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(「侍女の物語」・・・「極端な思想を持つ政権が、強硬な姿勢で国を変えていく」世界
舞台となる世界では、環境汚染によって不妊率が爆増、各国で深刻な少子化の解消が火急の課題となっていた。宗教主義国“ギレアド共和国”では、妊娠可能な健康な身体を持つ女性は家族、仕事、財産、人権を奪われ、“子どもを産むための道具=侍女”として上流階級の夫妻のもとに送り込まれることが法律で定められている…。【シネマカフェ】)
【「政権に忠誠を誓うか、辞めるか」 連邦政府職員を「ディープステート」として国民の敵に仕立てて粛清】
周知のように、急激な改革を推し進めるアメリカ・トランプ大統領は200万人超の連邦政府職員への破格の条件での早期退職を呼びかけています。残った職員には政権への忠誠を義務付ける内容で、退職に応じなければ、今後「政権に忠実でない」という理由で解雇されるおそれがあります。
****連邦職員に「早期退職」呼び掛け=米政権、200万人に大なたか―報道****
米メディアは28日、トランプ政権が200万人超の連邦職員に対し、「早期退職」を呼び掛けたと報じた。2月6日までに辞意を示せば、9月末までの給与を支給するという。
トランプ大統領は連邦機関を「ディープステート(闇の政府)」と敵視しており、自身に従わない公務員の追放を本格化させる。
報道によると、人事管理局が一斉送信したメールには、今後連邦機関が縮小され、職員の扱いが常勤雇用から「随意雇用」に移される可能性に触れられていた。さらに職員には「忠実さ」を測る新たな行動基準を課し、違反があれば解雇を含む懲戒処分の対象になると警告。「政権に忠誠を誓うか、辞めるか」を選ばせるような内容となっている。
軍や郵政公社、移民対策、国家安全保障に携わる者は対象外。正確な数は不明だが、ホワイトハウスは全職員の5〜10%が募集に応じると見込む。
ニューヨーク・タイムズ紙は、実際に政府が約束した給与を支払う能力があるのかは不透明な上、政治的圧力からキャリア公務員を守る法律に違反する恐れもあると指摘。
最大労組「米政府職員連盟」は声明で、「公務員の追放は多大な影響と混乱をもたらす」と批判し、組合員に安易に応じないよう呼び掛けた。
トランプ氏は既に、非政治任用職の解雇を容易にする職務分類を設ける大統領令に署名。意に沿わない職員を一掃する準備を進めている。
先週には連邦政府の「多様性、公平性、包摂性(DEI)」事業廃止を命じ、担当部署を事実上閉鎖。連邦職員の在宅勤務を認めない大統領令も出し、子育て世帯などが仕事を続けられなくなる可能性が指摘される。いずれの措置も連邦機関縮小や反対派排除に向けた「大なた」の一環とみられている。【1月29日 時事】
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連邦機関を「ディープステート(闇の政府)」と敵視・・・これまでは「陰謀論」扱いでしたが、トランプ大統領は大真面目です。
****連邦政府職員を「ディープステート」として国民の敵に仕立てて粛清し、トランプが得るものとは****
<選挙で選ばれたわけでもないのに国家の中枢で隠然たる権力を振るい、トランプのような「改革者」の妨害をしてきた「ディープステート」とは、実際はどんな人間たちなのか>
米ドナルド・トランプ大統領が目指す連邦政府解体に向けた取り組みの一環として、連邦政府人事管理局(OPM)が200万人を超える連邦職員に早期退職を呼びかけたことに批判の声が上がっている。
だが人事管理局はこの批判を一蹴しており、同局のマクローリン・ピノバー報道官は米公共放送ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)が報じた声明の中で、「(早期退職の提案は)組織の再編にあたって連邦職員を支援するため綿密な審査の上で考案された、またとない寛大なチャンス」だと述べた。(中略)
米退役軍人保健局のある職員は、現場の士気は「きわめて低い」と次のように語った。「私たちは怠慢で無能だと言われている。私たちも一般の人々と同じように仕事を持つ普通の人間なのに、トランプは彼らと私たち連邦職員を敵対させようとしている。これこそ職員の士気をくじき混乱を招くやり方だ」
怠惰で無能なくせに、隠然たる力でトランプのような「選ばれた指導者」の邪魔立てをする、それが陰謀論者の言う「ディープステート」で、トランプが再び大統領に返り咲いた今、連邦政府職員は完全に一般国民と敵対し、粛清すべき存在となった。(中略)
トランプ政権の高官たちは、思い切った連邦政府改革が必要だと主張し続けてきた。2024年11月の大統領選挙でトランプが勝利した後、イーロン・マスクは自らが所有するソーシャルメディアのX(旧ツイッター)で、いつもの調子でこう切り捨てた。
