間の活動によってしか説明できないと述べた。

温室効果ガスの大きな削減が実現しない場合、産業革命以前と比べて気温が今世紀末までに5度以上上がるという。

報告書は13の連邦機関から集めたチームがまとめた。代表的な科学者300人を含む1000人の支援を受けそのうち約半数は政府外からの支援だった。

報告書の内容は、気候変動をでっち上げだとするトランプ大統領の主張と食い違っている。トランプ氏は21日、一部の国民にとってこの100年で最も寒い感謝祭になるとの見通しに触れ、「地球温暖化はどうなったんだ?」ツイートしていた。

報告書によると、気候変動に伴うコストは年間数千億ドルに上る可能性がある。米南東部だけでも、異常な暑さで2100年までに5億時間の労働時間が失われるとみられている。

農家に対する影響は特に大きく、高温化や干ばつ、洪水により全米で作物の量や質が落ちるという。熱ストレスによる生産性の低下、海洋の酸性化に伴う貝類の死滅での経済損失も指摘されている。

健康面では、高温化による死者が増加する見通しで、中西部では2090年までに早死にする人が年間2000人増えるとしている。蚊やダニを媒介する病気の増加、ぜんそくやアレルギーの悪化、食品や水由来の疾病リスクも挙げられている。特に夏の高温は、子どもや高齢者、経済的困窮者などの病気や死亡を招く恐れがあるという。

自然への影響では、山火事で年間焼失する面積が2050年までに現在の6倍に増え、ハワイやカリブ海では高温により安全な飲み水が脅かされると指摘。海面上昇や高潮も発生し、華氏100度(摂氏約37.8度)を超える日が増加する。

今世紀中頃には北極の海氷が夏の終わりに全て解け、永久凍土の融解を誘発。さらに多くの二酸化炭素やメタンガスが放出される結果となり、温暖化を加速させる可能性があるという。

報告書は政策担当者に情報提供する目的で作成され、対応策に関する具体的な提言は記載されていない。ただ、米国が直ちに化石燃料の使用や温室効果ガスの排出を削減すれば、多くの人命を救い経済的に巨額の利益を得られる可能性を示唆している。【11月24日 CNN】
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この米政府報告書に対し大統領は「信じない」とのことです。

****“温暖化で深刻な経済的影響” トランプ大統領「信じない」****
アメリカのトランプ大統領は、政府がまとめた報告書で地球温暖化によって経済的に深刻な影響が出る可能性があると指摘されたことについて、「信じない」と述べ、地球温暖化対策に否定的な立場を改めて鮮明にしました。(中略)

トランプ大統領はホワイトハウスで26日、これについて記者団から問われ、報告書の一部を読んだとしたうえで、経済的な影響については「私は信じない」と述べました。

そのうえで報告書について「アメリカについて言及したものだが、中国や日本などアジアの国も含めるべきだ。われわれはかつてないほど環境にやさしいが、地球のほかの場所もやさしくなければならない」などと持論を展開しました。(後略)【11月27日 NHK】
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どうして、この場面で中国と並んで日本の名前があげられるのかよくわかりません。
それにしても、13省庁がまとめた報告書を「信じない」で一蹴するというアメリカ大統領制という政治体制(トランプ大統領個人の問題か?)も日本的感覚でよく理解できなものがあります。

「信じない」理由はなんでしょうか?

トランプ大統領は27日、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ等の金融政策を「間違っている」として、「FRBは間違いを犯している。なぜなら自分には直感がある。自分の直感は時として、誰かが頭で考えて話すことよりも多くのことを教えてくれる」【11月28日 ロイター】と述べています。

温暖化を「信じない」理由も“直観”でしょうか?今年の感謝祭が寒かったからでしょうか?
確かに温暖化については、異論もありますが、多くの科学者・専門家が支持する説を否定するなら、せめてその根拠を示してもらわないと困ります。トランプ氏個人の“直感”で、地球全体の将来を決めてもらっても困ります。

【より厳しい対応が求められるなかで、CO2総排出量が4年ぶりに増加】
トランプ大統領の“直観”はともかく、国連はパリ協定目標達成に向けて以下のように発表しています。

****温室ガス30年に25%減必要 パリ協定目標達成で分析****
今世紀末までの気温上昇を2度未満に抑えるパリ協定の目標達成には、2030年の世界の温室効果ガス排出量を17年と比べ25%削減する必要があるとの報告書を国連環境計画が27日、公表した。

横ばいだった世界の排出量が17年は増加に転じたとみられ、このままではパリ協定の目標達成は極めて難しいと指摘している。
 
12月2日からポーランドで開かれる国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議で排出削減目標の引き上げも議論される予定で、各国に地球温暖化対策の強化を呼び掛けた。
 
20年に始まるパリ協定は産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指す。【11月28日 共同】
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気温上昇を1.5度未満に抑えるためには、2030年の世界の温室効果ガス排出量を、現在よりも55%削減しなければならないそうです。

しかし、現実には上記記事にもあるように、“世界の排出量が17年は増加に転じた”とのことで、目標達成は非常に困難にも思われます。

****世界のCO2総排出量、4年ぶりに増加=国連****
環境問題に取り組む国連総会の補助機関、国連環境計画(UNEP)は27日、2018年度版の「排出ギャップ報告書」を発表した。

UNEPは報告書で、世界の二酸化炭素(CO2)総排出量が4年ぶりに増加したと説明。気候変動に対する国際的な取り組みが、目標とする水準に達していないと指摘した。

報告書は、2017年の排出量増加について、経済成長が要因と説明。一方で、各国による炭素排出量の削減努力は行き詰まっているとの見方を示した。

2015年に採択された、気候変動に関する「パリ協定」が定めた目標を達成するには、世界のCO2排出量を2020年までに減少へと転じさせるのが重要となると、報告書は書いている。

しかし専門家は、2030年までに減少傾向に変えることさえ、現時点では難しいと指摘する。(後略)【11月28日 BBC】
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気温上昇抑制に関する目標達成のためには、より厳しい温室効果ガス排出抑制に取り組む必要があるとされています。

****地球温暖化、対策上回る速度で進行 国連報告書が警告****
国連環境計画は27日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で定められた目標達成に向けた進捗に関する年次報告書を発表し、現状の温室効果ガス排出量と目標達成に必要な水準との間の差は広がり続けており、人類は気候変動対策でますます遅れをとっていると警告した。
 
これまでの気温上昇幅はわずか1度だが、世界各地では大規模な森林火災や熱波、ハリケーンが増加の一途をたどっている。

このままのペースで行けば気温上昇幅は今世紀末までにおよそ4度に達するとの予測もあり、科学者らは文明の基盤を揺るがす事態になると警鐘を鳴らしている。
 
今年で9回目の公表となる「排出ギャップ報告書」によると、産業革命以前からの気温上昇幅を2度に抑えるためには、2015年のパリ協定で定められた炭素削減量を2030年までに全体で3倍に、1.5度の上昇幅を目指すなら5倍に増やす必要がある。
 
同報告書は、国家レベルでの取り組みが最も不足していると指摘。UNEPの同報告書担当者、フィリップ・ドロスト氏はAFPに対し、「各政府は、自国が決定する貢献を見直し、目標を引き上げる必要がある」と語った。【11月28日 AFP】AFPBB News
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気温が4度上昇したら、日本・アメリカを含む多くの地域で破壊的な変化がおきるでしょう。そうなると、氷河・氷床・凍土の融解や森林の枯渇などを伴って、事態は加速度的に、かつ、手が付けられないペースで悪化していくようにも想像されます。(いつも言うように、そのとき私はもう生きていませんので・・・・、怖いもの見たさで、どんな世界になるのか見てみたい気も・・・)

【止まらないアマゾン森林破壊 「ブラジルのトランプ」就任でさらに加速か】

(ブラジル北部のアマゾンで違法に火が放たれ、燃え広がる熱帯雨林(2009年9月15日)【8月13日 GLOBE+
】)

さらに、懸念される情報も報じられています。
以前から指摘されているところですが、アマゾンの熱帯雨林破壊が止まらないようです。

新たな問題は、そのブラジルの大統領に「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボウソナロ氏が就任することです。
ボウソナロ氏は環境対策においても「ブラジルのトランプ」のようです。

****「サッカー場100万面」相当の森林、1年で消失 ブラジル****
ブラジルの森林破壊が空前の規模に達しており、たった1年間でサッカー場100万面に相当する面積の森林が失われた。環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)が明らかにした。

ブラジル政府の特別調査機関によると、森林破壊は2017年8月~2018年7月に前年同期比で14%近く拡大し、7900平方キロの面積の森林が消失したという。

グリーンピースのブラジル支部で公共政策コーディネーターを務めるマルシオ・アストリーニ(Marcio Astrini)氏は、AFPの取材に「たった1年でサッカー場およそ100万面に相当する森林が破壊されたことになる」と語った。「森林が違法に伐採されているという知らせが伝えられるのは、毎年のことだ」

ブラジルのジャイル・ボウソナロ次期大統領が環境保護規制を緩和するという公約を実行に移せば、事態はさらに悪化する可能性があると、アストリーニ氏は指摘する。

さらに、ボウソナロ次期大統領がテレサ・クリスチーナ氏を農牧・食料供給相に指名したことも、懸念材料となっている。農業関連産業による国会でのロビー活動の先頭に立っているクリスチーナ氏は、牧草地や農地を増やすために、森林伐採の拡大を支持しているからだ。

■アマゾン森林破壊「想像絶する事態に発展する恐れ」も
地球上に残る熱帯雨林の半分以上を占めるアマゾンの熱帯雨林は550万平方キロの範囲に及んでおり、そのうちの約60%がブラジルにある。

だが、アマゾン熱帯雨林は違法伐採および農業、特に大豆のプランテーション(大農園)や牛の牧草地などによる脅威にさらされている。

2004年~2012年には、官民双方で規制を課したことにより、ブラジルの森林破壊のペースは減速していた。だが、ボウソナロ次期大統領は「自然保護地域、先住民保護区を廃止し、環境犯罪を捜査して罰するための権力を弱める」意向を表明していたと、アストリーニ氏は指摘する。

「ボウソナロ次期大統領がこれらすべてを実行し、罪を罰する力を弱めるとすれば、アマゾン森林破壊は想像を絶する事態に発展する恐れがある」と、アストリーニ氏は続けた。【11月28日 AFP】
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植物は光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を排出します。同様に呼吸によって二酸化炭素を排出します。その差分が炭素として固定され木が成長していきます。

木が枯れることで固定された炭素は大気中に放出されますが、通常の森林では新しい木々が育つことでその放出分は再吸収されていきます。しかし、森林破壊によって森林面積が減少すると、伐採(最終的には製品に使用した木材の焼却)による炭素放出だけが進行するということになります。

なお、いつもやり玉にあげられるブラジルのために付加すれば、アマゾンの森林が減少しているのはブラジルだけでなくペルーも同様です(ペルーは“サッカー場20万面分”)。だから構わないという話にもなりませんが。

****ペルーのアマゾン、森林破壊が加速度的に進行中 環境当局****
南米ペルーのアマゾン地域では、2001年から2016年までの間に200万ヘクタール近くの森林が消失し、年間12万3000ヘクタール以上のペースで森林が減少していることが、同国環境省が8日に公表した統計データで明らかになった。
 
環境省の森林保全計画を統括するセサル・カルメット氏はAFPの取材に対し、農業、畜産、違法伐採、鉱物違法採掘、麻薬密売などが森林破壊の主な原因となっていると語った。(中略)

環境情報サイト「モンガベイ」によると、2017年にも急速な森林破壊が続いており、「サッカー場20万面分に相当する」14万3000ヘクタールに及ぶアマゾンの森林がペルーの地図から消え去ったことが衛星画像で明らかになっているという。(後略)【5月9日 AFP】
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プラスチックごみによる海洋汚染を防ぐにはリサイクルよりは焼却?

2018-09-10 23:18:49 | 環境

(太平洋のプラスチックごみを回収するための巨大な浮遊装置(オーシャン・クリーンアップ提供)=米カリフォルニア州で、AP【9月10日 毎日】)

【「太平洋ゴミベルト」の回収始動
最近話題になることが多い「プラスチックごみ」については、6月5日ブログ“プラスチックごみ対策  欧米のストロー禁止より急務なアジア・アフリカにおけるゴミ回収システム”でも取り上げたことがあります。

一番問題視されているのは、プラスチックごみが最終的に海洋に投棄され深刻な海洋汚染を引き起こしていることで、海流の関係でプラスチックごみが集積する「太平洋ゴミベルト」と称される海域があるそうです。

****プラスチックだらけ! 世界中のごみが流れ着く「太平洋ゴミベルト」は本当にひどかった****
「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる160万平方キロメートルを超える北太平洋上の海域には、大きな潮の流れに乗ってプラスチックごみが集まってくる。

オランダのNPO「オーシャン・クリーンアップ」の研究者たちは、飛行機を使って上空から観察したり、ボートを使ってこの海域を調査した。

その結果、この海域に漂うプラスチックごみの量が急増し、これまで考えられていたよりも16倍多い可能性があることが分かった。

海に捨てられたり、川から海に流れ出た全てのプラスチックごみは、その場で沈むか潮に流される。こうしたプラスチックごみの大半は、最終的に「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる大きな海域へと運ばれる。

その大きさは、スペインの面積の3倍以上、トルコあるいはアメリカ・テキサス州の2倍以上だ(日本の面積の4倍以上)。(中略)

太平洋ゴミベルトは上空から一見すると、ただの大海原のようだ。しかし実際には、世界中のごみが集まってきている。これらのごみは、海の生き物にからまったり、それを食べ続けることで、生き物の命を奪ったり、わたしたちの食料供給に影響を及ぼすほど体内に蓄積されている。

プラスチックは毎年、3億2000万トン以上生産されている —— 相当量が最終的に海に行き着き、その大半は太平洋ゴミベルトのような海域にたまっているのだ。(中略)

若き起業家ボイヤン・スラット氏が立ち上げたオランダのNPO「オーシャン・クリーンアップ(Ocean Cleanup)」は、一部で異論も出ている手法によって、太平洋ゴミベルトのごみを回収しようとしている。また、ゴミベルトの問題の規模についても研究を進めている。(中略)

彼らが注目したのは、世界に5つある巨大な旋回(環流)の中でも、最も大量のプラスチックごみが潮の流れによって世界中から運ばれてくる海域だ。その大きさは、160万平方キロメートルを超える。(中略)

この結果から、太平洋ゴミベルトには少なくとも1兆8000億個、7万9000トンのプラスチックごみがあると推計した —— プラスチックごみは日々、この瞬間にも増えている。(中略)

しかし、これらの推計も、この海域のプラスチックごみの量を実際より大幅に少なく見積もっている可能性がある。なぜなら、調査は北太平洋旋廻の全体ではなく、その「一画」でのみ実施された。

また、多くの研究者たちは、はるかに大量のマイクロプラスチックのごみが、海中のより深いところにあると考えている。

オーシャン・クリーンアップは、この「一画」にあるプラスチックごみを回収する計画を進めたいと考えている。だが、多くの研究者は、そもそも海にプラスチックごみを捨てるのを止め、海を汚さないことが最善策だと考えている。【4月1日 BUSINESS INSIDER】
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“海にプラスチックごみを捨てるのを止め、海を汚さないことが最善策”であることは間違いありませんが、なかなかそうした取り組みが進まないのであれば、また、すでに深刻な汚染が生じていることから、スラット氏の計画する回収事業は有意義なことでしょう。(5年間で半減できるとか・・・・計画では)

特に、「太平洋ゴミベルト」が存在するということは、考えようによっては非常に好都合な話です。広く海洋に拡散するのでなく、ある地域に自然がごみを集めてくれているのですから、その地域で集中的に回収すれば、非常に効率的に回収が可能になります。(「ゴミベルト」が存在しなければ、広い海洋全体からの回収は不可能でしょう)

各紙が報じているように、上記“若き起業家ボイヤン・スラット氏”(2013年にボイヤン・スラット氏が「オーシャン・クリーンアップ」を立ち上げたのが18歳のとき! すごい行動力です)のプラスチックごみ回収事業がスタートしたとのことです。

****海のプラごみ回収装置、太平洋へ出航 オランダのNPO****
海に漂流するプラスチックごみが世界的に問題になるなか、オランダのNPOが、海のプラごみを回収する装置を開発した。8日、この装置が米西海岸のサンフランシスコから、実験と回収のため太平洋に向けて出航した。漂流プラごみの回収装置は世界で初めてだという。
 
開発したのは、オランダのNPO「オーシャン・クリーンアップ」。「システム001」と名付けられた装置は、全長600メートルのパイプに深さ3メートルの「カーテン」がつけられている。海面にUの字形に浮かべ、海流や波、風の力でプラごみを集める仕掛けだ。GPS(全地球測位システム)やカメラも備えている。
 
サンフランシスコから約445キロの沖合で2週間の試験をしたあと、さらに約2200キロ離れた米西海岸とハワイの間の「太平洋ごみベルト」に向かう。ここは日本の4倍にあたる面積に、1兆8千億個ものプラごみが集積するとされる海域だ。

集めたプラごみは船で回収し、サンフランシスコに陸揚げしたあと、欧州に送り、リサイクルする。回収したプラごみを初めて陸揚げするのは半年後の予定だ。(中略)
 
今後2年間で装置を60個に増やし、5年間でこの海域のプラごみを半分にするという目標を掲げる。
 
当初は長崎県対馬沖で実証試験を行う予定だったが、技術や予算的な制約から断念した。「日本の人たちの支援に感謝している。将来、日本の海域に装置を設置できるようにしたい」と話した。【9月10日 朝日】
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拡大する使い捨てプラスチック製品の使用規制 消極的な日本への批判も
一方、“海にプラスチックごみを捨てるのを止め、海を汚さない”ための規制は、形の上では最近急速に進展しています。

****使い捨てプラ製品規制拡大 世界60カ国超が禁止・課金****
レジ袋や発泡スチロール製食器など、海洋汚染を引き起こす使い捨てプラスチック製品の生産を禁止したり、使用時に課金したりする規制を導入済みの国・地域が、少なくとも67に上るとの調査結果を国連環境計画(UNEP)が30日までにまとめた。

日本はスーパーが個別にレジ袋を有料化する例などがあるが、国として使い捨てプラスチック製品を禁止したり課金したりする規制はない。

今月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でもプラスチックごみ削減の数値目標を盛り込んだ文書に署名せず、取り組みの遅れが鮮明になっている。【6月30日 共同】
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上記記事以後も、連日のように規制を設ける国・地域のニュースが報じられていますので、上記の“67”という数字はさらに増えているのではないでしょうか。

