テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

桃林、桃花の、ゆめのさと。

2012-05-20 23:14:18 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 困ったわね~、日蝕用グラスの入手に失敗しちゃいましたよ。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 んもうッ! にッしょくゥ、みたいィのにィッ!」
「がるる!ぐるぐっるがるるるー!」(←訳:虎です!こうなったらTVだー!)
「ネーさッ! どいてェッ!」
「がるるるー!」(←訳:TV中継ー!)

 え~と、ではTV前の特等席はいさぎよく明け渡して、
 さあ! 金環日食が始まるまでの間は、
 本日も読書タイムです♪
 こちらを、どうぞ~!

  


 
              ―― もろこし桃花幻 ――


 
 著者は秋梨惟喬(あきなし・これたか)さん、2012年3月に発行されました。
 『SILVER CARD SAGA Ⅲ episode SHANGRI-LA』と英題名が付されています。
 『もろこし銀侠伝』、『もろこし紅游録』に続く
 《もろこし》シリーズ第三作目となるこの御本は、
 シリーズ初の長編作品です!

「わほッ♪ ももッ!」
「がるぐるる~っ♪」(←訳:ボク桃すき~っ♪)

 ええ、ネーさも桃は大好物……って、違います!
 題名の桃花が意味するのは
 桃は桃でも、もっと象徴的な、伝説の桃花なんですよ。

 昔むかしに著された、詩人・陶淵明さんの『桃花源記』――
 探せども行き着けぬ、
 桃の花咲く、
 夢のような土地……。

「ふむふむッ、りそうきょうゥでスかァ~」
「ぐるがるーるぐるる!」(←訳:ガンダーラみたい!)

 ギリシャ神話でいうアルカディア、
 日本でいうなら蓬莱山か龍宮城でしょうか。
 外界から隔絶した、理想郷にも似た場所ですね。

 物語の主人公・陶華(とうか)さんの目にも、
 花咲く桃の林に囲まれた村が映っています。
 畑では牛が耕筰具を引き、
 農夫さんは畦を歩き、
 のどかそのものの光景……

「へいわァ、でスねッ」
「がるぐるがるるがるる~」(←訳:のんびりは良いよね~)

 平和も、の~んびりも、ええ、良いことではありましょうが。
 陶華さんの心は落ち着きません。
 何故って、中華世界は今の今、
 危急のときを迎えているのです。
 時代は、元王朝末期。
 政権は衰弱し、反旗を翻す地方都市あり、
 革命を謳う無法者あり、
 街道には流賊がはびこる混乱の世情……。

 陶華さんもまた、
 科挙の試験を受けるべく大都に上りはしましたが、
 本試験をいっこうに行おうとしない現王朝に見切りをつけ、
 故郷へ戻る旅の途中、という身の上でした。

 それなのに、世界がかくも荒んでいるのに、
 桃の花に囲まれたこの村だけ、
 平穏でいられるはずはなかろうに……?

「そういわれてみるとォ~…」
「ぐるるがるるっ!」(←訳:おかしいかもっ!)

 武力と知力を以て
 世界の均衡を保つ武侠の者――銀牌侠。
 一見のどかで平和そうな桃花の村と、
 武力はさっぱりの文系人間の陶華さんと、
 銀牌を持つ謎の存在の思惑は、
 いったいどこで交差するのでしょうか?

「せんそうがァ、せまッてまスゥ!」
「がるぐるがるる!」(←訳:たすけて銀牌侠!)

 著者・秋梨さんいわく《本格推理》を楽しみながら、
 活字マニアの皆さまは、
 『あとがき』を読み逃しませんように!
 武侠小説誕生秘話編は必読の傑作です!
 
コメント
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