「政府の無駄使いの規模たるや、目も当てられないひどさだ!」
セントルイス連邦準備銀行によれば、2022年夏以降、連邦政府の職員数は増加を続けている。
財務省のデータによれば、2022年度の連邦政府の歳出総額は6兆7500億ドル。つまりマスクの掲げる2兆ドルの歳出削減目標を達成するには、政府の規模を一気に三分の一に削る必要がある。(後略)【2月6日 Newsweek】
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政権側は“全職員の5〜10%が募集に応じると見込む”とも報じられていますが、すでに4万人とも6万人ともいわれる職員が退職に応じています。
****トランプ政権の早期退職募集に4万人以上が応じる****
アメリカのトランプ政権が連邦政府の職員に呼びかけていた早期退職の募集に、4万人以上が応じたことがわかりました。
レビット報道官
「今後さらに増えると思いますが、4万人の退職で何千万ドルも節約できます。(この退職募集は)とても寛大な申し出です。出勤したくない人や国民の金を無駄にする人は早期退職の受け入れをお勧めします」
トランプ政権は先週、およそ200万人の連邦政府職員に対し、2月6日までに退職を決めれば9月までの給料を支払う一方で、勤務を続ける場合は週に5日間の出勤を求めることを通知しました。
(中略)ロイター通信は「6万人に上っている」と伝えています。(後略)【2月7日 TBS NEWS DIG】
レビット報道官
「今後さらに増えると思いますが、4万人の退職で何千万ドルも節約できます。(この退職募集は)とても寛大な申し出です。出勤したくない人や国民の金を無駄にする人は早期退職の受け入れをお勧めします」
トランプ政権は先週、およそ200万人の連邦政府職員に対し、2月6日までに退職を決めれば9月までの給料を支払う一方で、勤務を続ける場合は週に5日間の出勤を求めることを通知しました。
(中略)ロイター通信は「6万人に上っている」と伝えています。(後略)【2月7日 TBS NEWS DIG】
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この早期退職勧奨プログラムの申請期限は6日でしたが、期限直前に連邦地裁は一時差し止めの判断を示しています。
****政府職員への退職勧奨、一時差し止め CIA含む200万人超対象―米連邦地裁****
米東部マサチューセッツ州の連邦地裁は6日、トランプ政権が連邦政府職員200万人超に呼び掛けている早期退職プログラムを一時的に差し止めた。連邦職員を代表する労働組合が「法的根拠がない」としてプログラムの中止を求めていた。米メディアが伝えた。
トランプ大統領は「小さな政府」を志向し、連邦機関の大幅な縮小を公約している。
早期退職プログラムは6日深夜までに辞意を示せば、9月末までの給与を支給するという内容で、中央情報局(CIA)など情報機関も対象となる。米メディアによると、退職に応じなければ解雇される可能性がある。
連邦地裁は是非に関する審理が行われる10日まで同プログラムを差し止めた。既に退職に応じた職員の扱いは明らかになっていない。【2月7日 時事】
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あくまでも「一時差し止め」であり、プログラム自体が廃止された訳でもなく、見方によっては“期限が6日から10日に延期された”とも言えます。“ホワイトハウスは、この一時停止を退職者数を増やす機会と見ている”とも。
****米大統領令に待ったかける司法判断が相次ぐ 連邦職員の早期退職勧奨を停止、「出生地主義」廃止は差し止め****
ドナルド・トランプ米大統領が署名した大統領令に対し、裁判所が相次ぎ待ったをかけている。マサチューセッツ州の連邦地裁は6日、連邦職員に対して同日深夜までに自主退職するよう奨励するドナルド・トランプ大統領の計画について、一時的な停止を命じた。5日にはメリーランド州の連邦地裁が、アメリカで生まれた人ほぼ全員に自動的に市民権を与える「出生地主義」の廃止を命じた大統領令を差し止めた。
BBCがアメリカで提携するCBSによると、マサチューセッツ州のジョージ・オトゥール・ジュニア連邦地裁判事は、連邦職員組合が提起した訴訟で審理を行う10日まで、早期退職を呼びかける大統領令の計画を一時停止させる決定を出した。
トランプ政権は、連邦政府の規模を縮小する一環として、9月30日までの給与と引き換えに早期退職を奨励する計画を発表していた。
ホワイトハウスによると、4万人以上の職員が6日までの退職に同意したという。しかし、一部の職員はこの取引の条件に混乱があると話している。