ニュージーランド プラスチック製レジ袋禁止へ【8月10日 NHK】
仏、来年からリサイクル不可のプラスチック包装材使用に罰金【8月13日 AFP】
<ブルンジ>ポリ袋使用禁止、大統領が署名 20年から施行【8月15日 毎日】

****サンフランシスコ市も禁止条例****
アメリカでは、すでに投棄されたプラスチックごみの回収と合わせて、新たなごみを出さないための対策に関心が高まっていて、小さいためにリサイクルが進まないと指摘されているプラスチック製ストローなどの提供を禁止する動きが広がっています。

カリフォルニア州のサンフランシスコ市では来年7月から、市内の飲食店が使い捨てのプラスチック製のストローやコップ、ふた、フォークなどを客に提供することを禁止するための条例が先月成立しました。

これに先だって同じカリフォルニア州のマリブ市がことしの6月から、ワシントン州のシアトル市が7月から、市内のすべての飲食店で使い捨てのプラスチック製ストローなどの提供を禁止する措置にすでに踏み切っています。

また、アメリカの大手コーヒーチェーンのスターバックスは、2020年までに使い捨てのプラスチック製ストローを全面的に廃止するほか、アメリカのハンバーガーチェーン最大手のマクドナルドも年内にアメリカの一部の店舗で試験的に提供をやめる計画を明らかにしています。【9月10日 NHK】
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こうした流れにあって、日本ではあまり規制は進んでおらず、国際的に批判もあるようです。

****海のプラごみ、日本に批判相次ぐ G7文書に署名拒否****
カナダの先進7カ国首脳会議(G7サミット)で日本と米国が、深刻化する海のプラスチックごみを減らすための数値目標を盛り込んだ文書に署名せず、環境団体から11日、「恥ずべきことだ」などと批判が相次いだ。
 
海洋ごみ問題に取り組む環境団体JEAN代表理事は「海から恩恵を享受している日本は、プラスチックごみ問題に率先して対応する必要がある。長年政府と連携して削減に取り組んできた立場として理解できない」と不満を示した。
 
環境団体グリーンピースは「日米が署名しなかったのは恥ずべきこと。必要なのは業界の自主規制ではなく、使い捨てプラスチックの禁止」との声明を公表した。【6月11日 共同】
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なお、東日本大震災の津波の影響もあって、前出ボイヤン・スラット氏らが試験的に回収したプラスチックごみを解析した結果、全体のおよそ30%が日本からのものだと見られるとの数字も出ています。【9月9日 NHK】

日本の業界では「欧米諸国ではプラスチック製ストローを埋め立てることが多いが、日本では焼却が中心であり、環境悪化につながっていない」という認識もあって、あまり使用規制が進んでいない現状があります。

【“リサイクル”が引き起こした海洋汚染
一方、日本社会で進んでいるのはプラスチックごみのリサイクル。

では、プラスチックごみの“リサイクル”を進めていけば海洋汚染を防げるか・・・と言えば、必ずしもそうならいようです。

むしろこれまでは、欧州や日本で“リサイクル”されたプラスチックごみが中国に輸出され、中国で投棄されていた、中国が輸入禁止した後は、アジアやアフリカなどにごみ輸出が向かい、そこで海洋に投棄される・・・という実態もあるようです。

****世界最大のごみ捨て場」中国の終焉ー日本のプラスチックごみはどこへいく****
(中略)
世界のごみ捨て場
これまで世界では、とりわけ豊かな国が、環境保護の美辞麗句とは裏腹に、貧しい国にごみを持ち出してきた。
 
環境規制の厳しい先進国では、ごみ処分にともなうコストも高くなりやすい。これは安価にごみを引き取り、規制の緩い開発途上国に持ち出して処分する「ごみの輸出」を促す土壌になってきた。

なかでもプラスチックは、多くの素材以上にリサイクルのコストが高くなりやすい。そのため、世界で回収されたプラスチックごみの14パーセントしかリサイクルされていない。

日本の場合、慶応義塾大学の大久保敏弘教授らのチームによると、プラごみだけで年間500億円分以上が輸出されている。

輸出されたプラごみの多くは、その他のごみと同じく、最終的に開発途上国で投棄されることになる。開発途上国の郊外や貧困層の多く暮らす地域では、海外から運び込まれたごみがうず高く積み上がっている光景や、そのなかからまだ使えそうなものを拾い集める人々の姿が珍しくない。

これら世界のごみの多くを引き受けてきたのが中国だ。(中略)

「もうごみは受け入れない」
(中略)「世界のごみ捨て場」をやめるという中国の方針を、国連環境計画(UNEP)は「我々が汚染を打ち負かすのを手助けする」と評価している。その一方で、中国の決定はごみ輸出国に動揺をもたらした。(中略)
 
そのため、中国に代わる「世界のごみ捨て場」として、ヴェトナム、タイ、マレーシアなどのごみ処理場が活況を呈している。
 
しかし、先述のように、東南アジアの多くの国自身が、中国にごみを輸出してきた。そのうえ、これらの国は中国よりはるかに面積が狭い。したがって、これらの国のごみ処理場が遅かれ早かれ一杯になることは、容易に想像できる。
 
だとすれば、各国はこれまで以上にプラごみ削減に取り組まざるを得ない。(後略)【7月16日 六辻彰二氏 YAHOO!ニュース】
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日本社会が積極的に取り組んでいるプラスチックごみ全体のリサイクルについては、上記のような観点から見直す必要もありそうです。

専門家からは、下記のような「リサイクルを廃止すべし」との意見もあるようです。
素人としては、どのように評価すべきかはわかりかねますが、少なくとも単にリサイクルしたから自己満足的によしとするのではなく、最終的にどのように処分されているのかという点を確認することは必要でしょう。

****海を救え。プラスチックのリサイクルは廃止に****
ミッコ・ ポーニオ(フィンランドの公衆衛生の専門家で、ヘルシンキ大学で一般疫学の非常勤教授を務める)
 
表題は、普通の人にとっては変な響きがあるだろうが、世界の「リサイクル」業界が海洋のプラスチックゴミ問題を大きくしてきたことは悲しい事実である。

私が「リサイクル」をカッコ書きにしたのは、消費者から回収されたプラスッチクのうち実際にリサイクルされているのはほんの一部であるからだ。

回収されたものは汚れがあり、また混合物が多すぎるため、例えば食品包装業界が求めるような高水準の原料を製造することは不可能である。

回収されたプラスチックのほとんどは、単に焼却されるか集積されるかで、土地、河川、そして海に直接投棄されることさえある。(中略)

本当に海を救うことを大事に思うなら、プラスチックや紙のリサイクルは廃止するべきである。焼却処理というわかりやすくて妥当な代替策もある。(後略)

・・・・・解説:国際環境経済研究所 理事長 小谷勝彦・・・・
EUは海洋プラスチック問題に対処すべく、「プラスチック戦略」として、プラスチック・ストローの使用禁止や廃プラのリサイクルを強化しようとしているが、フィンランドの公衆衛生学者Dr.Mikko Paunioが、6月28日、Global Warming Policy Foundation(GWPF)に掲載した論文を紹介した。

「海洋プラスチック汚染の75%は中国等における不法投棄であるが、25%はヨーロッパからリサイクル目的で中国に輸出され、処理できないものが河川、海洋に流れたものである。(中略)

中国政府は、今年1月、廃プラの輸入禁止を実施したが、行き場を失った廃プラは環境規制が緩やかなアジア諸国に流れ込み、かえって海洋汚染を悪化させる。
 
EUの廃プラスチック・リサイクルは、商流として中国等で最終処理を行うシステムであり、今後、EUがリサイクルを強化するということは、再利用できない廃プラの海洋投棄が増大する。」と警告している。

廃プラの処理には、Landfills(埋立)、Recycling(リサイクル)、Incineration(焼却)があるが、環境NPOやブラッセルのEU官僚たちは、Incineration(焼却)を、ダイオキシンなどの大気汚染に加えて、焼却のために燃料を使用することから温暖化面から敵視してきた。

同様に、Landfills(埋立)も温室効果ガスであるメタンを発生することから嫌われており、Recycling(リサイクル)が最も好ましいとしてきた。
 
ところが、2015年までの廃プラの累積処理は、79%がLandfills(埋立)、Incineration(焼却)は12%に対し、Recyclingは9%にとどまっているのが実態である。

現在、高温焼却法の確立でダイオキシン除去は技術的に克服され、燃えにくい生ごみも廃プラを燃料として使うことで、LNGや石炭の使用削減につながることからIncineration(焼却)は実績を上げてきている。さらに焼却灰も溶融化することでLandfills(埋立)での汚染も無くなりつつある。

Dr.Mikko Paunioは、「EU域外への廃プラ輸出を禁止するとともに、温暖化の観点からも問題がないIncineration(焼却)を増やすべき」と主張している。

今後、日本国内でも海洋プラスチック問題が議論されるが、我が国は市民の分別回収の努力に支えられた廃プラの国内法制度を整備してきた。

ところが、現実には、廃プラが有価物として中国に輸出されており、今回の中国政府の輸入禁止で、国内での処理の議論が起こってくるだろう。
 
日本の識者の皆さんに、「EU起因で起こっている海洋プラスチック汚染」の現実を示し、情緒的ではなく冷静な議論を期待する。【7月20日 国際環境経済研究所 理事長 小谷勝彦】
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個人的には、パラノイア的なゴミ分別にはいささか辟易しているので、焼却で問題ないなら焼却で・・・と思ってしまうのですが。

なお、アジア・アフリカのゴミ回収システムが不十分な地域では、ストロー・レジ袋などのプラスチック製品の使用を厳しく制約すべきでしょう。
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猛暑の北朝鮮では「首」をかけた突貫工事 数十年後には致死的な「熱波」が中国を襲うとの予測も

2018-08-04 22:50:20 | 環境
(今回、中国・華北平原に関する熱波予測を行った米マサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究チームは、昨年は南アジアに関しても“地球温暖化に歯止めをかけるための対策を何も講じなければその高気温と高湿度がさらに進み、今世紀末までに人が生存できないレベルに達する恐れがある”とする研究結果を出しています。

上記写真は、水路で暑さをしのぐ人々。パキスタン・ラホールで(2017年6月4日撮影)【2017年8月3日 AFP】

何やら楽しそうですが、事態が進むと下記のような状況にも。

http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/150.html】)

世界各地を襲う猛暑
昨日(7月3日)は名古屋市で40.3度の最高気温を記録し、観測史上初めて40度を超えるなど、連日“猛暑”が続いています。もう、37度や38度は当たり前・・・といった感も。

私が暮らす鹿児島は、南国ながらも35度を超えることはあまりなく、40度の暑さというのは想像できません。

もの暑さは日本だけでなく、世界各地から“猛暑”のニュースが伝えられています。
欧州ポルトガルでは、45度を超えたとか・・・。

****欧州も猛暑 ポルトガルで45度超****
世界各地で猛暑となる中、ヨーロッパでも40度を超える日が続いていて、このうちポルトガルでは、45度を記録しました。現地のメディアは、ヨーロッパの最高気温の記録がおよそ40年ぶりに更新される可能性もあると伝え、住民や観光客に注意を呼びかけています。

ヨーロッパでは、アフリカから吹き込む高温の空気の影響で、各地で40度を超す猛暑が続いていて、このうち、ポルトガル中部の都市、アルベガでは、2日、45度2分を記録しました。

首都リスボンでも、3日に42度を記録し、郊外のビーチでは涼を求めて多くの人が訪れ、海水浴を楽しんだり、パラソルの下で休んだりするなどしてにぎわっていました。

また、スペインでも、3日、45度に迫る厳しい暑さとなり、道路工事の作業員など3人が熱中症で死亡しました。

ヨーロッパで、これまで最も高かった気温は1977年にギリシャのアテネで観測された48度で、現地のメディアは、週末にかけてさらに気温が上がることが予想されることから、この記録が41年ぶりに更新される可能性もあると伝えていて、住民や観光客などに対して、注意を呼びかけています。【8月4日 NHK】
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“海水浴を楽しんだり、パラソルの下で休んだり”で済むならいいのですが。

北朝鮮 農作物被害も 猛暑の中、命がけの突貫工事
日本を含む東アジア各国も、記録的な暑さとなっています。

核廃棄への対応が注目されている北朝鮮も首都平壌で8月1日、37.8度を記録、全国的に農作物被害が拡大しているようです。

****ここも40度超え! 北朝鮮が記録的猛暑で農作物に被害、食糧不足深刻化か****
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は2日、記録的猛暑で農作物が打撃を受けているとして「総力をあげて戦う」と宣言した。

猛暑による干ばつで「前例のない自然災害」が起きており、持てる力をすべて挙げて対抗すべきだと呼び掛けている。

北朝鮮では7月末以来、一部地域では気温が40度を超すなど記録的猛暑となっており、コメやトウモロコシといった農作物に被害が出始めている。

労働新聞は「秋に豊作となるかどうかは、今の熱波や干ばつを克服できるかどうかにかかっている」と訴えた。

同様の警告がすでに何度か行われており、国内の結束を呼び掛けるとともに、海外援助を求める意図もあるとみられる。

脱北者で北朝鮮問題専門家のキム・ヨンヒ氏は、たびたび異常気象に関する報道があることについて、自然災害への対応に限界があることを示していると指摘した。

北朝鮮では核問題を巡る経済制裁ですでに食糧不足が起きている。【8月3日 Newsweek】
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「今年の高気温はかつてない自然災害だが、克服できない困難ではない」(朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」)とのことですが【8月4日 AFPより】、灌漑等のインフラが脆弱でしょうから、そう言われても・・・・。

猛暑による農業被害・食糧不足の深刻化となると、思わぬところから核問題への対応に影響する可能性もあります。

金正恩朝鮮労働党委員長は、この暑さの中、精力的に視察に励んでいるとか。

****正恩氏、猛暑の中視察=トロリーバスに試乗―北朝鮮****
北朝鮮の朝鮮中央通信は4日、金正恩朝鮮労働党委員長が「例年にない暑さ」の中、平壌のトロリーバス工場やバス修理工場を視察したと報じた。具体的な日時は伝えていないが、これら工場の現地指導は1月以来という。

厳しい制裁の下、人民の生活向上に配慮する姿勢を強調する狙いがあるとみられる。

正恩氏は新型トロリーバスに試乗し、「前回よりも内装の質などが向上し、騒音や振動が減った」と評価した。また、「老朽化した大衆交通手段を利用せざるを得ないわが人民に、不便な思いをさせた。タクシーが増えるのを見るたびに心が重かった」と心情を吐露、「今や展望が開け、本当に満足だ」と述べたという。【8月4日 時事】
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暑さの中、金委員長を迎える方は大変でしょう。
かねてより健康不安も伝えられる金委員長も、健康面へのダメージも懸念されています。

ただ、この猛暑の中で決められた工事期限をクリアしなければならない現場はそれどころではありません。文字どおり“首”がかかっています。

****金正恩氏の猛暑対策「昼に寝て夜に働く」でも効果なし****
(中略)
「首」を取られる心配
北朝鮮当局は、最高指導者の健康維持に万全を期しているものの、普通の人と同じトイレを使えないなど特殊な生活環境にある上、このところ建設現場や工場の視察を精力的に行っている金正恩氏だけに、猛暑からダメージを受ける不安はぬぐえない。

不安なのは、金正恩氏の健康だけではない。同氏は今年9月9日の建国70周年、そして10月10日の朝鮮労働党創建73周年を飾る様々な建築プロジェクトを進めているが、猛暑のせいで完成が遅れそうだというのだ。

デイリーNKジャパンの取材の取材に答えた平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋によると、「猛暑による熱射病で、今の病院の施設では収容しきれないほど多くの人が倒れている」有様だとのことだ。

さすがの金正恩氏も猛暑被害の報告に焦り、午前11時から午後4時までの野外作業を中止するように指示を下した。この指示は、先月18日に朝鮮労働党の中央、各地方の組織、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の各部隊に伝えられた。

指示に基づき、20日から建設、農業部門の労働者の作業時間、兵士の日課生活時間が変更され、作業時間は午前5時から11時、午後4時から6時までの8時間となった。

建国記念日に向けて建設が進められている咸鏡北道(ハムギョンブクト)の漁郎川(オランチョン)第5発電所。

北朝鮮メディアは先月、金正恩氏が現場を訪れて問題点を指摘、幹部を叱責したことを報じた。それもそのはず、現地の情報筋によると、まだ外壁の工事すら終わっていない状況だというのだ。

「一部施設の竣工は8月30日に予定されているが、暑さで昼間は作業が全くできない状況だ」(情報筋)

8月15日まで続くと予報されている猛暑のせいで工期が遅れれば、金正恩氏から厳しいダメ出しを食らった幹部らは、クビを飛ばされかねない状況だ。いや3年前に処刑されたスッポン養殖工場の支配人のように、本当の意味で「首」を取られかねない。

そこで現場では、昼を就寝時間にあてて、暑さが幾分やわらぐ夜に作業を行う措置が取られている。

本来、漁郎や清津(チョンジン)など咸鏡北道の海岸部は、オホーツク海高気圧の影響を受け、夏でも比較的冷涼な日が続く。韓国気象庁の天気予報によると、6日から13日までの清津(チョンジン)は最低気温20〜22度、最高気温28〜29度が予想されている。

平壌など他の地方と比べると涼しいが、これでも例年よりかなり高いのだ。そのせいで、夜の作業でも倒れる労働者が続出しているという。

「冷房がないため、昼間は暑くて寝られず、後方供給もまともに行われていないので、建設労働者はきちんとした食事もとれない。そんな状況で建設現場に追いやられている。そのため、涼しい夜の作業でも毎晩数百人が倒れている」(情報筋)

これは、党創建日までの完成を迫られている建設現場だけの問題ではないと情報筋は語る。わずかばかりの小銭を稼ぐために市場で商売している庶民の中にも、熱中症などで亡くなってしまう人が少なくないとのことだ。

