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……ああ、とうとうこの日が来てしまいました……。
「むッ?
どしたのォでスかッ、ネーさッ?」
あのね、テディちゃ、
この御本を紹介できるのは、大いなる喜びであり、
また、限りない悲しみでもあるのです。
何故ならば……いえ、まずは、こちらを、どうぞ~!
―― レモン月夜の宇宙船 ――
著者は野田昌宏さん、
画像の創元SF文庫版は’08年11月に発行されました。
『DREAMS OF A PULP COLLECTOR』と
英題が付されています。
「ろけッとォ、とんでるゥのでスッ!
さいえんすゥ・ろまんッ!」
『手作り宇宙船を裏庭から打ち上げちゃおう!』――
というテーマは、SF作品には比較的お馴染みのものです。
このテーマに、
最強のSF研究家であり、
翻訳家、コレクター、作家でもある野田さんが挑むと、
出来上がるのが巻頭に収録された表題作
『レモン月夜の宇宙船』になります。
はたして宇宙船は無事に月へ行けるのでしょうか――
「ゆけるとォ、いいなッ♪」
行けるといいな、
一緒に行きたいな。
著者・野田さんも、きっとそう思ったことでしょう。
ですが、その夢はもう叶いません。
野田昌宏さんは、’08年6月、
亡くなられました。
楽しい月世界旅行記を、
それもノンフィクションの旅行記を、
ぜひ、野田さんに書いていただきたかったのに。
火星へも、木星へも、行っていただきたかったのに。
SFは読まないんだ、という御方は
野田さんの名を知らないかもしれません。
いえ、実際には、知らないようで知っている筈です。
『スターウォーズ』の翻訳を手掛けたのは……
『ポンキッキ』のガチャピンのモデルであるという噂は……
「えッ! がちゃぴんッ!!」
御自身の家の裏庭で宇宙船を打ち上げこそしませんでしたが、
野田さんは間違いなく、
まだ誰もみたことがないような扉をこの日本に築き、
大きく開け放った御方でした。
光り輝く《宇宙への扉》を。
いえいえ、あんまり湿っぽくなっては野田さんに怒られそうです。
英題『ドリーム・オブ・ア・パルプ・コレクター』を訳せば、
『パルプ雑誌コレクターの夢』。
さあ、2008年の終りに
《宇宙軍大元帥》野田さんが描く一睡の夢、
いえ、壮大にして無限なる夢を、
SF好きさんもSF初心者さんも、ぜひ!
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皆さま、今日も来てくださってありがとうございます。
2008年分の書評記事は本日でフィニッシュ!としまして、
明日は’08年のベストブックを
テディちゃと色々話し合ってみましょうか。
「うゥ~? べすとォ……べすとォ……?
うむむむむゥ~~ッ」 (←深~く悩んでいるようです)