テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

でこぼこ&ぼこ、な三人衆。

2012-05-24 23:33:43 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 前回記事では、ジャスミンのお花がきれいね~♪と書きましたが、
 いまいちばん美しいのは、バラのお花!でしょうか。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ばらはァ、やぱりィ、あかッ!でスねッ♪」
「がるる!ぐるぐるるるる!」(←訳:虎です!ピンクもいいです!)

 バラと聞いて想い起される物語は、ウンベルト・エーコさん著『薔薇の名前』!
 本日は、山奥の修道院こそ出て来ませんけれど、
 バラの代わりにサクラが登場する、
 時代がかったミステリ作品を御紹介いたしましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  


 
           ―― よろず御探し請負い候 ――


 
 著者は浅野里沙子さん、2012年1月に発行されました。
 浅野さんは、以前に御紹介いたしました『邪馬台 蓮丈那智フィールドファイルⅣ』を
 故・北森鴻さんとの連名で刊行なさった作家さんです。
 御本の装幀は丸尾靖子さん、
 装画は中川学さんが担当しておられます。

「これはァ、きゃわゆいィ~♪」
「がるっるるがるがる!」(←訳:オシャレな表紙だね!)

 ええ、そうなのよね!
 私ネーさも、本屋さんで思わず見惚れちゃいましたよ!
 表紙画、可愛いわ!
 時代小説モノの表紙って、
 大体が武将さんの決めポーズ・お侍さんの斬り合い・走る十手持ちさん、
 でなければ町娘さん&芸者さんがそれっぽく……
 というのが多いのですけれど、
 この御本の表紙画は、なんとも鮮烈かつ清冽です!
 
「ひんかくをォ、かんじさせまスゥ!」
「がるぐるがるる!」(←訳:色合いもきれい!)

 美しい意匠の御本の、
 その内側にはどんなお話が隠されているのでしょう?
 時代は、そう、お江戸の中期、と申せましょうか。
 由井正雪の乱から数十年後、
 異常気象で世相にきりきりと、
 焦燥と不安の気配が漂う冬のこと――

 藤井文平(ふじい・ぶんぺい)さんは、
 探し物に一生懸命になっておりました。
 しかし、なかなか上手くゆきません……。
 まだ元服していない、十六歳の文平さん、
 背が低く、身体も細く、
 女性のような顔立ちをしているので、
 度々子ども扱いされてしまうのです。

 武家の生まれではありますが、
 文平さんの父上は、手習い指南所の先生。
 文平さんもまた、仕官のあてなどない、浪人の身――

「ろうにんさんッ、でスかァ~…」
「がるぐる~…」(←訳:切ないね~…)

 浪々の身ならば、武士は食わねど高楊枝、なぁんて言っている余裕はありません。
 『探し物請負』の看板を掲げ、
 今日も文平さん、
 足を棒にして古道具屋さん巡りに精を出します。
 
 いつ失せたのか、
 盗る機会があったのは誰なのか、
 判らぬままに探さなくてはなりません。
 蒔絵の、桔梗紋が描かれた文箱を……。

「でもッ! すけッとォ、さんじょうゥッ!」
「がるるるぐるっがるるる!」(←訳:押しかけ助っ人だけどね!)

 偶然に知り合った、
 すらりとした男前の森川哲也(もりかわ・てつや)さん。
 岩のような大男の本田岩五郎(ほんだ・いわごろう)さん。
 ふたりとも、お武家さんではありますが、
 長男ではないため、
 家では肩身の狭い思いをしています。

 くっついて来る二人を振り払いたくても、
 小柄で非力な文平さん、
 逆に、腕を摑まれ、引っ張られ、
 いつのまにやら成り行きで、
 でこぼこぼこの探し物請負三人組となってしまいました。
 
「ううむゥッ! だいじょうぶかなァ、このさんにんでッ?」
「がるるぐるがる?」(←訳:文箱は見つかるの?)

 『蒔絵の重ね(まきえのかさね)』、
 『花篝(はなかがり)』、
 『綴れ刺せ(つづれさせ)』の3編が納められた
 ちょこっとミステリな連作集、
 あんまり時代小説は得意じゃないんだけど~という御方も
 きっと楽しく読めますよ~♪

「おさがしものならァ~」
「がるぐるぐるがるるる!」(←訳:でこぼこぼこ三人衆へ!)
 
 
コメント
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