北朝鮮では従来から、金日成・正日親子の誕生日や政治的に重要な日に成果として発表するために、無理やり工期を短縮する突貫工事「速度戦」が繰り返されている。

「中身はともかく、とりあえず速くできればいい」という考え方が蔓延しているのだ。そのうえ、実績作りばかり考えている幹部の「過剰忠誠」も相まり、事故が多発しているのである。【8月4日 デイリーNKジャパン】
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2070〜2100年に生存不可能なレベルの熱波が中国を襲うかもしれない
“本当の意味で「首」を取られかねない”北朝鮮の工事現場も大変ですが、もっと恐ろしい予想が出ているのが中国。

「2070〜2100年に生存不可能なレベルの熱波が中国を襲うかもしれない」とのこと。

****生存不可能なレベルの「熱波」、今世紀末の中国を襲う可能性****
2018年8月2日、環球時報によると、英紙ガーディアンは1日、「2070〜2100年に生存不可能なレベルの熱波が中国を襲うかもしれない」と報じた。

致命的なほどの熱波が襲うと予想されるのは、中国北部の華北平原一帯。世界で最も人口が密集する地域の1つであり、中国にとって最も重要な食料生産地でもある。

その原因は気候変動だ。二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らさなければ、ほんの数時間さらされるだけで人を死に追いやるような熱波が同地域を繰り返し襲うかもしれないという。

こうした予測をしたのは米マサチューセッツ工科大学(MIT)のエルファティ・エルタヒル教授。気温だけでなく湿度も考慮した湿球温度の指標を用いて予測した論文を専門誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。

温室効果ガスの最大排出国であり、世界最大の人口を要する中国の最も人口が密集する地域が最大の影響を受けることになり、その居住可能性にも影響が生じることになると指摘されている。すでにその痕跡は現れており、50年前から強い熱波の発生が明らかに増えているという。

エルタヒル教授は、中国は温室効果ガスの排出を抑制するとともに、人々の健康への対策を進める必要があると注意を促している。【8月3日 レコードチャイナ】
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気候変動のもたらす影響に加え、“華北平原は、中国最大の沖積平野で、人口およそ4億人を擁する人口密度の高い地域であるとともに、灌漑農業が盛んなエリアでもある。とりわけ、集中灌漑は、温度と湿度を上昇させ、より厳しい熱波をもたらすことがあるという。”【8月2日 Newsweek】という灌漑農業による大気中水蒸気変化などを定量化した数値モデルによる予測のようです。(あくまでも、ひとつの数値モデルですが)

“この研究チームでは、2015年10月に、カタールのドーハ、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ、ドバイなど、ペルシャ湾岸地域で2050年以降に厳しい猛暑が襲う可能性を指摘しているほか、2017年8月には、インドやパキスタン、バングラデシュといった南アジア地域でも数十年以内に厳しい猛暑が始まるとの予測を示していた。しかしながら、華北平原で予測されている猛暑は、ペルシャ湾岸や南アジアよりもリスクの高いものだと警告している。”【同上】

中東ペルシャ湾岸でも、南アジアでも、さらに深刻な事態が中国・華北片言でも・・・ということで、要するに、世界中で熱波が猛威を振るい、人が住めなくなる・・・・ということのようです。

温暖化防止のパリ協定を離脱したトランプ大統領は、この中国への破滅的な影響を狙っていたのか・・・というのは冗談です。おそらく、現在も高温・渇水に悩んでいるアメリカ中西部も同様の惨状になるでしょう。
一方、日本は殺人的熱波に襲われなくても、数十年以内に巨大地震で壊滅的な被害も予想されています。温暖化による海面上昇の影響も。

人類的規模の災難が数十年後に迫っているときに、本来は歴史認識だ何だで互いに足を引っ張りあっている場合ではないのでしょうが・・・現実に災いに直面しないと行動に移せないというのが人間の愚かさです。
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プラスチックごみ対策  欧米のストロー禁止より急務なアジア・アフリカにおけるゴミ回収システム

2018-06-05 23:22:25 | 環境

【http://enigme.black/2015030509】

欧米で進む使い捨てプラスチック製品の使用禁止など
今日、6月5日は世界環境デーということで、先ほどのNHKニュースでも取り上げていましたが、昨今の環境汚染、特に海洋のプラスチックごみによる汚染を象徴する痛ましい話題。

****プラスチック袋80枚飲み込んだクジラ死ぬ タイ南部****
タイ海洋沿岸資源局は2日、フェイスブック上で、プラスチック袋80枚余りを飲み込んだクジラが同国南部で死んだと明らかにした。現地ではこのクジラを回復させるため救助活動が行われてきたが、救命に至らなかった。
 
タイは世界的に見てもプラスチック袋の消費量が特に多く、訪問者の多い海岸の近くで、毎年数百の海洋生物がプラスチック袋を摂取したために死んでいる。
 
DMCRによれば、今回死んだクジラは小柄なオスのゴンドウクジラ。マレーシア国境付近の運河で瀕死の状態で発見され、獣医師らが容体を安定させようとしたものの、1日午後に死んだ。
 
検視の結果、重さにして8キロ、枚数で80枚ものプラスチック袋がクジラの胃に見つかった。また、クジラは救助活動が行われている間に5枚のプラスチック袋を吐き出していた。
 
同国のカセサート大学教員のトン・タムロンナワサワット氏(海洋生物学)は、袋を飲み込んだことでクジラが栄養のある食物を摂取できなくなったと指摘。

AFPに対し、タイの水域では毎年、ゴンドウクジラ、ウミガメ、イルカなど少なくとも300頭の海洋生物がプラスチックを飲み込んで死んでいると述べた。【6月3日 AFP】
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各国、各地域でプラスチック製のストローやレジ袋など、必ずしもプラスチック製である必要がないものを廃止していこうという取り組みが進んでいます。

****<欧州委>ストローなど使用禁止 使い捨てプラ製品で方針****
海洋ごみを減らすため、欧州連合(EU)の欧州委員会は28日、ストローや皿など、一部の使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する方針を発表した。来年5月までに加盟国と欧州議会の承認につなげ、2021年からの実施を目指す。

深刻な海洋汚染を背景に、欧米では使い捨てのプラスチック製品を禁止する動きが急速に進んでいる。
 
欧州委の方針では、使い捨てのプラスチック製品について対象別に規制を定める。ストローやマドラー、皿などの食器類は原則禁止。コップは課金の対象とすることで、使用量の減少を目指す。

ペットボトルについては、加盟国に対して25年までに回収率90%を達成するよう義務づける。また、プラスチックを含む釣り具は、製造者側にごみ回収コストの負担を求める。
 
プラスチックは海洋ごみの85%を占めるとされ、欧州委は今年初め、30年までに包装に使うプラスチックをすべて再生利用可能なものに替える方針を公表。今回は、こうした取り組みをさらに進める意思を示した形だ。
 
EU加盟国の中で取り組みが先行する英政府は今年4月、軸部分にプラスチックを使う綿棒やストローなどの使い捨て製品を来年にも禁止する方針を発表。(後略)【5月29日 毎日】
******************

アメリカでも同様の取り組みが進んでいます。

****飲食店でのプラ製ストロー提供禁止 米マリブ市 主要都市で初****
アメリカ・カリフォルニア州のマリブ市は、海洋汚染を食い止めようと、全米の主要都市としては初めて、飲食店がプラスチック製ストローを客に提供することを禁止する措置に踏み切りました。

美しい海と砂浜で知られるカリフォルニア州マリブ市は1日、市内の飲食店が使い捨てのプラスチック製ストローを客に提供することを全面的に禁止する措置に踏み切りました。

全米の主要都市としては初めてで、市内にある大手コーヒーチェーンは、紙でできたストローに早速切り替えていましたが、対応が間に合わず、ストローを置いていないスムージー専門店もありました。

仮に違反すると、飲食店には最大で500ドル(およそ5万5000円)の罰金が科されます。

環境保護団体などの試算によりますと、アメリカでは毎日、5億本のプラスチック製ストローが使われていますが、小さいためにリサイクルが進まず、海に廃棄されて汚染を招いているということです。

ワシントン州シアトル市も来月1日から、プラスチック製ストローの提供を全面的に禁止するほか、サンフランシスコとニューヨークの市議会にも同様の措置を盛り込んだ条例案が提出されています。

また、カリフォルニア州は、客から要請されないかぎり、プラスチック製ストローの提供を禁止するという法案を州議会で審議しており、全米でこうした動きが広がっています。【6月2日 NHK】
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欧米以外でも多くの取り組み 実効をあげていないケースも
欧米だけでなく、5月7日ブログ“プラスチックごみ 各地で減量・清掃等の取り組みもはじまるもの、深刻化する環境汚染”でも取り上げたように、最近旅行したインドのカルナータカ州では、問屋も、小売店も、貿易業者も、プラスチック袋、プラスチック皿、カップ、スプーン、ラップといったプラスチック製品を使用したり、売ったりすることができなくなっているように、アジア・アフリカの途上国でも対応策をとるところが増えているようです。

しかし、実効をあげることなく失敗するケースも。

****プラスチック汚染対策」 全世界50カ国で実施=国連****
全世界で50カ国がプラスチック汚染対策を行っていることが、国連が発表した報告書で明らかになった。

これまでで最大規模の今回の報告では、エクアドル領ガラパゴス諸島では使い捨てプラスチックを、スリランカは発泡スチロールを禁止するほか、中国は生体分解性のレジ袋の導入を予定していることが分かった。

しかし報告書の執筆者は、河川や海に流れ込むプラスチックを減らすにはさらなる施策が必要だと警告。また、多くの国で行われているプラスチックごみの軽減政策は、強制力の低さから失敗に終わっていると指摘している。

(中略)発展途上国では、レジ袋が排水溝に詰まることで洪水の原因になったり、牛が食べてしまったりする。

報告書によると、対策の結果はまちまちだ。カメルーンではレジ袋が禁止され、プラスチックごみを集めると1キロごとに対価が支払われる。しかし、レジ袋はなお密輸されている。
また、いくつかの国では、対策が施行されているものの、強制力が低いという。

報告書には、バショウ科の植物アバカアサからトウモロコシのタンパク質ゼインまで、プラスチックに代わる35種類の素材のアルファベット一覧が掲載された。(中略)

しかし一部の政治家は、こうした代替品の可能性に慎重な姿勢を示している。
自動車燃料向けのパーム油が採れるヤシの木を植えるため、熱帯雨林が伐採されていることが明らかになり、バイオ燃料に対する環境保護活動家らの当初の楽観的な見方は裏目に出てしまった。

(中略)報告書では、プラスチックごみを減らす最も効果的な戦略として、きちんと計画された強制力のある禁止や課税が挙げられている。

一方で著者は、プラスチックメーカーに責任を負わせたり、リサイクル促進のための優遇措置を取り入れるなど、企業との幅広い協力が根本的には必要だとの見解を示している。

各国の取り組みの一例は以下のとおり。
・ボツワナ:小売店にレジ袋の有料化が定められているが、強制力はなく、施策は「失敗」している
・エリトリア:レジ袋を禁止した結果、排水溝の詰まりが劇的に減少した
・ガンビア:レジ袋を禁止したが、「政情不安に陥った後に復活した」
・モロッコ:レジ袋が禁止され、1年間に421トンが押収された。繊維素材のものに置き換えられている
・バングラデシュ:レジ袋が禁止されたが、強制力が欠けている
・中国:2008年以前にはレジ袋を年間30億袋を消費していたが、禁止以降はスーパーマーケットでの利用が60〜80%減った。市場ではなお利用されている
・ベトナム:レジ袋に課税したものの、なお広く使われている。政府は税率を5倍にすることを検討している
・アイルランド:レジ袋への課税の結果、消費量が90%減った
・ケニア:禁止以前は、牛は一生のうちに平均2.5袋のレジ袋を食べていた。現在は全面禁止され、輸入や利用が発覚すると罰金と4年間の禁固刑が科せられる。【6月5日 BBC】
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欧米で100%リサイクルしても海洋に流出するプラスチックの全体量はほとんど変わらない
欧米のプラスチック製ストローやナイフ・フォークの禁止の動きは、それはそれで有意義なことですが、こうした国ではプラスチックごみが路上や川、最終的には海洋に廃棄されることはあまりないでしょう。

(前出【NHK】によれば、小さいストローなどは海に廃棄されるとのことですが・・・・。実際には生ごみと一緒に燃やされることが多いのではないでしょうか。
高温焼却すればダイオキシンなどの問題もあまり大きくないようですから、リサイクルしにくいものは埋め立てよりは燃やした方がよさそうです。分別したあげく海に捨てるのは論外でしょう。)

その意味では、アジア・アフリカなど、そもそもゴミ回収システムが十分に(あるいは、ほとんど)機能していない国々での対応が不可欠でしょう。

私自身は、正直なところこの問題にさほど敏感な方ではありませんが、そんな私でもインドなどを旅行すると、空き地や道路脇を覆いつくすプラスチックごみに「これは何とかしないと・・・」という思いに駆られます。

****プラスチックごみ問題、アジアの責任は****
プラスチックは19世紀後半に発明され、生産が本格化したのは1950年頃のこと。これまでの累計生産量は83億トン。そのうち廃棄されたのは63億トンにのぼるが、廃棄されたなかでリサイクルされていないプラスチックは、実に57億トンもあるという。2017年にこの数字を割り出した科学者たちも驚く状況だ。
 
回収されなかった廃プラスチックがどれだけ海に流入しているか、はっきりした数字はわからないが、絶滅危惧種も含めた700種近い海洋生物に影響を与え、毎年多くを死に追いやっていると推定される。

投棄された漁網にからまるなど、目に見える形での被害もあるが、目に見えない形でダメージを受けている生物はもっと多い。
 
直径5ミリ以下の微小なプラスチック粒子は「マイクロプラスチック」と呼ばれ、今では動物プランクトンからクジラまで、あらゆる大きさの海洋生物が体内に取り込んでいる。

マイクロプラスチックは、深海の堆積物から北極の海氷まで、調査されたあらゆる海域で見つかっている。ある論文によると、北極で氷の融解が進めば、今後10年間に1兆個ものプラスチック粒子が海に流出する可能性があるという。

こうした事態になぜ陥ったのか。
プラスチックほど人々の暮らしを変えた発明品も珍しい。(中略)しかし現在、世界で生産される年間約4億トンのプラスチックのうち、約4割は使い捨てで、その多くは購入後すぐに用済みになる包装材だ。プラスチックの生産量は猛烈な勢いで増えている。
 
背景の一つとして、急成長するアジア諸国で使い捨てプラスチック包装材の利用が増えたことが挙げられる。これらの国々では、ごみの収集システムが十分整備されておらず、そもそも存在すらしていないところもある。
 
フィリピンの首都マニラの都心を流れ、マニラ湾に注ぐパシグ川は、かつては暮らしに潤いをもたらす水辺だった。しかし、今では廃プラスチックを海に運ぶ量で、世界のワースト10に名を連ねている。

河口から海に流れ出すプラスチックの量は、年間で最大6万5300トン。その多くは雨期に集中している。1990年には、生物が生息できない「死んだ川」と宣告された。
 
課題は誰の目にも明らかだ。パシグ川に注ぐ51の支流沿いには、掘っ立て小屋が乱立し、そこに住む大勢の不法占拠者が投げ捨てたプラスチックが川面にあふれている。チャイナタウン近くを流れる支流は廃プラスチックに埋め尽くされ、橋が架かっていなくても歩いて渡れるほどだ。

先進国がいくらリサイクルしても…
米ジョージア大学の工学者ジェンナ・ジャムベックの試算では、2010年の時点で、廃プラスチックの半分はアジアの5カ国(中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、スリランカ)で発生しているという。

「北米とヨーロッパで100%リサイクルしたとしても、海洋に流出するプラスチックの全体量はほとんど変わりません」と言うのは、米国と祖国インドでこの問題に取り組んできた米ミシガン州立大学の化学工学者ラマニ・ナラヤンだ。「この問題に対処するには、これらの国々に出向いて、処理方法を改善するしかありません」【5月31日 NATIONAL GEOGRAPHIC】
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プラスチック製ストローへの対応以上に、アジアやアフリカなどゴミ回収システムが機能せず、国家的な資金力もない国々をどのようにサポートしていくが、プラスチックごみ・海洋汚染問題での実効を決めます。

国際協力という点では、普段何かと問題が多いる韓国、中国、日本、ロシアの協議体制もあるようです。
結構なことで、実効を伴う対策が今以上にとれればもっと結構なことです。

****韓中日ロが海洋ごみ問題で協力協議 釜山できょうから****
韓国海洋水産部は4日、北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)と韓中日環境相会合(TEMM)による海洋ごみに関する合同ワークショップが同日から6日まで、韓国南部・釜山市内のホテルで開催されると伝えた。

NOWPAPに参加する韓国、中国、日本、ロシアの海洋ごみ関連政府機関や海洋水産部、研究機関、非政府組織(NGO)などから60人余りが出席し、各国の海洋ごみ管理状況や域内協力策を話し合う。

(中略)NOWPAPは国連環境計画(UNEP)の提唱により世界の地域海で行われている環境保全行動計画の一つで、東海と黄海を対象とする。1994年に韓中日ロの4カ国が採択した。

同ワークショップは北西太平洋地域の国々が沿岸・海洋資源の持続可能な利用や管理を話し合うため2006年から毎年開かれており、15年からは韓中日環境相会合の海洋ごみ関連実務者会合と絡めて開催されている。【6月4日 聯合ニュース】
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太平洋横断遠泳の難関は「太平洋ごみベルト」】
千葉からアメリカまで、太平洋を泳いで横断することに挑戦している人がいるそうです。(1日8時間ほど泳ぎ、食事・睡眠は随行するボートでとる形のようです)

このチャレンジの最大の難関は、「太平洋ごみベルト」とか。

****千葉から泳いで米国へ、冒険家の新たな挑戦はプラごみとの闘い****
フランス人のベン・ルコントさんは5日、千葉・銚子の海岸からサンフランシスコまで、太平洋約9000キロを泳いで横断する冒険に飛び込んだ。
 
太平洋を泳いで渡る人類史上初の偉業を達成するには、ルコントさんは大波と対峙するだけでなく、サメやクラゲ、さらには「太平洋ごみベルト」の中も泳がなくてはならない。(中略)

途中、最も困難になるとみられているのが、ハワイ州とカリフォルニア州の間に浮かぶ巨大な「ごみの渦」の中を泳ぐことだ。

このごみの固まりは、ほぼテキサス州と同じ大きさで、絡まり合ったプラスチックが非常に危険だという。同海域では、サポートチームが海水サンプルを採取してマイクロプラスチックの蓄積について調査する。(中略)