判事の命令は、自主退職の期限である6日午後11時59分の数時間前に出された。
司法省の弁護士は、連邦職員に対して期限が一時停止されたことを通知すると述べたと、CBSは報じている。
ホワイトハウスは、この一時停止を退職者数を増やす機会と見ているようだ。
キャロライン・レヴィット報道官は声明で、「出勤を拒否する連邦職員が、この非常に寛大で一生に一度の申し出を受け入れられるよう、期限を延長してくれた判事に感謝している」と述べた。
人事管理局(OPM)は、期限を10日午後11時59分まで延長し、自主退職の手続きを続けるとしている。
OPMは、「このプログラムは阻止されているわけでも、キャンセルされているわけでもない」と述べ、「政府は延期された退職の申し出を尊重する」としている。
トランプ政権は以前、多ければ20万人の職員がこの申し出を受け入れることを期待していると述べていた。だがこの日は、期限直前に申し込みが急増するとみていると、米メディアに述べた。(後略)【2月7日 BBC】
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一部の職員はこの取引の条件に混乱がある・・・・それはそうでしょう。数日で「政権に忠誠を誓うか、辞めるか」を決めろという話ですから。
【縮小・解体が進む政府機関 対外援助機関は閉鎖へ】
ただ、並行して各省庁での人員削減が進んでいます。
“米政権、環境保護庁職員100人超を休職扱いに 司法省でも削減へ”【2月7日 ロイター】
“米政権、厚生省職員数千人削減へ大統領令を準備=報道”【2月7日 ロイター】
「多様性、公平性、包摂性(DEI)」関連部門や環境対策などリベラルな政策に関係する部署が標的となっていますが、機関そのものが消滅する形になっているのが紛争や貧困地域で医療や食料支援など対外人道援助を扱うUSAID(アメリカ国際開発庁)。
****対外援助機関「閉鎖しろ」と投稿 トランプ氏、世界で混乱拡大****
トランプ米大統領は7日、対外援助を担う国際開発局(USAID)について、自身のソーシャルメディアに「閉鎖しろ」と投稿した。同日の記者会見で「全てが詐欺だ。有効活用されているのはほんのわずかだ」と述べた。USAIDは職員が休暇に入るよう指示を受けるなど機能不全に陥り、世界各地で支援を巡って混乱が拡大している。
トランプ氏は、政府の支出削減を担う新組織「政府効率化省」を率いる実業家マスク氏が「大規模な腐敗や無駄を明るみに出した」と評価した。USAIDの事業や取引を自身でも確認したとし「不正か非常識なものだった」と強調。政府を挙げて調査を進めるとした。マスク氏もUSAIDの閉鎖を主張している。
USAIDはワシントンの本部が閉鎖され、米国外で支援事業に従事する職員は7日深夜から休暇に入るよう指示を受けた。
ロイター通信によると、政権は1万人以上の職員を611人(別報道では290人)に絞り込む計画。米紙電子版はUSAIDを巡る混乱がガザに対する食料やテント、医療品の支援を危険にさらしていると報じた。【2月8日 共同】
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人道支援に関しては、トランプ大統領は先月、90日間凍結すると発表しており、各地で事業の停止など混乱が生じています。
“ミャンマーからタイに逃れた避難民たちが暮らすキャンプでは、アメリカからの資金が止まった病院が閉鎖されました。ロイター通信は7日、肺の病気を患い入院していた71歳の避難民の女性が、病院の閉鎖によりキャンプ内の自宅に移ることを余儀なくされ、退院した4日後に死亡したと報じました。”【2月7日 TBS NEWS DIG】
USAID閉鎖については、期限の数時間前になってワシントンの連邦地裁判事が、設定された期限を一時的に保留するよう命じています。トランプ大統領が断行しようとする「改革」と司法による一時停止判断が交錯して、正直なところ何がなんだかよくわかりません。
【選挙で選ばれたわけでもないのに国家の中枢で隠然たる権力を振るうマスク氏への批判も】
このUSAID解体を推し進めているのが政府の新組織「政府効率化省(DOGE)」を率いる実業家マスク氏です。
****アメリカの影の大統領は誰なのか?タイム誌が表紙で疑問と警鐘****
ホワイトハウスで本当に権力を握っている人物は誰なのか――。米タイム誌が最新号の表紙で疑問を投げかけた。
最新号の表紙に描かれているのは、大統領執務机に座る世界一の富豪イーロン・マスク氏だ。片手に飲み物を持ち、歴代大統領が使用してきた机からじっとこちらを見ている。
マスク氏は2024年のアメリカ大統領選挙でトランプ氏を支持し、再選を助けた。ワシントンポストはマスク氏はトランプ氏支援に少なくとも2億8800万ドルを費やしたと分析している。