「自分が幼いときは、父親と浜辺を歩いていてもほとんどプラスチックのごみなんて見なかった。いまは、子どもを連れて行くといたるところにプラスチックが落ちている」(後略)【6月5日 AFP】
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東アジアのどこかで「全廃」されたはずのフロン生産が
プラスチックごみ以外で、気になる環境問題の話題をひとつだけ。

****全廃」フロン、放出が増加 議定書違反、発生源は東アジア****
米海洋大気局(NOAA)は17日までに、オゾン層を破壊する物質であるフロンの一種「CFC11」の放出が2012年以降、増加に転じているとの分析を発表した。

オゾン層を守るための国際条約「モントリオール議定書」で10年までに全廃することになっているが、どこかの国が違反したとみている。チームは観測データなどから発生源が東アジアだと推測している。
 
CFC11は断熱材や大型空調設備の冷媒に使われる。各国の申告によれば、製造量は06年以降はほぼゼロ。だがNOAAの分析では、12年以降は低下のペースが想定の半分ほどになっているという。【5月18日 共同】
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“CFC類が規制されたため、ブラックマーケットでの価格は上がっており、闇ビジネスをするのはそう難しくもない”(カリフォルニア大学サンディエゴ校のデビッド・ビクター教授)【5月22日 NewSphere】とも。

東アジアと言われると、想像する国がない訳ではありませんが、証拠もなく云々するのはよくありません。


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プラスチックごみ 各地で減量・清掃等の取り組みもはじまるもの、深刻化する環境汚染

2018-05-07 22:16:29 | 環境

(インド・カルナータカ州のハッサンでヴァーダをテイクアウトした際の包装と袋 3月6日)

各地でプラスチック袋の使用禁止などの取り組みも
正直に言うと、私はゴミの分別にあまりきちんとは取り組んでいません。特に、お菓子やインスタント麺の袋とか、豆腐のパックなど、プラスチック容器ごみを分別せずに生ごみと一緒に・・・。

そんな私でも、今年3月に南インドを旅行した際に、都市部の空き地、農村の畑や道路わきに、地面を覆い隠すほどに放置されたプラスチック容器類・レジ袋などを見ると、「これは何とかしないと・・・」と思ったりもしました。

そんな旅行中にカルナータカ州のハッサンという街で、地元でヴァーダと呼んでいるインド版ドーナッツみたいなものをテイクアウトとしたところ、ポリエチレンのレジ袋ではなく、新聞紙で包んだ(紐も紙紐だったようにも)ヴァーダを紙素材の不織布のような袋にいれてくれたのが非常に意外でした。

はっきり言って、非常に安い食べ物を提供している質素な店で、そんな環境意識が高い系の店とも思われませんが、実際は非常に高い意識をもっているのか、それとも当局の規制があるのか、あるいは単に価格的に安いので使っているのか・・・そのときはわかりませんでした。

今日、たまたま下記記事を目にしました。どうやらインド・カルナータカ州ではプラスチック容器類の使用が完全に禁止されているようです。それで・・・・。

****世界各国6カ所でプラスチックが使用禁止に****
プラスチックが使用禁止になったというニュースが世界各地から届いています。

アメリカ、インド、モロッコなどの国のいくつかの自治体では、完全にプラスチックを使用禁止に、またはポリエチレンのような特殊な形でのプラスチックの使用を禁止することで、プラスチック汚染問題に制御をかけています。

1 インド カルナータカ州
2016年3月、インドのカルナータカ州政府は、プラスチックの使用を完全に禁止にしました。問屋も、小売店も、貿易業者も、プラスチック袋、プラスチック皿、カップ、スプーン、ラップといったプラスチック製品を使用したり、売ったりすることができなくなっています。

禁止措置が実施されてから4カ月で、州都のバンガロールでは3万9,000キロもの違法なプラスチックが押収されました。そして、その措置を徹底しながらも、マイクロビーズ(洗顔料や歯磨きなどにスクラブ剤として使用されるマイクロプラスチック)の使用も禁止にしています。GO!カルナータカ州!(後略)【2017年12月27日 GREENPEACE】
*****************

記事では、インド・カルナータカ州のほか、アメリカのサンフランシスコ、ロサンゼルス、ポートランド、ホノルルなど、タスマニアのコールズベイ、エチオピア、フランス、モロッコの同様の取り組みが紹介されています。

イギリスでは、ペットボトルなど使い捨て飲料容器にデポジット制度を導入する計画が発表されています。デンマーク、スウェーデン、ドイツではすでに実施されているとか。

****英、使い捨て飲料容器にデポジット制度導入へ****

英国の環境・食料・農村省は28日、ごみの量を減らすため、ペットボトルなど使い捨て飲料容器にデポジット制度を導入する計画だと発表した。

イングランドで販売される飲料のプラスチック、ガラス、金属製の使い捨て容器に預託金(デポジット)を課す方針で、制度の具体的なあり方については今後諮問するという。

英国で使われるプラスチックボトルは年間130億本と推定されている。マイケル・ゴーブ環境・食料・農村相は、「今すぐこの脅威に対処し、リサイクルされない大量のプラスチックボトルを減らすことが非常に重要だ」と述べた。

同省によると、同様の制度はデンマーク、スウェーデン、ドイツですでに導入されており、空のボトルを返却すると最高で25ユーロセント(約32円)が払い戻される仕組みになっている。

英国は2015年にほとんどの店舗でレジ袋1枚につき5ペンス(約7円)を課金する制度を導入している。政府によるとこれによってレジ袋の消費が90億枚削減されたという。【3月28日 AFP】
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レジ袋やペットボトルに関するこの種の話は最近よく見聞きします。世の中の流れですが、それだけプラスチック容器等の環境負荷の問題が深刻化していることを示してもいます。

シエラレオネの「クリーニングデー」】
もっと能動的に、現在すでに放置されているゴミを国民みんなで取り除こう・・・との試みも。

アフリカ西部のシエラレオネで3月行われた大統領選の決選投票の結果、かつて軍事政権を率いたジュリウス・マーダ・ビオ氏が当選を果たしました。

1996年に軍事政権のトップとして国政を担った経歴を持つビオ氏ですが、就任早々に「クリーニングデー」なる取り組みを導入しています。

****国民総出で清掃、シエラレオネで初の「クリーニングデー****
西アフリカのシエラレオネで5日、全国民が一斉に清掃に取り組む初の「クリーニングデー」が実施された。

「クリーニングデー」は、ジュリウス・マーダ・ビオ新大統領が、衛生環境の改善と公務員の業務従事率の向上を目指した政策の一環として新たに導入した。
 
首都フリータウン最大のスラム街クルーベイでは、男女数百人が排水路が詰まる要因となっている家庭ごみやプラスチックごみを取り除く作業にあたる姿がみられた。
 
住民の男性によると、あまりに大量の家庭ごみが投棄されるので、排水路は常に詰まった状態で、雨が降ると洪水が発生するという。
 
ビオ大統領によると「クリーニングデー」の実施日時は毎月、第1土曜日の午前7時から正午まで。
 
また公務員や政府閣僚については午前8時半から午後4時45分までを就業時間とし、大統領と副大統領が抜き打ち検査を行う。定刻どおりに勤務しなければ、懲戒処分や即時解雇もあり得るという。【5月6日 AFP】
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ビオ新大統領の政治姿勢は知りません。「クリーニングデー」も単なる“パフォーマンス”なのかも。
まあ、“パフォーマンス”であったにしても、こうした方面に目を向けること自体は非常に評価されるべきものでしょう。

海洋汚染も深刻化 「太平洋ゴミベルト」 深海にも
プラスチックごみについては、地上の環境問題もさることながら、海洋汚染も深刻さを増しています。

****海洋汚染が深刻なノルウェー、捕まえたタラのお腹の中にペットボトル****
ノルウェー国営放送局(NRK)の8日の報道によると、同国出身のある男性が西部の海岸で捕まえた12キログラムのタラの腹部から、ペットボトルが出てきたという。

この事件はプラスチックが海洋生物に危害を加えることをはっきりと示していた。新華網が伝えた。【4月12日 Record china】
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****クジラの胃に30キロのごみ、消化できず死ぬ スペイン****
スペイン南部ムルシア州で、海岸に打ち上げられて死んだマッコウクジラの胃の中から、重さ約30キロ弱のプラスチックごみなどが見つかった。

胃の中のごみはプラスチックやビニールが中心で、ロープや網なども混じっていた。州当局はこれをきっかけに、ビーチの清掃キャンペーンを開始。州の予算や欧州連合(EU)からの補助金も使って、一帯のビーチの清掃に乗り出す。

ムルシア州の環境保護当局は、「プラスチックごみが世界中で野生生物を脅かしている。多くの生物がごみに絡まったり、大量のプラスチックを飲み込んだりして死んでいる」と指摘する。(中略)

世界経済フォーラムによると、海上を漂流するプラスチックごみは既に約1億5000万トンに達している。これに加えて、毎年800万トンが海洋に投棄される。

先月公表された報告書によれば、海のごみの70%は生物分解できないプラスチックやビニールが占める。その量は今後10年で3倍に増える見通しだ。

プラスチックごみは野生生物を窒息死させるほか、食物連鎖に入り込んで海洋生物を有害物質で汚染させ、人間の食卓にも到達する。【4月12日 CNN】
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北太平洋上には「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる、日本の面積の4倍以上のゴミ集積エリアがあり、現在も急速に拡大しているとか。

****プラスチックだらけ! 世界中のごみが流れ着く「太平洋ゴミベルト」は本当にひどかった****
Kevin Loria
「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる160万平方キロメートルを超える北太平洋上の海域には、大きな潮の流れに乗ってプラスチックごみが集まってくる。

オランダのNPO「オーシャン・クリーンアップ」の研究者たちは、飛行機を使って上空から観察したり、ボートを使ってこの海域を調査した。

その結果、この海域に漂うプラスチックごみの量が急増し、これまで考えられていたよりも16倍多い可能性があることが分かった。

海に捨てられたり、川から海に流れ出た全てのプラスチックごみは、その場で沈むか潮に流される。こうしたプラスチックごみの大半は、最終的に「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる大きな海域へと運ばれる。

その大きさは、スペインの面積の3倍以上、トルコあるいはアメリカ・テキサス州の2倍以上だ(日本の面積の4倍以上)。

そして、科学誌『サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)』が掲載したオーシャン・クリーンアップと協力する研究者の調査によると、太平洋ゴミベルトは急速に拡大、より多くのプラスチックごみが集まってきているという。

これまで考えられていたよりも16倍以上多い可能性がある。

太平洋ゴミベルトは上空から一見すると、ただの大海原のようだ。しかし実際には、世界中のごみが集まってきている。

これらのごみは、海の生き物にからまったり、それを食べ続けることで、生き物の命を奪ったり、わたしたちの食料供給に影響を及ぼすほど体内に蓄積されている。

プラスチックは毎年、3億2000万トン以上生産されている —— 相当量が最終的に海に行き着き、その大半は太平洋ゴミベルトのような海域にたまっているのだ。(後略)【4月1日 BUSINESS INSIDER】
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プラスチックごみは海洋表面だけでなく、深海にも及んでいます。

****深海1万メートルにプラごみ汚染 使い捨て製品、生態系懸念****
レジ袋のような使い捨てプラスチック製品が水深1万メートルを超える場所にまで到達するなど、プラスチックごみの汚染が深海に及んでいるとの調査結果を国連環境計画(UNEP)と日本の海洋研究開発機構のグループが5日までにまとめた。
 
UNEPは「貴重な深海の生態系に悪影響を与える懸念もある」と警告。各国に使い捨てプラスチック製品の生産や消費の削減を促すとともに、深海を含めた海のプラスチックごみの監視体制を強化することを提案した。
 
グループは、海洋機構の有人潜水調査船「しんかい6500」などの調査で映像や画像に写ったごみの情報をまとめたデータベースを利用した。【5月5日 共同】
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生態系・人体への影響が懸念されるマイクロプラスチック
更に、近年問題視されているのが、大きさ5㎜以下のプラスチック“マイクロプラスチック”。

“マイクロプラスチック”は、海水中の油に溶けやすい有害物質を吸着させる特徴を持っていて、100万倍に濃縮させるという研究結果も出ていて、生態系への影響が懸念されています。

****マイクロプラスチックの発生源と疑われているものは複数存在する****
工業用研磨材、(角質除去タイプの)洗顔料、化粧品またはサンドブラスト用研削材などに直接使用するために生産されるマイクロプラスチック、または多種多様な消費者製品を生産するための前段階の原料(ペレットまたはナードルと呼ばれる)として間接的に使用するために生産されるマイクロプラスチック("一次マイクロプラスチック")。マイクロビーズとも呼ばれる。

特に海洋ゴミなどの大きなプラスチック材料が壊れて段々と細かい断片になる結果、環境中に形成されたマイクロプラスチック(いわゆる"二次マイクロプラスチック")。
この崩壊をもたらす原因は、波などの機械的な力と太陽光、特に紫外線 (UVB) が引き起こす光化学的プロセスである。

家庭での衣類の洗濯による布からの合成繊維の脱落。下水道に流れ込む洗濯排水中のマイクロプラスチック粒子と環境中のマイクロプラスチックの組成との比較により、1 mm未満の粒径のマイクロプラスチック汚染の大半が脱落した合成繊維から構成される可能性があることが示唆されている。

最近数十年間の世界のプラスチック消費量の増加により、マイクロプラスチックは全世界の海洋に広く分布するようになり、その量は着実に増大している。【ウィキペディア】
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マイクロプラスチックは北極海に浮かぶ海氷中にも蓄積されており、地球温暖化で海氷の融解が進むと重大な水質汚染源となる可能性があるとも指摘されています。

****北極海氷にマイクロプラスチック蓄積 「重大な汚染源」に、独研究****
北極海に浮かぶ海氷中にマイクロプラスチック(微小なプラスチック粒子)が「憂慮すべきほど」蓄積していると警告する研究結果が24日、発表された。地球温暖化で海氷の融解が進むと重大な水質汚染源となる可能性があるという。

独アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所の研究チームは、2014年から2015年にかけて砕氷観測船ポーラーシュテルンに乗船して3回の北極海調査航海を実施。この調査中に収集した海氷サンプルに17種の異なるプラスチック粒子が含まれていることを発見した。

見つかったプラスチック粒子には、レジ袋や食品包装、船の塗料、漁網、合成繊維のナイロンやポリエステル、紙巻きたばこのフィルターなどに由来するプラスチックが含まれていた。(中略)

英南極調査所の海氷物理学者、ジェレミー・ウィルキンソン氏は、英サイエンスメディアセンターへのコメントで、マイクロプラスチックが「今や世界の海洋の表層水中の至る所に存在する」ことを今回の研究は示唆しており、「影響を免れている場所など、どこにもない」とした。(中略)

■悪影響は?
そして特に懸念されるのは、粒子のサイズが小さいことだ。研究チームによると、一部の粒子は直径が11マイクロメートルで、人毛の直径の約6分の1しかないという。1マイクロメートルは1000分の1ミリ。

論文の共同執筆者でAWIの生物学者のイルカ・ピーケン氏は、このことが意味するのは、魚が常食とする小型甲殻類などの「北極海に生息する微小な生物でも容易に体内に摂取できる恐れがあるということ」だと指摘する。

その上で「マイクロプラスチックが海洋生物にとって、また最終的には人間にとってどれほど有害なのかは、まだ誰も確かなことは言えない」と話した。(中略)

太平洋北東部の海水がベーリング海峡を通って流れ込むカナダ海盆で採取したサンプルは、包装材に用いられるポリエチレンを多く含んでいた。

論文執筆者らはこの分析結果から、この地域のマイクロプラスチックが主に「太平洋ごみベルト」に由来するものだと結論づけた。大量のプラスチックごみが渦巻いているこの海域は現在、フランス、ドイツ、スペインの国土面積の合計を上回る範囲に及んでいる。

また研究チームによると、プラスチック粒子は海氷内に2〜11年間とどまるという。

この2年から11年という期間は、海氷がロシア東部シベリアや北米北極圏の海域から南へ移動し、デンマーク領グリーンランドとノルウェーの間のフラム海峡に到達するのに要する時間に相当する。

海氷は同海峡で融解する一方、北方の海域では新たな海氷が形成されるが、このサイクルは地球温暖化によって加速される。

■水道水やボトル入り飲料水にも
英ニューカッスル大学の海洋学者、ミゲル・アンヘル・モラレス・マケダ氏は、別の解説記事で「北極の多年海氷の融解が気候変動によって加速することは、北極海を覆う海氷中に蓄積された大量のプラスチックが海水柱中に放出されることに合理的に帰着すると考えられる」と述べている。

また最近の別の研究では、人間が貝類や甲殻類、水道水やボトル入り飲料水などに含まれるマイクロプラスチックを摂取しているとの警告がなされている。こうしたマイクロプラスチックの健康リスクに関しては、まだ不明なことが多い。【4月25日 AFP】AFPBB News
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やや、希望が持てる話題としては、プラスチック類を分解する生物や酵素の研究も進められていることでしょうか。

プラスチックを消化分解する酵素、研究過程で偶然作製 米英チーム”【4月17日 AFP】
“「プラスティックを食べる幼虫」は、環境汚染対策の切り札となるか?”【2017年5月15日 WIRED】

当然ながら、使用量をコントロールする、使用したものについては処分をきちんと行う・・・・そうした取り組みが重要です。
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途上国貧困層を襲う“ゴミの山”崩壊事故 中国の資源ごみ輸入禁止で対応を迫られる日本

2018-02-21 22:54:23 | 環境

(百数十名をのみこんだエチオピア・アジスアベバの“ゴミの山” 【2017年3月14日 AFP】)

【“ゴミの山”で暮らす以外に選択肢がない貧困層
途上国では多くの貧困者がゴミが集められる“ゴミの山”周辺で暮らしています。

居住環境が悪いことで家賃などの負担が少なくてすむために貧困層が集まるのか、貧困者が住む地区にゴミが集められるのか・・・そのあたりはよくわかりませんが。

“ゴミの山”は収入源でもあり、“ゴミの山”からの使えるゴミの回収で生計をたてている者も多くいます。
しかし、“ゴミの山”が崩れ落ちることで悲劇も。

****ゴミの山崩れ貧困層の住居直撃、17人死亡 モザンビーク****
アフリカ南東部モザンビークの首都マプトでこのほど、15メートルの高さに積み上がった巨大なゴミの山が貧困層の暮らす住居の上に崩れ落ち、当局によると17人が死亡した。

ゴミの山の崩落は19日の早朝に発生。住居内で眠っていた住人が埋もれる形となった。モザンビーク赤十字の報告によれば、死亡した人の中には新生児とその母親も含まれているという。

現場はマプト市内の困窮した人々が暮らす人口密集地。数日にわたり続いた大雨がゴミの山の崩落につながったとみられる。

大量のごみの直撃を受けたのは7棟で、近隣の住民らも救助隊に加わって生存者の捜索に協力した。救助に携わる赤十字は、すべての犠牲者について身元が判明していると述べた。 一時避難所に身を寄せた32世帯には、毛布や防水シート、台所用品が支給された。

赤十字の広報担当者はCNNに対し「ゴミの山の崩落は貧困と都市計画の問題をあぶり出すものだ」と指摘。「被害に遭ったのは貧困層の中でも特に貧しい人々。もともと安全性の懸念からこの場所からの退去を求められていたが、食べ物などを求めて戻ってきてしまう」「ここで暮らす以外に選択肢がないのだ」と述べた。

マプトの人口は100万人超。世界各国の情報を年間形式でまとめた「CIAワールド・ファクトブック」によれば、その半数近くが貧困ラインを下回る生活を強いられているという。【2月21日 CNN】
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有害で悪臭を放つ“ゴミの山”から離れられない貧困層、その“ゴミの山”に押しつぶされる事故・・・途上国における貧困を象徴するような悲劇です。

この種の事故は、世界各地の途上国でときおり起きていますが、1年ほど前のエチオピアでの事故では100名以上が犠牲になっています。

****エチオピア 貧困が招いた悲劇 ゴミ山崩壊で死者多数****
アジスアベバ郊外の「コシェ」と呼ばれる巨大なゴミ捨て場には、木材と泥で、運の良い住人のものは金属板で出来た何百もの小屋が林立し、ここで何百もの人々が日々暮らしている。

(2017年)3月11日、轟音とともにゴミの山が崩壊し、巻き込まれた百人以上が亡くなった。その多くは女性や子ども、中には地元のサレジオの学校に通う生徒もいた。

ゴミの山は、住人の多くにとって主要な収入源である。修理し、再利用し、売ることのできるものを見つけるのだ。
 
コシェとは、土地の言葉、アマリク語で「塵(ちり)」の意。40年以上にわたり、アジスアベバのゴミが年に3千トン捨てられてきた。

すでに2010年、ゴミの山が拡大、住居や学校に接近していたため、市当局は警告を発していた。市のスポークスマンによると、「悲劇の再発を防ぐため、この地区に住む人々はほかの地区に移された」とのこと。(中略)
 
エチオピアのVISのプロジェクト・マネージャー、ジャコモ・スピガレッリはバチカン・ラジオで次のように伝えた。「この悲劇は大きな傷跡を残しました。残念ながら、またもやいちばん打撃を受けたのは最も弱い人々、子どもや女性だからです。ゴミ溜めで働いていたのは、主に女性や子どもたちだったのです。」(中略)

コシェのゴミ廃棄場はエチオピアで最大。日々の糧を求め、その周りに何百もの人々が住みついていた。

昨年、市当局によって閉鎖され、住人は別のゴミ廃棄場に移るよう求められていた。しかし、新たなゴミ廃棄場の近隣住民の反対を受け、市は方針を撤回していた。【2017年3月16日、20日 カトリック・サレジオ修道会日本管区】
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2017年3月15日の時点で113名の死亡が確認され、うち75名が女性とのこと。また少なくとも80名が行方不明と伝えれていましたので、犠牲者数は最終的には150~200名に近い数字になったのではないでしょうか。

“過去2年の間にもここで小規模な地滑りが発生しており、その都度2~3名の死者を出していた。”【2017年3月16日TechinsightJapan】ということで、予想されていた惨事でした。

このエチオピアの事故の1か月後の昨年4月には、スリランカでも同様の事故がおきています。

****ごみ山が崩落、19人死亡 近隣住宅など145棟に被害 スリランカ****
スリランカの最大都市コロンボ近郊のコロンナーワで14日、高さ91メートルまで積み上げられていたごみの山が崩落して近隣の住宅などが下敷きになり、これまでに子ども4人を含む少なくとも19人が死亡した。
 
現場では前日の大雨でごみの一部が崩れ、近隣の複数の住宅の基礎部分などに損害を及ぼしていたため、多くの住民が自宅から避難していたが、警察当局によると、住宅など145棟がごみ山の崩壊によって損壊したという。
 
現場では軍の兵士ら数百人が救助活動にあたっている。
 
この屋外集積場には毎日約800トンもの固形廃棄物が捨てられ、近隣の住民は怒りをあらわにしていたという。
 
スリランカ議会は、コロンナーワで2300万トンのごみが腐敗している状況は深刻な健康被害を及ぼしているとして報告を受けていたという。
 
またこのごみ集積場では、固形廃棄物を燃料に変えて使う発電所の建設が進められている。【2017年4月15日 AFP】
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事故後、スリランカではゴミを減らす取り組みも行われているようです。

****ビニール袋禁止=ごみ山崩れ死者、住民怒る-スリランカ****
スリランカ政府は1日、ビニール袋の使用を禁止した。また、使い捨て製品の使用も禁じる。

最大都市コロンボでは、各地に見上げるような巨大なごみの山が築かれており、4月にその一つが崩れ、家々を押しつぶして32人が死亡した。さらに大雨に際し、流れ出したごみが下水管を詰まらせ洪水が起きたと住民から怒りの声が湧き起こっていた。

事態を受け、シリセナ大統領が出した結論がこの日の禁止令だった。プラスチックの食器の販売も禁止し「禁令に従わない者は犯した罪の責任を負う。国家環境法に沿って罰を受ける」と国民に通告した。違反者は罰金1万ルピー(約7000円)か、最大で禁錮2年の刑となる。【2017年9月2日 AFP】
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環境対策に乗り出す中国 資源ゴミ輸入を禁止

(ブロック状に固められた廃プラスチック=香港(ブルームバーグ)【2017年8月9日 SankeiBiz】 これらの相当量が日本からのもので、最終的には中国へ運ばれます)

日本はゴミのリサイクルはかなり進んでおり、中国からの観光客が“日本では街にゴミがおちていない!”と感嘆したり、ゴミ分別の徹底ぶりに“そこまでやるか・・・・”と疑問も感じたり・・・・といった話がしばしば報じられています。

ただ、日本のゴミのリサイクルは国内で完結している訳でもなく、資源ごみの多くが、日本の清潔さに驚く中国に輸出されていたようです。

その中国は、PM2.5に代表されるような環境問題が近年大きな政治課題となっており、習近平政権も環境対策に本腰を入れています。

その一環として、他国からのゴミ輸入を禁止することになりましたが、これまで中国に“輸出”して、自国のゴミ問題を“解決”していた国々は、対応を迫られています。

****中国の廃棄物輸入禁止策、世界のリサイクル産業に波紋****
中国では長年、世界中から資源ごみを輸入していた。しかし、今年から廃棄物の輸入が一部停禁止されたことで、世界各国は早急に大量のごみの新たな廃棄先を見つける必要に迫られている。
 
中国の廃棄物輸入禁止策は昨年7月に発表され、年明けから施行された。欧米などの企業はわずか6か月の間に他の選択肢を探すことを強いられ、中には駐車場に廃棄物を保管する企業まで出ている。
 
今回の法律で禁止されたのは24種類の固形廃棄物で、一部のプラスチックや紙類、布類も含まれている。中国の環境省は世界貿易機関(WTO)への通告の中で、「原材料として使用可能な固形廃棄物の中に大量の汚れた…あるいは危険でさえあるごみが混じっている。これが中国の環境を深刻に汚染している」と説明した。
 
中国政府の最新統計によると、2015年だけでも中国は4960万トンのごみを買い入れている。例えば欧州連合(EU)は収集・分類したプラスチックごみの半分を輸出しているが、その85%は中国へ向かう。

またアイルランドは2016年、プラスチックごみの95%を中国へと送った。同年、米国が中国へ輸出した廃棄物は52億ドル(約5700億円)相当の1600万トン超に上った。
 
中国に依存している国々にとって今回の廃棄物の輸入禁止は「激震」だと、国際再生資源連盟のアルノー・ブルネ会長は言う。「中国は世界最大の市場であるだけに、われわれの産業全体に影響が及ぶ」
 
ブルネ氏の推算によると、世界から中国へのプラスチックごみの輸出は2016年の740万トンから、今年は150万トンにまで激減しそうだ。また、紙ごみの輸出も4分の1程度まで激減する見通し。
 
原因の一つは、中国が受け入れ可能とするごみ1トン当たりの混入物の制限値を下げたことにある。より厳しい基準を多くの国は満たすことができていないのだ。

こうしたことからインドやパキスタン、東南アジア諸国といった新興市場に注目する国もあるが、中国へ廃棄物を輸出するよりも高くつくだろう。
 
行き場を失った再生ごみが焼却されたり、他の廃棄物と一緒に埋め立て地などに投棄されたりすれば、それは環境的な「大惨事」へとつながるリスクになりかねない。【1月24日 AFP】
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上記の中国のゴミ輸入禁止は、これまで資源ごみを活用してきた中国にとっても、新たな対応を迫られる世界にとっても“無駄”なだけで賢明ではない・・・との指摘もあるようです。

下記はブルームバーグ・ビューのコラムニストの意見です。

*****真の無駄生む中国資源ごみ輸入禁止 *****
過去30年以上にわたり、中国製造業の急成長は廃プラスチックや古紙など再利用できる資源ごみの輸入に支えられてきた。

だが、同国政府は7月、資源ごみの大半について、今年末までに海外からの輸入を禁止すると世界貿易機関(WTO)に通知。公衆衛生と環境を害する「海外の廃棄物」追放運動の一環だという。
 
中国政府は扱いの難しい国内の廃棄物問題から注意をそらす意図もあり、以前から輸入廃棄物の話題を大きく取り上げている。しかし、1980年代以降これまで、資源ごみの輸入を奨励してきた。
 
廃プラスチックや古紙の輸入は、石油を採掘したり樹木を伐採したりするよりも安くて速く、容易だ。環境にも優しい。

1トンの古紙をリサイクルすれば、米国の平均的な家庭の6カ月分の電力を賄うのに十分なエネルギーが得られる。プラスチック製品を作るのに資源ごみを利用すれば、製造に要するエネルギーを最大87%削減できる。2015年に世界中で取引された資源ごみの量が約1億8000万トン、金額にして約870億ドル(約9兆6240億円)に上ったゆえんだ。
 
過去20年にわたり世界最大の資源ごみ輸入国だった中国ほど、そのありがたさを理解している国はない。

同国のリサイクル産業は製造業の急成長とともに発展した。容量で考えれば、00年代半ばには古紙が米国から中国への主要輸出品となっている。

紙類は中国製品の包装材として米国に輸出され、ごみとなり、中国に資源ごみとして再輸出されるため、これらを勘案すれば中国の古紙利用率は70%に達するとの推定もある。
 
これはすべての関係者にとって望ましい状況だ。米国人はリサイクルに熱心だが、それ以上に消費に熱心で、回収した資源ごみの3分の1は国内でリサイクルすることができない。単純に量が多すぎるのだ。

中国が資源ごみの輸入を開始して以来、米国では廃材輸出で4万人以上、中国ではその何倍もの雇用が生まれたとする研究もある。

もちろん、汚染された廃棄物による健康被害など問題もあるが、中国政府はこれらを適切に取り締まり、輸入される資源ごみの質は向上していた。
 
国内の公衆衛生の改善を目指すなら、資源ごみ輸入の禁止は逆効果で、環境問題をさらに悪化させる恐れがある。資源ごみの汚染度合いは国内産の方がはるかにひどいからだ。
 
中国が海外廃棄物の輸入を中止すれば、同国の年間輸入量に相当する廃プラスチック700万トン、古紙2900万トンが全世界でごみと化すとの推計もある。それこそ真の無駄といえそうだ。(コラムニスト Adam Minter)【2017年8月9日 SankeiBiz】
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ただ、自国で処理できない“他国”へ持ち込んで処理するシステムを“合理的”と称賛し、これを禁じる施策を“無駄”と断じる主張は、なにか常識とは異なる“理屈”のようにも。

もちろん、資源ごみだろうが、最先端IT機器だろうが、交易で双方の国の有効資源活用が図られるというのは自由貿易の大命題ではありますが、「自分の出したゴミは自分で処理しろよ!」というのは、至極まっとうな主張でもあります。特に、汚染された廃棄物による健康被害などもある場合は。

最大輸出国の日本 迫られる対応
輸入禁止となった資源ごみのなかで、廃プラスチック(ペットボトルなど)で見ると、香港経由で中国に入るものを含んだ実質では、国別輸入先で日本がトップにあるようです。

****中国「外国ゴミ輸入禁止」の波紋****
4分類24種類の固体廃棄物、「最大輸出国」日本に痛手

(中略)廃プラスチックの輸入禁止に伴い、中国は国内における廃プラスチックの回収率を向上させると同時に再資源化を強化する対応を急ぐものと思われるが、上述したように中国向け廃プラスチックの実質的な最大輸出国である日本ならびに日本の輸出業者が被る痛手は極めて大きいと言える。

年間130万~140万トンの廃プラスチックの市場を失い、600億円以上の取引を失うことになるのである。これだけの量の廃プラスチックを中国に代わって受け入れ可能な市場はおいそれと見つからない。

日本は代替市場を探す、国内工場で廃プラスチックをペレット化して中国へ輸出する、発電焼却を主体とするサーマルリサイクル化による処理で対応することになるが、年間130万~140万トンの廃プラスチックは巨大である。
 
中国の廃プラスチック輸入禁止によって困惑しているのは日本だけではない。上海のニュースサイト「澎湃新聞」は1月3日付で「中国の外国ゴミ輸入禁止に英国は打つ手なし。焼却もできず、処理能力もなし」と題する記事を報じた。(後略)【2月2日  北村豊氏 日経ビジネス】
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対応が難しい問題ではあるでしょうが、自分たちが出すゴミですから何とかしなければならない、なんともできないなら使うのをやめるしかない・・・問題でしょう。
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大寒波で温暖化を揶揄する“無責任なやから” 海洋で急速に広がる低酸素の窒息状態

2018-01-10 20:27:51 | 環境

(メキシコ、バハ・カリフォルニア沖のコルテス海を泳ぐクロカジキ【1月10日 NATIONAL GEOGRAPHIC】)

アメリカでは記録的寒波 オーストラリアは記録的熱波
私が住む鹿児島も今日はみぞれ模様の寒い一日でした。この寒さは明日・明後日も続くようで、原付(屋根付きではありますが)で2時間ほど走らなければいけない外出予定をどうしようか迷っています。

世界的には、アメリカの記録的大寒波が報じられています。

****米 記録的な寒波で空港閉鎖 住宅地で高潮被害も****
発達した低気圧の影響で大雪に見舞われているアメリカ東部では、これまでに空の便4000便以上が欠航したほか、沿岸部で高潮が発生し住宅地などで被害が出ています。今後、気温がさらに下がる見通しで、気象当局は路面の凍結などに警戒を呼びかけています。

年末から記録的な寒波が続いているアメリカでは、発達した低気圧が大西洋を北上している影響で4日、ニューヨーク州など東部の広い範囲で吹雪となりました。気象当局によりますと、4日夜までの降雪量は、マサチューセッツ州ボストンで35センチ、ニューヨークのマンハッタンで25センチなどとなっています。

この影響で、ニューヨークのケネディ国際空港などが閉鎖され、アメリカ東部を離着陸する便を中心に合わせて4000便以上が欠航しました。

また、マサチューセッツ州では低気圧の接近に伴って高潮が発生し、ボストンやその周辺の沿岸部では海水が堤防を越え、住宅地や商業地などで被害が出ています。

このほか交通事故が各地で相次いでいて、これまでに4人が死亡したほか、一時、最大で10万戸が停電しました。

気象当局によりますと、雪は一部の地域で5日朝まで続き、その後、7日にかけて各地で気温がさらに下がる見通しで、気象当局は路面の凍結などに警戒を呼びかけています。【1月5日 NHK】
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1月1日にマサチューセッツ州ナハントで起きた住宅火災の消火活動を終えた後の消防隊員の1人【1月5日 Huffington Post】

寒さも、見ているだけならいいのですが・・・・。下記は“大寒波、熱湯が空中で凍る! シャボン玉も!”【1月10日 NATIONAL GEOGRAPHIC】の美しい映像。

上記サイトに動画でアップされていますが、分解写真で“空中で凍る熱湯”のさわりを。





“凍るシャボン玉”は動画でないと、シャボン玉表面に広がる結晶がクルクル回転しながら拡大する様子の美しさが伝わらないので、上記サイトをご覧ください。

アメリカなど北半球の寒波の一方で、南半球のオーストラリアでは猛烈な熱波が。

****オーストラリアは熱波 アメリカは滝も凍る大寒波*****
アメリカの各地では寒波の影響で厳しい寒さが続いています。一方、夏を迎えた南半球のオーストラリアは記録的な猛暑に見舞われています。

オーストラリア・シドニーの西部・ペンリスでは7日、最高気温が47.3度まで上がりました。CNNによりますと、この記録は実に79年ぶりだということです。ニューサウスウェールズ州カムデンで45.7度、リッチモンドで46.3度を観測するなど、オーストラリア各地で熱波に見舞われています。当局は高温による熱中症、そして、火事などに注意するよう呼び掛けています。遠く離れたアメリカ・ニューヨーク州では滝や噴水が凍るなど、年末からの寒波が今も続いています。【1月8日 FNN】
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まあ、一時的な天気というのは場所・時間でさまざまに変化しますので、こんなものでしょう。当然ながら、長期的気候変動とは別物です。

一時的な寒さを理由に、地球温暖化は偽りだと主張しようとする無責任なやから
米紙ワシントン・ポストは「一時的な寒さを理由に、地球温暖化は偽りだと証明されたなどと主張しようとする無責任なやからがいるといけないので」と警告していたのですが、やはり“無責任なやから”がいたようです。

****北米寒波、トランプ大統領が温暖化あざけるツイートで物議****
北米が猛烈な寒波に襲われる中、フロリダ州マーアーラゴの別荘で休暇中のドナルド・トランプ米大統領(71)は28日、気候変動説を揶揄(やゆ)するコメントをツイッターに投稿した。