トランプ氏は大統領選挙に勝利した後にマスク氏をDOGEトップに任命し、さまざまな連邦政府のシステムへのアクセス権を与えている。その中にはマスク氏が所有する企業が連邦政府と結んでいる数十億ドル規模の契約も含まれている。
マスク氏は財務省の連邦政府の決済システムや中小企業庁(SBA)へのアクセスが許可されているほか、トランプ政権が発足してから数週間の間に、国際開発庁(USAID)の解体に向けた動きに関与したとされる。
ホワイトハウスはマスク氏の肩書きを「特別政府職員」としている。倫理規定によると、特別政府職員はフルタイム勤務ではなく、給与は支払われない。一方、CNNは関係者への取材として、マスク氏は最高機密にアクセスする権限を与えられていると伝えている。【2月8日 HUFFPOST】
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政府機関について“選挙で選ばれたわけでもないのに国家の中枢で隠然たる権力を振るう”ディープステートというなら、マスク氏こそ・・・・という感も。
マスク氏に関しては選挙でも選ばれた訳でもなく、その巨大な権限の範囲が明確でないこと、一部にマスク氏事業との利益相反的な面があることなど批判もあり、また、「影の大統領」とも言われる状況で、トランプ支持者との間での主導権争い的なものもあるようですが、そのあたりはまた別機会で。
【「米国に神を取り戻す」 「反キリスト教」取り締まりを指示 聖書的原則に基づく「キリスト教国家」に向かうのか】
縮小・解体される政府機関が相次ぐ中で、新設される機関がマスク氏の「政府効率化省(DOGE)」、そして反キリスト教的偏見を根絶するためのチーム。
****「米国に神を取り戻す」 トランプ氏が連邦機関での「反キリスト教」取り締まりを指示****
トランプ米大統領は6日、米国内に広がる「反キリスト教的な偏見」を根絶するためとして、連邦機関でのキリスト教差別などを取り締まるタスクフォース(TF)を司法省内に設置すると明らかにした。
トランプ氏を支持するキリスト教右派勢力が主張する米国の「キリスト教国家化」に沿ったもので、憲法が定める「政教分離」の原則に抵触する可能性が高い。
首都ワシントンで毎年開かれる全米祈禱(きとう)朝食会の関連イベントで表明した。トランプ氏は、司法省や徴税機関の内国歳入庁(IRS)、連邦捜査局(FBI)といった機関が「キリスト教徒を標的にし差別している」と主張。これらを「即座にやめさせる」ため、ボンディ司法長官に直属するTFを設置するとした。キリスト教徒に対する暴力には「完全な訴追」で対応するとも語った。
米憲法は「国教樹立の禁止」など政教分離の原則を定め、政府が特定の宗教・宗派を後押しすることを禁じている。これに対しトランプ氏の支持層には、米国は聖書的原則に基づく「キリスト教国家」であるべきだと主張する声が強い。
リベラル系の非営利団体「教会と国家の分離のための全米連合」は6日の声明で、「キリスト教ナショナリストによる米国を作り替えようとする試みの一部だ」とTF設置を批判した。
トランプ氏は6日の演説で、昨年起きた自身への2度の暗殺未遂で「宗教との関わりが変わった」とし、「米国に神を取り戻さなくてはならない」と強調した。1月20日の就任演説では、自身が暗殺を免れたのは「神に選ばれた」からだと述べていた。
またトランプ氏は6日、ホワイトハウスに信仰問題を扱う新部署を設置し、トップにキリスト教福音派の女性伝道師ポーラ・ホワイト氏を起用すると発表した。ホワイト氏は、トランプ氏の個人的な「霊的アドバイザー」とされ、第1次政権でもホワイトハウスと宗教界を結ぶ連絡役に任命された人物。「繁栄の神学」と呼ばれる現世利益的な信仰を説いており、伝統的なキリスト教界では異端視する向きも多い。【2月7日 産経】
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新部署のトップにキリスト教福音派の女性伝道師ポーラ・ホワイト氏は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連のイベントにビデオメッセージを寄せているとか。もっとも彼女だけでなく“トランプ政権と旧統一教会を巡っては、バンス副大統領が5日に教団と関連のある行事で講演している。”【2月7日 産経】
統一教会絡みはともかく、“米国は聖書的原則に基づく「キリスト教国家」であるべき”という路線が進むのはとても怖い。 加えて、トランプ大統領が本気で「神に選ばれた」と考えていたとしたら・・・
『侍女の物語』の描くディストピアが現実のものになりそうな恐怖も感じます。
石破首相、トランプ大統領と「相性が合う」と喜んでいていいのかな?