「東部では史上『最も寒い』大みそかになるようだ。たぶんわれわれは、古き良き地球温暖化をもうちょっと活用してもいいんじゃないか。わが国は他の国々とは違い、温暖化対策に『何十兆ドルも』つぎこむ予定だったのだから。暖かい格好をしよう!」
 
このトランプ氏の投稿には、寒波を利用して気候変動の科学的根拠をあざけっているとして、多くのツイッターユーザーからあきれた声が上がっている。

「天気と気候は違うものだ。大統領はその違いを理解するべきだ。難しいことではない」と、ワシントン州選出のプラミラ・ジャヤパル米下院議員はツイートした。
 
カリフォルニア科学アカデミーのジョン・フォーリー館長は、「信じようが信じまいが、地球の気候変動は正真正銘の現実だ。たとえ今まさにトランプタワーの外が寒くてもだ。あなたがビッグマックにかぶりつこうとする瞬間にも、世界では飢餓に苦しむ人がいるように」と投稿した。
 
一方、米紙ワシントン・ポストの気象欄「キャピタル・ウェザー・ギャング」の公式ツイッターアカウントは27日、トランプ氏の投稿に先立ち、寒さが1週間続くとの予報に続けて次のように警告していた。

「世界の他の地域では平年よりかなり暖かい天候が続く点にご留意ください。米国の一時的な寒さを理由に、地球温暖化は偽りだと証明されたなどと主張しようとする無責任なやからがいるといけないので」
 
トランプ氏は地球温暖化を中国人の作り話だと主張。温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を表明し、環境関連の主要政権ポストに化石燃料推進派を起用した。また、トランプ政権の国家安全保障戦略では、米国を脅かす脅威の項目から地球温暖化が削除された。(後略)【2017年12月29日 AFP】
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子供じみた自称“天才”の言動にいちいち反応していても仕方がないのですが、その者が世界で最も大きな権力と影響力を持つ人物であり、日本も安全保障を含めて大きく依存しているという話になると・・・・困ったものです。

週内に予定されているトランプ大統領の健康診断に精神衛生に関する検査が含まれているのか記者から質問が出て、報道官は「ない」と簡潔に答え、「大統領は頭脳明晰だ」と述べたとのこと。【1月9日 AFP】

世界の海はわずか50年の間に約2%の酸素を失った
話を戻しましょう。

地球温暖化については、様々な議論・検証がなされていますが、海水温の上昇や海の酸性化以外にも、温暖化によって“海が窒息する”状況が広がっているとのことです。

****温暖化で「窒息」する海が世界的に拡大、深海でも****
10年以上前のある日、研究用のタグを付けた魚を追跡していたエリック・プリンス氏は奇妙なことに気がついた。米国南東部沖に生息するニシクロカジキは獲物を追って800メートルは潜るのに対し、コスタリカとグアテマラ沖では海面付近にとどまっていて、潜っても100メートルを超えることがめったになかったのだ。(中略)
 
調査してわかったのは、カジキたちが窒息を回避していたことだった。グアテマラとコスタリカ沖のニシクロカジキは淀んだ深海に潜らない。そこには巨大な低酸素海域があり、さらに拡大を続けていた。

カジキが深く潜らなくなったのは、まだあまり知られていない海の変化に反応した海洋生物の行動変化の一例だった。

気候変動により、近海だけでなく外洋まで酸素濃度が低下して、海洋生物の生息地や生き方に大きな影響が出ているのだ。
 
米スミソニアン研究センターの上席科学者デニース・ブライトバーグ氏は、「これは地球規模の問題で、地球温暖化が状況を悪化させています」と言う。「解決には地球規模の取り組みが必要です」
 
ブライトバーグ氏らはこのほど、海洋酸素濃度の低下に関する主要な研究を検証した論文を1月5日付けの科学誌『サイエンス』に発表した。

論文によると、海洋酸素濃度の低下により広大な海域から生物が消え、海洋生物の生息地や食物が変化している。その結果、魚の個体数が減り、魚のサイズが小さくなり、乱獲につながりやすくなっているという。

海水温の上昇や海の酸性化と同様、海洋酸素濃度の低下も気候変動の最も重要な副産物の1つだが、ほとんどの人がこれを理解していない。

「酸素濃度の低下は、多くの点で生態系の破壊につながります」とブライトバーグ氏は言う。「陸上にそうした広大な領域ができて、動物が住めなくなったとしたら、誰でも気がつくでしょう。けれども同じことが水の中で起こっている場合には、わからないのです」

25年間で酸素濃度が30%も低下した深海域も
ブライトバーグ氏の研究には、メキシコ湾の原油流出事故により汚染されたような沿岸の「デッドゾーン(死の水域)」だけでなく、外洋で数千キロにわたって広がる深海の低酸素海域も含まれている。
 
深海の低酸素海域は、20世紀半ばから面積では450万平方キロ以上拡大している。これは、EUと同じくらいの広さに相当する。原因の1つは水温の上昇だ。
 
水温が上昇すると海水に含まれる酸素の量は低下する。また、温かくなると微生物や大型の生物の代謝がさかんになり、酸素消費量が増える。

さらに、温暖化により海が表面から温められると、温かい水は冷たい水より軽いために表面の水が上層にとどまりやすくなり、空気中の酸素が深層の低酸素海域まで届きにくくなる。
 
現在、深海の低酸素海域は年間1メートルのペースで海面に向かって拡大している。太平洋東部とバルト海のほとんどでそうした状況にある。

米カリフォルニア南部沖のある深海では、わずか25年間で酸素濃度が30%も低下した。アフリカ沿岸付近の大西洋の低酸素海域は米国本土の面積より広く、1960年代から15%も拡大している。
 
この新たな研究結果によると、世界の海はわずか50年の間に約2%の酸素を失い、酸素が全くない海水の量は4倍に増えたという。

現在、沿岸のデッドゾーンは500カ所ほど知られているが、そのうち20世紀半ば以前から酸欠状態だったところは10%未満である。(後略)【1月10日 NATIONAL GEOGRAPHIC】
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トランプ大統領にはニシクロカジキの話より、下記のお金の話のほうが伝わりやすいかも。

****米 去年の自然災害被害 過去最大34兆円余****
アメリカの政府機関は、ハリケーンや山火事などの自然災害による去年1年間の被害額は日本円で過去最大の34兆円余りに上ったと発表し、専門家は気候変動による異常気象が原因だと指摘して警鐘を鳴らしています。

アメリカ海洋大気局が8日に発表した報告書によりますと、去年1年間にアメリカで起きた自然災害による被害額は、およそ3060億ドル(34兆円余り)に上ったということです。

これは1800人以上が死亡したハリケーン「カトリーナ」による被害があった2005年の2150億ドル(24兆円余り)を大きく上回り、1980年の集計開始以来、過去最大になったということです。

報告書によりますと、去年は、被害額が10億ドルを超える災害が16回発生し、このうち南部テキサス州を直撃したハリケーン「ハービー」による被害は1250億ドル余り、カリフォルニア州で相次いだ大規模な山火事では、合わせて180億ドルの経済損失が生じたということです。

相次ぐ自然災害について専門家は「最近起きたいくつかの異常気象は気候変動が原因だ。慎重にこの事態に向き合わなければならない」と指摘し、警鐘を鳴らしています。【1月10日 NHK】
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世界に残されている時間はあまりないのですが、その貴重な時間を自称“天才”にゆだねなければならいのは、アメリカだけでなく世界全体の不幸です。

100年後の人類は「どうしてあのとき、あの男を・・・」と悔やむかも。

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アメリカ・トランプ大統領の石炭増産推進にもかかわらず、止められない脱石炭の流れ

2017-11-17 22:25:55 | 環境

(米ロサンゼルスにあるオフィスビル外の駐車場に設置された太陽光パネル【11月17日 AFP】)

離脱表明後初のCOP 軽視の姿勢を鮮明に
2年前に採択されたパリ協定の目標は、気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えること。そのために、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を、2050年以降、実質ゼロにすることです。

ほぼすべての国、197か国が参加することになりましたが、周知のように今年6月、アメリカ・トランプ大統領が協定から脱退すると表明しています。(シリアが参加を表明したことで、不参加国はアメリカだけになっています)

そのアメリカ脱退表明後はじめてとなる温暖化対策を話し合う国連の会議、「COP23」がドイツのボンで開かれています。

今回のCOPの焦点は、大きく2つあるとされています。

ひとつは、パリ協定の詳細なルールを決めるということが予定されている来年のCOP24に向けて、ルールブックの合意に関する交渉をどういうふうに進めるかということ。

二つ目は、脱退を表明したアメリカがどういう立ち位置でこの交渉に臨むのかという点です。

今回、アメリカは代表団を送り、会議にも参加していますが、オバマ前政権時代に比べその規模は非常に小さくなっています。

****<COP23>米は「軽視」鮮明 格下の省職員に代表演説****
米トランプ政権は16日、国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)で、地球温暖化の新枠組み「パリ協定」の離脱方針を改めて説明する一方、温室効果ガス削減に向けた努力を進める姿勢をアピールした。

ただ他国からは首脳や閣僚が参加する会合で、米国は「格下」の局長級の国務省職員に代表演説を任せ、多国間枠組み軽視の姿勢を鮮明にした。
 
同日夜(日本時間17日未明)、メイン会場で演説したガーバー米国務次官補代行は「パリ協定への見解に関わりなく、米国はクリーンエネルギーと技術革新の先導者であり続ける」と強調。

一方、「国内外で効率性とエネルギー安全保障を促進させる」として米産天然ガスの売り込みについての意欲も隠さなかった。

パリ協定については可能な限り早い離脱を求める一方、「米国民にとって有益となった場合は後から再び参加する余地を残す」と国益に沿った再交渉を行う意思を示した。これに対し、国連や参加国は再交渉を拒否する方針で一致している。(後略)【11月17日 毎日】
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アメリカが正式にパリ協定を脱退できるのは最短で2020年の11月4日というルールがありますので、それまではアメリカとしても一定に関与は続ける、妨害もしない、しかし当然ながら大きな役割を担う考えもない・・・というところでしょう。

“比較的、静かに対応してるということは、トランプ政権から、ワシントンからも派手に妨害工作に出る必要はないということで、外に向けた主張というよりは、やはり国内に向けて雇用を作り出すんだと、石炭産業をまた復活させるんだという、恐らく国内向けのスタンスということが非常に大きいんだと思うんですね。
ですからこの国際的な場では、あまり過剰には主張しないということなんだろうと思います。”【11月15日 NHK「クローズアップ現代」】

アメリカ国内で進む石炭増産 輸出増で世界の足並みの乱れにも
今、アメリカでは二酸化炭素の排出が多い石炭の増産が進められています。

“燃焼効率が低く、天然ガスと比べ二酸化炭素を倍近く排出するため、発電への使用が厳しく制限されてきました。その規制をトランプ大統領が撤廃。生産量は去年(2016年)に比べ、すでに15%増加しています。”【同上】

国内トランプ支持地盤において雇用を生み出すというのが協定脱退の目的ですから、石炭増産は当然の流れでしょう。実際、現地では雇用も一定に増えてはいるようです。

中国に次ぐ排出国アメリカ(中国が世界排出量の28%、アメリカが16%)の離脱で、当然、世界の温暖化ガス規制もその分遅れることになりますが、その影響は国内にとどまりません。

先ほど、“妨害もしない”と書きましたが、会議は妨害しないものの、アメリカは増産した石炭の国外輸出も増やしており、石炭依存からの脱却が困難な国の依存を持続させる形で、欧州・世界の脱石炭の流れの足並みを乱すことにもなっています。

“(ポーランドでは)温暖化対策のための再生可能エネルギーの導入は思うように進んでいません。(中略)こうした中、ポーランドに石炭や天然ガスを売り込もうというトランプ大統領の動きが加速しているのです。(中略)

今年に入ってアメリカからの石炭の輸入は急増し、去年の6倍以上に達しています。エネルギー政策を担当する大臣は、石炭の使用をもっと認めるようEUに求めていきたいとしています。”【同上】

“諸外国、特に石炭がとれる、石炭をできれば使い続けたいと考えているポーランド、あるいは東南アジアでいけば、インドネシアやベトナムといったような国が、石炭を使い続ける政策をこのまま維持するインセンティブになるんじゃないかということです。”【同上】

****世界の二酸化炭素排出量、今年は2%増で再び増加へ****
ドイツのボンで行われている気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)で、科学者チームが今年の世界の二酸化炭素排出量は前年比2%増加し、過去最高の370億トンになるとの見通しを発表した。

二酸化炭素排出量は2014─16年にはほぼ横ばいだったが、主に中国の排出量が2年間の減少後増加に転じ、今年は拡大するとみられている。

15カ国から76人の科学者が参加している同チームは「昨年横ばいとなったのはピークではなかった」とのコメントを発表した。(中略)

一方、米国の排出量は0.4%減で、石炭消費の増加で減少幅が近年より縮小する見込み。ピーターズ氏はロイターに、米国の石炭消費増加は、トランプ大統領の石炭推進政策よりも天然ガス価格の上昇が要因と説明した。【11月14日 ロイター】
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また、アメリカの脱退で、誰がリーダーシップの欠如を埋めていくのかという問題もあります。中国は随分乗り気になっているようですが・・・。

中国政府の解振華・気候変動問題特別代表は10月31日、記者会見し、米国に対して地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰するよう呼び掛けています。

それでも進む脱石炭の流れ 後押しする自治体 新たな投資機会を求める企業
トランプ大統領はコアな支持増向けに石炭増産を進めていますが、上記記事にもあるように、大統領の政策・意向というより、他のエネルギー価格動向などの経済合理性が流れを左右します。

その意味で、トランプ大統領の意向にも拘わらず、価格動向・投資機会といった経済合理性から、アメリカでも再生可能エネルギー活用が今後も進展すると思われます。

****トランプ氏のパリ協定離脱表明も成長続ける再生可能エネルギー 米****
ドナルド・トランプ米大統領が温室効果ガス排出を削減するための規制を撤廃すると表明し、石炭などの化石燃料発電を推進する措置を取っているにもかかわらず、米国では再生可能エネルギーは成長を続けている。
 
地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの米国の離脱を表明して5か月。トランプ大統領は、前任者のバラク・オバマ前大統領が導入した環境規制を次々と緩和している。その代表的な例は、前政権が米国内における二酸化炭素(CO2)排出量削減を初めて目指した「クリーン・パワー・プラン(CPP)」の撤廃を表明したことだ。

しかし、同国の多くの州や市は独自の温暖化対策を推進し、再生可能エネルギー分野の雇用は全国的に拡大し続けている。「この傾向は非常に明確だ」と、米科学者団体「憂慮する科学者同盟」のオールデン・マイヤー氏は話している。
 
エネルギー省によれば、太陽光発電産業における2016年の雇用は前年比24.5%増の37万4000人近くに達したのに対し、化石燃料産業では18万7000人だった。また、風力発電では雇用は32%増の約10万2000人だった。
 
さらに同省によれば、米国における太陽光と風力による発電量は全体の10%を占めており、今年3月の時点で、風力による発電量は8%、太陽光は2%だった。カリフォルニア州など、いくつかの州では再生可能エネルギーによる発電量の割合はさらに高い。【11月17日 AFP】
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経済合理性からの再生可能エネルギー活用を後押ししているのが、トランプ大統領の意向に反して、温暖化対策を“新たな機会”と捉えて後押しする州・自治体、そして企業の存在です。

****トランプ政権に反旗!? 大都市や企業 新たなうねり****
カリフォルニア州やニューヨーク州など、9つの州と252の都市が、パリ協定順守を宣言。また1,500を超える企業、そして大学なども連携を始めました。その経済規模はアメリカの半分にも匹敵するといいます。こうした自治体や企業が今、世界の温暖化対策を動かし始めています。

開催中のCOP23では、トランプ大統領への批判が大きなうねりとなっています。その中心となっているのは、アメリカの複数の州や大企業のトップたち。政府との違いを鮮明に打ち出しました。合言葉は「私たちはまだ脱退していない」。

この新たなうねりの中心となり連携を呼びかけているのが、カリフォルニア州のブラウン知事です。(中略)
大きなねらいは、経済を加速する起爆剤としての役割です。電気自動車は急速に普及。世界最大の太陽熱発電所も誕生するなど、環境ビジネスが大きく成長しています。

若い起業家たちが集まるシリコンバレーでも、環境関連のベンチャー企業が次々と誕生しています。そこに世界中から投資が集まっているのです。(中略)

「国がやらないなら、私たちがやる」。カリフォルニア州は外国とも協力し、環境ビジネスを加速させようとしています。6月、ブラウン知事は中国の習近平国家主席と会談。再生可能エネルギー分野で経済協力を強めていくことで合意しました。

さらに、途上国に対する環境分野での支援も州独自で始めました。(中略)環境の分野でアメリカ政府との違いを鮮明に打ち出すカリフォルニア州。開催中のCOP23では、39か国の自治体と共に温暖化対策を主導していくことで合意しました。【11月15日 NHK「クローズアップ現代」】
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“11日、「COP23」でニューヨークのブルームバーグ前市長と、カリフォルニア州のブラウン知事、それにアル・ゴア元副大統領など、自治体や企業の代表者がトランプ政権とは一線を画して、温室効果ガスの削減に連携して取り組んでいくと強調しました。”【11月12日 NHK】

温暖化対策に積極的な州は、国際的枠組みにも参加を表明しています。

****2030年までに石炭発電全廃目指す国家連合設立、米2州も参加****
ドイツのボンで開催中の第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)で、20カ国と米2州が参加し2030年までに石炭発電を全廃することを目指す国家連合が結成された。

名称は「Powering Past Coal」で、二酸化炭素の回収・貯蔵などの技術を共有して石炭使用を削減し、温暖化ガス排出を抑制していく。

参加しているのは、英国、フランス、カナダ、メキシコ、オーストリア、米ワシントン州、オレゴン州など。

法的拘束力はないが、2018年にポーランドのカトビツェで行われるCOP24までに50カ国・地域以上の参加を目指す。

カナダのマッケナ環境・気候変動相は、連合の結成式で記者会見し「パリ協定の目標を達成するには、石炭(の使用)をやめる必要がある」と指摘。「石炭は文字通り人々を窒息させ死なせており、緊急性がある。市場も世界も動き出している。石炭(の時代)は戻ってこない」と語った。【11月17日 ロイター】
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世界の流れは脱石炭に向かっています。そこでは環境関連ビジネスが大きな投資機会となり、今後の成長をけん引することにもなります。

脱石炭の流れは、基本的には、再生可能エネルギーがどんどん効率化・低コスト化して相対的に有利なり、あらたなビジネスチャンスも生み出しているという経済合理性によるシフトでしょう。

トランプ大統領がコアな支持層対策として石炭に固執したとしても、この流れを止めることはできず、結果的には雇用増大をもたらす環境関連ビジネスに乗り遅れることにつながるように思われます。

****太陽光発電の「新時代」、再生可能エネルギーの成長に拍車 IEA****
国際エネルギー機関(IEA)は今月、太陽光発電における「新時代」と中国での堅調な拡大が主要なけん引力となり、再生可能エネルギー産業は予想を上回るペースで成長しているとする報告書を発表した。
 
IEAのファティ・ビロル事務局長は報告書の中で、「われわれが目の当たりにしているのは、ソーラーPV(太陽光発電)における新時代の始まりだ」、「太陽光発電能力は2022年までに、他のいかなる再生可能テクノロジーよりも増大するだろう」と述べている。
 
IEAの算出によると、昨年、太陽光発電容量は世界全体で50%増加。その増加分のほぼ半分を占めたのは中国だった。さらにIEAは「太陽光による発電容量が初めて、他のどの燃料(による発電容量)よりも早いペースで増加し、石炭の純増を上回った」と述べている。
 
また報告書は、太陽光発電分野の拡大に押し上げられることによって、「再生可能エネルギー産業は今後数年にわたって堅調に成長し続け、その発電容量は2022年までに43%増加すると見込まれる」としている。
 
再生可能エネルギーが昨年、世界全体の新規発電容量に占めた割合は約3分の2だとIEAは算出している。
 
ビロル氏は、「再生可能エネルギーは2022年までに、約1000ギガワット増加するとわれわれは見込んでいる。これは、現在の火力発電による世界全体の発電容量の約半分に相当する」と述べた。
 
IEAが再生可能エネルギーの成長予測を上方修正したのは、中国とインドで新たに太陽光発電容量が増加したことが主な要因となっている。
 
IEAは、「中国、インド、米国の3か国は2022年までに、世界全体の再生可能エネルギーの増加量のうち3分の2を占めるだろう」、「太陽光発電の総容量は同時期までに、現在のインドと日本の総発電容量の合計を上回るとみられる」と述べている。
 
2016年に再生可能エネルギーが総発電量に占めた割合は24%で、2022年までにこの割合は30%になるとみられている。
 
中国は、今後も世界全体の40%に相当する360ギガワット以上の発電容量の増加が見込まれることなどから、再生可能エネルギー発電の容量拡大において先導的立場にある。IEAは「中国における再生可能エネルギーの成長は、主に大気汚染に対する懸念によって推進されている」と述べている。

また米国は国レベルでの政策が不透明ながらも、再生可能エネルギーの分野で世界第2位の成長市場となっている。【10月20日 AFP】
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シベリア永久凍土融解で出現するのは天然痘か未知の病原菌か・・・

2017-08-03 22:38:13 | 環境

(ロシア・ヤマル半島のヤルセールで、トナカイの体調を診る獣医師。ロシア非常事態省提供(2016年8月8日提供)【2016年8月15日 AFP】)

毎年50cmから1m後退するアルプス氷河
非常に長い期間でみる必要がある“温暖化”に関しては、素人には実感しづらいものもありますが、北極海やグリーンランドの氷の融解とか、氷河の縮小といった現象は比較的わかりやすいバロメーターでしょう。

特に、微妙な温度のバランスで成立していた氷河の後退・縮小は、“目に見える”形で、変化が起きつつあることを示してくれます。

今日も氷河の融解によって、“スイスの警察当局は2日、アルプス山脈で30年前に行方不明となったドイツ人登山者の遺体が、氷河に埋まった姿で発見されたと明らかにした。”【8月3日 AFP】というニュースがありましたが、同様の現象は珍しくなくなっています。

****氷河で75年前の遺体、アルプスの融解著しく****
7月13日、スイス・アルプスのツァンフルロン氷河の近くで、スイスのスキー会社社員が設備の定期メンテナンスを行っていたところ、氷から突き出している足を見つけた。さらに調べると、靴と帽子、そして凍結して黒ずんだ2人の遺体が見つかった。
 
靴職人だったマルスラン・デュムランと教師だったフランシーヌ・デュムランの夫婦が行方不明になったのは今から75年前のことだ。(中略)

この件を最初に報じたスイス紙「Le Matin」によると、この雪深い地域から遺体が見つかるのはこれが初めてではない。2012年には1926年に消息を絶った3人の兄弟が、2008年には1954年に遭難した登山者が見つかった。さらに2012年には、2008年に山で行方不明になった2人の遺体が見つかっている。
 
1925年以降、アルプスやその周辺では、280人が行方不明になっている。

失われゆく氷河
「この氷河では、毎年50センチから1メートルほどの氷が失われています」とツァンネン氏は話す。「80年前は、今よりもはるかに大きかったのです」
 
デュムラン夫妻が見つかったのは地球温暖化が原因だと、ツァンネン氏は考えている。氷河が急速に解けたことで、埋もれていた遺体が露出したというわけだ。
 
風光明媚で知られるアルプスだが、氷が着々と解けているのはまぎれもない事実だ。一番の問題は、どのくらいの速さで解けているかだ。
 
2006年に発表された調査でアルプスの夏季の氷は2100年までに消滅するとされていたが、2007年の調査はさらに厳しい予測となり、氷は2050年までに消えるとされている。
 
スイスのチューリッヒ大学に拠点を置く世界氷河モニタリングサービス(WGMS)の報告書によると、アルプスの氷河の厚みは2000年から2010年の間に毎年1メートルずつ減少している。
 
WGMSの所長は、2013年の報告書でこの氷の融解を「前例がない」と評している。(後略)【7月21日 NATIONAL GEOGRAPHIC】
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温暖化に関する議論全般の同様、氷河についても異論はあるところのようですが、氷河の後退・縮小は氷河湖の決壊による大規模災害、更には氷河を水源とする河川水量減少による流域社会・経済への多大な影響がるともされています。

アラスカ永久凍土融解で段々畑状の砂漠が出現
氷河同様に“目に見える”形での変化が進んでいるのが永久凍土の融解です。

永久凍土の融解が長期的にどのような影響をもたらすかは総合的に検討する必要がありますが、道路・水道などインフラや建物などの被害はすでに出始めているようです。

****アラスカの森に「砂漠」の段々畑 永久凍土解けて変化か****

北極圏に近い米アラスカ州の森林地帯に、異様な形をした「砂漠」がある。現段階で原因ははっきりしないが、地球温暖化がすすめば、こうした地形が増える可能性が懸念されている。
 
「デューン」と呼ばれるこの地形は、同州西部のノームから東へ約400キロの永久凍土地帯にある。空から見ると、直径数キロの大小二つの円形が東西に並び、中心から外側に向けて巨大な段々畑のような構造だ。段差は数メートル。森がのみ込まれているようだ。
 
周辺はもともと砂が多く、降水量が年300ミリ程度と少ない。アラスカ大のウラジミール・ロマノフスキー教授によると、何らかの原因で凍土が解け、当初は池などが広がったが、水面から蒸発したり、保水力の低い土壌から水が抜けたりして、徐々に乾燥、風化してつくられた可能性があるという。
 
米地質調査所などの昨年の調査では、年間数十センチずつ広がっている。デューンは1950年代にはその存在が知られていたが、温暖化と永久凍土の変化の関連から注目され、最近、研究が本格化している。
 
永久凍土の融解がすすむと、二酸化炭素(CO2)やより温室効果が高いメタンガスが放出され、さらに温暖化を加速させる悪循環の恐れが指摘されている。
 
アラスカ州最北端の町バローから東へ沿岸約300キロにわたっては、凍土が解けてできた丸い融解湖が続く。
 
季節ごとに融解と再凍結を繰り返してきたが、温暖化で解けている期間が長くなった。本社機「あすか」からは、周囲の融解湖がつながって巨大化したり、湖の跡が風化したりしている様子が見られた。より南部では、大規模な融解で川岸に地滑りが起きたり、融解湖に水没した森が枯れたりしていた。
 
同乗した米アラスカ大の岩花剛・助教は「こうした変化が起こること自体は異常ではないが、地球温暖化でそれが加速していることも間違いない」と話した。
 
融解湖の下では、氷に閉じ込められていた有機物が分解され、メタンが発生する。凍土が解けた後に乾燥すれば、CO2も出る。
 
日本大などは、人間が温室効果ガスの排出を抑えても、こういった北方林やツンドラから温室効果ガスが今世紀中に計約400億トン(CO2換算)も排出されると試算する。これは人間が1年間に排出する温室効果ガス全体に匹敵する。
 
温暖化で植生も変化するとみられる。森から草原へ移行したり、デューンのような砂漠地帯が増えたりすれば、温室効果ガスが排出される。一方で、温暖化で降水量が増えれば、場所によっては、植物が大きく育ち、CO2を吸収する可能性もある。
 
あすかに同乗した、温暖化予測モデルが専門の横畠徳太・国立環境研究所主任研究員は「気温上昇は確かでも、降水量や植生の変化の予測は難しい。上空からは、凍土の状況が場所によって異なることがよくわかった。それらを考慮に入れて予測することが重要だと再認識した」と述べた。(後略)
     ◇
凍土融解で、市民生活にもすでに影響が出ている。
 
同州第2の都市、フェアバンクス。市内の道路は波を打ったようにでこぼこだ。凍土は地下に均一にあるわけでなく、解け方も日照や植生で変わる。部分的に解けたり、ほかより大きく融解したりした場所が陥没したとみられる。
 
アラスカ全土の約38%は表土近くに永久凍土層があり、今世紀中に最大で4分の1が失われるとの予測もある。道路だけでなく水道管やビルも損傷を受ける。人の命にもかかわる。(後略)【7月17日 朝日】
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シベリアでは昨年は炭疽菌 将来的には・・・・
永久凍土と言えば、アラスカもさることながら、やはりシベリアでしょう。

シベリアの永久凍土の融解によって過去の炭疽菌が凍土からよみがえり、トナカイ、更には人間への感染が確認されている・・・という怖い話は、1年前の2016年7月29日ブログ“シベリア炭疽菌感染が示す温暖化による永久凍土融解の危険性 温暖化問題に否定的なトランプ氏”でも取り上げました。

昨日ブログでは人工知能AIが神になる・・・といった近未来SFの定番ネタのような話を取り上げましたが、永久凍土が解けて未知の病原菌が現れ、アウトブレイクするという話もやはり近未来SFの定番ネタです。

しかし、昨日のAI同様、こちらも上記炭疽菌感染でもわかるように、映画・ドラマだけの世界とは言えない現実もあるようです。

地形変化はアラスカの「デューン」(段々畑状の砂漠化)に対し、シベリアでは水泡のようなふくらみ「ブグニャフ(小丘)」と呼ばれるもので、激しい爆発を伴うようです。

(爆発でできたクレーター 【2015年11月29日 カラパイア】)

****シベリアで発生「致死病原体」の恐怖 温暖化「凍土氷解」が生んだ異常事態****
ロシア北極圏最大級の天然ガス資源埋蔵地、ヤマル半島で今夏、巨大な爆発が数百件、連続して起きている。地球温暖化でシベリアの永久凍土(ツンドラ)が急速に溶解し、閉じ込められていたメタンガスなどが放出されたのが爆発の原因だ。
 
ヤマル半島の液化天然ガス(LNG)共同開発は、安倍晋三首相とプーチン大統領の昨年の日露首脳会談で合意しているが、シベリアでは温暖化が地球の他地域より急速に進み、同半島では致死性の高い病原菌が大気に放出されるなど、非常事態が頻発している。(中略)
 
現地調査したモスクワの「石油ガス研究所」のワシリー・ボゴヨウレンスキー教授は地元メディアに対し、「爆発は地球温暖化が原因」との見解を即座に語った。
 
同教授らのチームによると、地下の永久凍土が氷解し、水が地下に浸透して消えた空洞部分に、ガスが急速にたまった。地上から見るとまるで水泡のように地面がガスで膨らんだ末に、大爆発を起こすのだという。
 
ヤマル半島周辺での爆発は数年前から観測されているが、近年は頻度が激増し、規模も大きくなった。
 
今年は、七月初旬までに確認できただけで七百回以上あった。水泡のようなふくらみは、「ブグニャフ(小丘)」と呼ばれ、半島全域で少なくとも七千あるとされる。
 
荒涼とした同半島は元来、住民からも「地の果て」と呼ばれる寂寥の地。そんな風景と極地の荒天に慣れっこの先住民にも、メタンの連続爆発は「地獄絵図」と映った。爆発後にできた巨大クレーターは、深さ五十メートル以上、幅数十キロに及ぶものもあり、「地獄への入り口」と名がついた。

遊牧民やトナカイが炭疽菌に感染
連続爆発自体が恐ろしい事態だが、恐怖はこればかりではない。
 
昨年八月、ヤマル半島の遊牧民の間で突如、炭疽菌が原因と見られる症状が多発し、トナカイがばたばたと死んでいった。ロシア軍の生物兵器処理班が出動し、十二歳の少年一人が死亡したほか、約二十人が感染し治療を受けた。二千頭以上のトナカイが死んだ。
 
ロシアはソ連時代から密かに生物兵器として炭疽菌培養をしており、一九七九年に漏出事故を起こしたこともあった。だが今回の原因は、ツンドラに閉じ込められていた炭疽菌が、ツンドラの氷解とともに地表や川に放出、遊牧民が汚染された水や食物をとったため、感染したと見られる。
 
地元当局者は「ここでは一九四一年に炭疽病の流行があった。その時に死んで埋葬された人やトナカイに付着していた炭疽菌芽胞が、昨年の猛暑によるツンドラ氷解で、放出された」という見解を発表した。昨年はヤマル半島だけでなく、北部シベリア、極東地域が異常な高温に見舞われ、同半島では七月に摂氏三十五度に達した。平均気温より二十五度も高い猛暑だった。
 
極東サハ共和国のベルホヤンスクはオイミャコンと並んで、世界中の地理教科書に「世界一寒い村」と紹介される極寒の地だが、昨年は十一月になっても気温十九・二度を記録した。例年なら零度~零下が普通の場所である。
 
ロシア全体では、二〇一五年までの十年間で平均気温が〇・四三度上昇した。一〇年には特に厳しい熱波の直撃を受け、モスクワの最高気温が三十九度に達し、「世界一寒い村」オイミャコンで三十四・六度を記録した。今年もまた各地で熱波の記録が出ており、シベリアのクラスノヤルスク市で三十七度を超えた。同市は通常なら夏は冷涼、冬は零下二十度まで下がる、典型的なシベリアの都市だ。
 
そんなシベリアで、永久凍土が昨年さらに今年と、春から秋にかけての長期間、高温にさらされた。凍土が氷解したことが、連続大爆発や致死性の高い病原菌の放出を引き起こした原因だった。
 
一般的には、冷凍庫で大半の黴菌は死ぬ。同様に、大半の病原菌はツンドラの氷結、低温を生き延びることができない。
 
だが、現地調査したロシアの研究チームによると、今回の炭疽菌は自ら芽胞を作って、その中で生き残り、七十年以上を経て地表に出現したという。

同チームの研究者ボリス・ラビッチ氏とマリーナ・ポドルナヤ氏は、炭疽菌以外にも、「シベリアで十八世紀や十九世紀に存在した、致死性の高い病原菌が、媒介生物の死骸に付着したまま生き残り、ツンドラ氷解で放出される可能性がある」と結論づけている。
 
シベリア・極東では一八九〇年代に天然痘が大流行し、人口の四割を失った町もあった。また一九一八年のスペイン風邪の世界的流行からも、シベリアは逃れることができなかった。歴史的には腺ペスト、破傷風、ボツリヌス中毒もあり、致死性の高い病原菌のほとんどがシベリア・極東の凍土から露出する危険がある。

天然痘は人類が「根絶」した唯一の感染症で、世界保健機関(WHO)は八〇年に「天然痘根絶宣言」を発した。だが、それを覆す危険が、ロシアの凍土に眠っているのである。
 
ツンドラは地表が非常に硬く、伝染病で死亡した人の埋葬でも、それほど深く掘られることはない。また、極東では川瀬に集団埋葬地が設けられることが多い。極東コルイマ地域で、十九世紀末に天然痘大流行が起きた時には、大半の死者はコルイマ川の川瀬の墓地に埋められた。

こうしたシベリア・極東の川瀬は、近年の温暖化による河川増水と氾濫で、次々と侵食され、遺体が流出している。

現代の人類が未体験の病原菌も
致死性の高い病原菌復活というだけでも空恐ろしい話だが、「現代の人類が経験したことのない病原菌が、現れる可能性がある」と指摘する研究者もいる。ホモ・サピエンス出現以前の数万~数百万年前の病原菌だ。
 
シベリア以外では二〇〇五年に、米航空宇宙局(NASA)の調査チームがアラスカ州の凍土から、三万二千年前のバクテリアを発見した。さらに〇七年には、南極大陸で発見された八百万年前のバクテリアが生き返ったことも観測された。
 
シベリアで現地調査したフランス研究チームのエクス=マルセイユ大学ジャン=ミシェル・クラベリー教授は、「暗くて冷たく、酸素のない永久凍土は、病原微生物に格好の住処となりうる」とした上で、「ネアンデルタール人を死滅させた病原菌が、地球から消滅したと思い込むのは間違いだ」と指摘する。
 
ネアンデルタール人は三万~四万年前に、シベリアにいたことが確認されている。また、ネアンデルタール人の兄弟種とされるデニソワ人は、シベリア・アルタイ地方で生活の痕跡や子供の骨が見つかった。
 
どちらも絶滅に至った過程は不明だが、病原菌による感染が有力視され、現在でも解明されてはいない。
 
シベリアの凍土から、致死性の高い病原体が生き返って人類を危機に陥れるというストーリーは、久しくSF小説の主題でもあった。英国人作家ブライアン・フリーマントルの小説『アイス・エイジ(邦題=シャングリラ病原体)』(新潮文庫)では、人間を瞬時に老化させる架空の病原体が扱われた。こうしたSF小説の世界は、シベリア・極東での温暖化進行で、次々と現実の恐怖に変わりつつある。(後略)【「選択」2017年8月号】
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話としては、1年前のブログで取り上げた話の焼き直しですが、こういう“パンデミックもの”が個人的に好きなものですから・・・。

現在のインフルエンザウイルスよりも30倍も早く増殖する能力を持ち重症化しやすいスペイン風邪、現在では免疫を持っている人はほとんどいないとされる天然痘、更には何百年前の未知の病原菌となると、その影響は甚大です。

怖い話ではありますが、このペースで永久凍土が融解していけば、“やがて厄介な何かが出てくる”と考える方が自然でしょう。


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温暖化対策に背を向けるトランプ大統領 代わって中国が主導権 世界的潮流を重視する経済界は反対

2017-04-05 22:19:57 | 環境

(【3月30日WEB RONZA】再生可能エネルギーの急拡大、それに伴うコスト低下は、環境問題抜きにしても、再生可能エネルギーに向かう流れを生み出しています。)

地球温暖化の研究は税金の無駄?】
かねてより想定されていたように、アメリカ・トランプ大統領が温暖化規制の見直しに着手しています。

****オバマ温暖化規制を見直し、トランプ氏が大統領令に署名 「パリ協定」実現遠のく****
トランプ米大統領は28日、オバマ前政権時代に導入された地球温暖化対策に向けた規制を見直す大統領令に署名した。

米国の温暖化対策の後退は必至で、パリ協定で目標とした二酸化炭素(CO2)排出量の削減も困難になる見通し。トランプ氏は署名に際し「米国の雇用を奪う規制をやめる歴史的な一歩だ」と訴えた。
 
見直しを指示した規制の中には火力発電所のCO2排出を抑える「クリーン・パワー・プラン」も含まれる。地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」で米国が示したCO2などの温室効果ガス削減目標を達成する中核的な政策で、大幅に見直せば実現が遠のくことになる。
 
CO2排出量が中国に次ぐ世界2位で、これまで世界の温暖化対策をリードしてきた米国の方針転換は、協定に参加する他国の意欲をそぐなど悪影響を及ぼすことが懸念される。

ただし今回の大統領令はパリ協定の取り扱いに触れていない。政権内では協定からの離脱をめぐって主要メンバーの意見が割れているとされる。
 
大幅な見直しは環境団体による訴追に発展する可能性が高く、施策に反映させるまで曲折もあり得る。パリ協定で米国は国内の温室効果ガス排出量を2025年までに05年比で26~28%削減する目標を提出。クリーン・パワー・プランは火力発電所からのCO2排出量を30年までに05年比で32%削減するとしていた。
 
大統領令はこのほか、オバマ前政権が温暖化対策で凍結した国有地での石炭採掘の新規認可も認めた。国内で石油や天然ガスの探鉱や開発も促進するよう指示した。また、前政権下で推進された、炭素を排出することによって生じる社会的な費用・影響の計算もやめる。【3月30日 SankeiBiz】
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トランプ政権の温暖化対策への否定的な見解は、大統領令に先立って、すでに明らかにされていました。
米環境保護局を繰り返し提訴してきたプルイット氏を米環境保護局長官に据えるというのは、その最たるものです。

****米環境長官、温暖化とCO2の関連を疑問視 科学者ら猛反発****
米環境保護局(EPA)の新長官に就任したスコット・プルイット氏は9日、二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の主な原因ではないとの見方を示した。気候変動をめぐる科学界の合意と真っ向から対立する見解だ。
 
化石燃料擁護派として知られるプルイット氏は、オクラホマ州司法長官時代に繰り返しEPAを提訴しており、EPAトップへの起用は大きな論争を巻き起こしていた。
 
プルイット氏は米経済専門局CNBCに対し、「人間の活動が気候に与える影響を正確に測定するのは非常に困難であり、影響の規模に関しては意見が大きく分かれる。私は、それ(CO2)がわれわれの目にする地球温暖化の主な原因だとする考えに賛同しない」「議論を継続し、見直しと分析を繰り返していく必要がある」と述べた。
 
この発言を受け、科学界は即座に猛反発。一部の科学者からは、プルイット氏の辞任を求める声も上がっている。米国立大気研究センター(NCAR)のケビン・トレンバース氏は「CO2の増加が地球温暖化の主な要因であることは疑いがない」とし、プルイット氏にはEPA長官を務める資質がないと批判した。【3月10日 AFP】
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温暖化に関する研究は“税金の無駄”とも。

****温暖化研究「税金の無駄」・・・・米政権が方針強調****
米国のマルバニー行政管理予算局長は16日の記者会見で「(地球温暖化の研究に)もうお金は使わない。税金の無駄だ」と述べた。
トランプ米政権が温暖化対策を後退させる方針を改めて強調した。(後略)【3月17日 読売】
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CO2濃度が主因かどうかについては異論もあるものの・・・
温暖化が進行しているのはほぼ事実でしょう。

****地球温暖化、これまでの予測を13%上回るペースで進行―米メディア****
世界的な温暖化に、新たな証拠が加わった。 米オープンアクセスジャーナル「Science Advances」が掲載した、中国と米国の科学者が行った共同研究の成果によると、世界的な温暖化のペースはこれまでの予測を13%上回るという。科技日報が伝えた。

論文の筆頭著者、中国科学院大気物理研究所副研究員の成里京氏は、記者の取材に応じた際に「温室効果ガスの排出により、地球には多くの熱が留められることになり、その温暖化を直接促す作用を及ぼしている。これらのエネルギーの9割以上が海の中に留められている。そのため海洋の熱含量の変化は、気候変動の重要な指標だ」と指摘した。(後略)【3月17日 Record China】
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大気中のCO2も確実に上昇しています。

****大気中のCO2濃度、16年に史上最高 今年も上昇中 米海洋大気局****
米海洋大気局(NOAA)は10日、大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度が2016年に観測史上最高を記録し、今年1~2月にも上昇を続けているとの報告書を発表した。(後略)【3月11日 AFP】
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問題は、進行する温暖化がCO2などの温室効果ガスの増加によってもたらされているかどうかの判断です。
この点に関しては、必ずしも自明ではないとの指摘もあるようです。

****米政権交代で弾み? 「温暖化CO2主因説」の再検証****
二酸化炭素(CO2)による地球温暖化を否定するトランプ米大統領が、火力発電所に対するCO2排出規制の撤廃に踏み出した。去年の大統領選以降、米科学界はトランプ氏の姿勢について「科学の軽視は許されない」と猛反発しているが、人為的なCO2の排出を気候変動の主因とする温暖化論はいまだ仮説の域を出ていない。CO2以外の気候変動のさまざまな要因を検証する研究が進められており、異論も出ている。

■大きな自然変動要因
3月18日、都内で開かれた北極域の研究報告会で、国立極地研究所国際北極環境研究センター長の榎本浩之教授(雪氷学)は、北極研究を富士登山に例えると何合目に達したかと司会者に問われ、「少し登ったつもりでもまだ麓をうろついているだけ。何かが分かったと思うのは間違いだ」と、科学的な知見がまだ乏しいことを素直に認めた。
 
その端的な例として榎本教授が示したのは、最近、英科学誌に掲載された米カリフォルニア大学の論文だ。最近の北極海氷の減少の半分近くは自然変動がもたらしているという内容で、定量的な分析は初めてという。北極域は地球温暖化の影響が最も現れていると見なされてきたが、自然変動要因がこれほど大きいとなると、温暖化の解釈は容易ではなくなる。

20世紀末から観測された地上気温の停滞(ハイエイタス)は、CO2濃度が高くなると気温が上がるとする単純な温暖化シミュレーションが通用しないことを物語った。大気と海洋の相互作用を加味すると、気温の再現性が改善されることが分かった。この場合、人間の手が直接及ばない海洋の影響がやはり半分ほどになるという。
 
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、人為的な温暖化ガス排出のリスクを評価し、実質的にはパリ協定を通じて各国に対策を促している。しかし、温暖化ガス以外の気候変動要因を深く検証することはせず、むしろ軽んじてきたのが実情だ。この結果、シミュレーションでは再現できないハイエイタスのような現象に向き合いにくい。

■太陽や宇宙線の影響も
気候変動要因として、ずっと以前から取り沙汰されているのが太陽の影響だ。名古屋大学の草野完也教授(天体物理学)は「太陽からの総放射量の変動幅は0.1%ほどだが、紫外線は数%から10%。成層圏から対流圏への波及が考えられる」と話す。活発な時期に大量に放出される太陽風は大気上層の空気をイオン化し、大気の化学組成を変えるという。
 
草野教授は「こうした要因はこれまでのシミュレーションにほとんど入っていない」と指摘したうえで「複雑な科学を十分に吟味した上で政策に反映してもらいたい」と注文をつける。同氏は約1000年前に現代ほど暖かだった中世温暖期も太陽の影響が大きかったとにらんでおり、実証を目指している。
 
はるか宇宙のかなたから飛来する放射線の働きも分かってきた。立命館大学の北場育子准教授(古気候学)らは、地球の磁場が弱まると宇宙放射線が雲のもととなり、太陽光を跳ね返して気温を下げる効果があることを、数十万年前の大阪湾の堆積物から解明した。現在、地球磁場はゆるやかながら減少しており、雲と宇宙放射線の関係はさらに注目されそうだ。【4月3日 日経】
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素人がとやかく言える話ではありませんが、上記のような異論がある一方で、多くの専門家・科学者がCO2濃度の温暖化への作用を肯定しているのも事実であり、もしCO2濃度が主因であるとしたら、対応への時間低余裕が残されていない現状にあっては、政策決定者は異論より主流派見解に基づいて行動をするのが合理的でしょう。

自分にとって“好ましい”異論に固執するのは合理的判断とは言えません。
少なくとも、主流派見解に逆らってCO2濃度が主因でないと考えるのであれば、それこそ税金を大量に投入してそのあたりの検証に努めるべきであり、温暖化研究を「税金の無駄」とするような発想は、科学的根拠を全く欠いた独断・偏見にすぎません。

石炭産業の雇用を救済するため人類的課題を放棄? 主導権を狙う中国
その結果、アメリカが被害をこうむるというのであれば自業自得ですが、世界第2位のCO2排出国であるアメリカの対応によって全世界が影響を受けることいにもなり、迷惑千万な話です。

ましてや、言われているように“石炭産業の雇用を救済するため”になされた大統領令・・・という話であれば、無責任としか言いようがありません。

****<温室効果ガス>米の削減目標達成「無理」 NGO分析****
トランプ米大統領が出した大統領令によってオバマ前政権の地球温暖化対策がまったく実行されない場合、米国が掲げる温室効果ガスの削減目標を「達成できないことはほぼ確実」とする分析結果を、科学者らで作る国際NGO「クライメート・アクション・トラッカー(CAT)」が発表した。

米国は温室効果ガスを2025年までに05年比26〜28%削減する目標を掲げているが、「6%の削減にとどまる」と指摘している。
 
オバマ前政権は、火力発電所からの二酸化炭素(CO2)排出量を制限するよう義務づけ、CO2排出量の多い石炭火力の新設を事実上不可能にした「クリーンパワー計画」を掲げた。トランプ氏の大統領令は、同計画に基づく一連の政策を「停止か、修正か、取り消す」よう環境保護局に命じ、石炭などの採掘規制も緩和する。
 
CATの分析では、同計画を完全に実施すれば25年に05年比で9%削減できるとした。オバマ前政権が決めた「気候行動計画」で車両の燃費改善などが進めばさらに約17%を削減でき、目標の達成が可能とした。しかし、トランプ大統領はどちらの計画も実行しない方針で「今後の排出削減は見込めない」とした。
 
米国は世界第2位の排出国で、温暖化対策の国際枠組みのパリ協定が骨抜きになることが懸念される。
 
ただし、CATは「クリーンパワー計画の廃止には多大な手続きと時間がかかる上、太陽光や風力発電などの低コスト化で、市場は再生可能エネルギーにシフトし始めている。大統領令で大幅に化石燃料の使用が増えるかは不透明だ」とも指摘している。【4月4日 毎日】
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アメリカが温暖化対策から撤退することは、人類的課題への対応・責務を放棄し、中国がこの分野での主導権を握るという話にもなります。

****温暖化対策の主導権が中国へ?トランプ大統領令で****
CO2削減で大きく後退する米国、大気汚染対策に熱心な中国
トランプ米大統領は3月28日、オバマ政権時代の気候変動対策を大幅に見直す大統領令に署名した。この問題で世界をけん引してきた米国は表舞台から立ち去ろうとしている。代わりに、今後は中国が温暖化対策で主導権を握ることになりそうだ。(中略)

「今回の大統領令は、石炭産業の雇用を救済するためだと言われています。簡単に言えば、そういうことです」。石炭火力発電を支持する企業で組織された電力信頼性調整委員会(ERCC)のスコット・シーガル氏はいう。(中略)

一方、中国のリーダーたちは石炭による発電を減らす方向へ動いており、炭素排出量を削減するには世界的に足並みをそろえる必要があるとの姿勢を改めて強調した。(中略)

ビジネスチャンスを逃す米国
気候変動に関する政策がどうであれ、再生可能エネルギーは、価格が急上昇することもある化石燃料への緩衝材となり、また回復力のある電力網を構築し、大気もきれいにとして注目が集まっている。ブルームバーグ・ニュー・エネルギー・ファイナンスによると、2040年までに世界で8兆ドル近くが再生可能エネルギーに投資される見通しだ。
 
米国も、その市場シェア獲得に奔走している。(中略)ここでもおこぼれにあずかるのは、世界有数の風力発電と太陽光発電の製造工場を有する中国だろう。コーテンホースト氏は警告する。「再生可能エネルギーへの移行から米国が手を引くなら、空から降ってきた市場機会を、中国がこれ幸いとさらっていくでしょう」【3月31日 NATIONAL GEOGRAPHIC】
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中国が温暖化対策に積極的になりだした理由、中国の対応の問題点などは今回はパスします。
温暖化対策でも、自由貿易でも、中国が主導権という奇妙な話です。

エクソンモービルも石炭大手もパリ協定離脱に反対
問題は、温暖化対策に後ろ向きな対応をとることは、上記記事最後に指摘されているように、経済的にもビジネスチャンスを失い、技術革新のきっかけを失いという高い代償を支払うことにもなるという点です。

このため、アメリカ国内にあっても、経済界はむしろトランプ政権の「環境より経済」という対応に反対しているとのことです。

****トランプの「反・温暖化対策」に反対する意外な面々****
・・・・しかし今回、意外なところから反発の声が上がっている。米経済界だ。

「温暖化はパリ協定のような多国間合意により世界規模で取り組むべき問題だと考えている」と、米経済界を代表する1人であるGEのジェフリー・イメルトCEOは29日、社内向けのブログに書いた(ブログ投稿を入手したポリティコが報じた)。「アメリカがこれからも建設的な役割を果たすことを願っており、GEはテクノロジーと行動を通じてこの取り組みをリードしていく」

イメルトによれば、地球温暖化は「広く認められた」科学であり、この問題に対処する環境技術は、環境保護だけでなく企業利益の点からも理にかなっている。

GEだけではない。米大手食品会社のマース、オフィス用品の全米チェーンであるステープルズ、衣料品の世界大手GAPなどが、英ガーディアンの取材に大統領令への反対を表明している。「トランプ政権がクリーン・パワー・プランのような規制を後退させる決断をしたことに失望している」と、マースの広報幹部エドワード・フーバーは言う。

ティラーソン国務長官の古巣エクソンモービルも

極めつけは、エクソンモービルだろう。テキサス州に本拠を置くアメリカ最大のエネルギー企業である同社も、反対意見を表明しているのだ。

トランプ政権からパリ協定に対する見解を求められたエクソンモービルは、3月22日、ホワイトハウスに書簡を送り、パリ協定は「気候変動のリスクに対処する効果的な枠組み」であり、アメリカは脱退すべきでないと伝えていた。かつて石油メジャーと呼ばれ、温暖化についても世論誘導などで批判を受けたこともある同社が、である。(中略)

確かに、アメリカでは今も地球温暖化に懐疑的な意見が根強いが、「環境より経済」を掲げる大統領の「反・地球温暖化対策」に対して、経済界から批判が相次いでいるのは皮肉という他ない。【3月30日 Newsweek】
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実際、温暖化対策で主導権を狙う欧州市場などでは、温暖化対策をとっていない企業は入札にも参加できない状況にもなっています。【3月30日 「温暖化対策、このままでは日本企業は世界の孤児に」 WEB RONZAより】

そうした世界市場からの圧力に加え、再生可能エネルギーの急速な普及により発電価格が劇的に下がっているという事実もあり、温暖化対策や再生可能エネルギー対応への努力を怠ることは世界の潮流に乗り遅れることにもなります。

そうした事情もあってか、トランプ政権の化石燃料重視政策の恩恵を一番受けると思われる石炭産業大手も、パリ協定離脱を思いとどまるように求めています。

*****パリ協定にとどまるべき、米石炭大手がトランプ政権に訴え****
地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を検討している米トランプ政権に対し、米石炭生産大手は、各社の国際的な利益を守るために離脱を思いとどまるよう政府に働きかけている。

ある政府当局者によると、クラウド・ピーク・エナジー<CLD.N>やピーボディ・エナジー<BTU.N>などは、パリ協定にとどまれば、米国は多様なエネルギー源を組み合わせて電源構成を最適化する将来の「エネルギーミックス」構想において、石炭の活用を推進することができると政府に主張している。

政府当局者は「未来は海外市場にある。石炭生産会社として米国のパリ協定離脱は最も避けたいことだ。離脱すれば、気候変動に関する国際議論の場で米国は発言する場を失い、欧州勢がこの問題で主導権を握ることになる」と語った。(後略)【4月5日 ロイター】
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なお、“トランプ大統領は昨年の選挙戦でパリ協定離脱を主張していたが、就任後はこの問題にさほど触れず、態度をやや軟化させたとみられる。”【同上】とも。

地球を人工的に冷やす
なお、以下のような興味深い話も。

****地球を人工的に冷やすことは可能か!?世界初の屋外実験がスタート****
<“火山の冬”を人為的につくりだし、地球温暖化を緩和しようという気候工学(ジオエンジニアリング)が注目を集めているが、屋外実験がはじめて行われる>

“火山の冬”とは、大規模な火山噴火によって二酸化硫黄ガスが成層圏に達し、これと水とが反応してできた雲が太陽光を遮ることで、地表と下層大気の温度が低下する現象のこと。”(後略)【4月5日 Newsweek】
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