テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― よむ詩、うたう詩 ――

2013-10-07 21:36:51 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ほほゥ! おおぜいィ~いまスでスゥ!」
「がるる!ぐるるがるるる~!」(←訳:虎です!みんなガンバれ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 国体開催中だからでしょうか、
 JRの駅などで特大のスポーツバッグを持った高校生さんをすれ違います♪
 見慣れないけれどけっこうキュートな制服の女の子たちもいて
 可愛らしいですね。
 本日の読書タイムでは、
 可愛いどころか全然地味だし……現代っぽくないし……
 でも!いいんだなあ、これが!という一冊を御紹介いたしますよ。
 こちらを、どうぞ~!

  



 
              ―― 八木重吉のことば ――



 編・著は澤村修治(さわむら・しゅうじ)さん、絵は よこてけいこ さん、
 2013年8月に発行されました。
 『こころよ、では行っておいで』と副題が付されています。

 この御本は
 前回記事で御紹介した『時鐘の翼』、
 そして記事内で言及しました映画『紅の豚』や『風立ちぬ』と同じ時代に
 実在していた詩人さん――

   八木重吉(やぎ・じゅうきち)さん(1898~1927)

 について書かれた文章と
 八木さん作の詩歌、その解説から成っています。

「やぎじゅうきちィさんッ??」
「ぐるうるがるぐるるるる~…?」(←訳:聞いたことあるような~…?)

 NHKのEテレで放送されている『にほんごであそぼ』を
 御覧になったことのある方々は、
 八木重吉さんの名と作品に聞き憶えがある、かもしれませんね。
 
 或いは、
 御本の副題となっている名作『心よ』を、
 読んだことのある活字マニアさんも大勢おられるでしょう。
 失礼ながらここに引用させていただきます――


  『こころよ
   では いっておいで

   しかし 
   また もどっておいでね

   やっぱり
   ここが いいのだに

   こころよ
   では 行っておいで』


「ふァいィ! しッてるでスゥ!」
「がる、ぐるぐる!」(←訳:ああ、この詩だ!)

 重吉さんの生涯は短く、
 わずか29歳で鬼籍の人となりました。
 重吉さんの健康を奪ったのは
 映画『風立ちぬ』で登場人物たちを苦しめたのと同じ病、
 肺結核でした。
 『風立ちぬ』原作者の堀辰雄さんもまた
 死因は肺結核であったといわれています。

「むむゥ~…かなしィ~…」
「ぐるるるがるるぐるるる!」(←訳:現代ならお薬があるのに!)

 著者・澤村さんは、
 前半部分で八木重吉さんの詩歌と解説を、
 後半部分では重吉さんの生涯を追う形で
 この御本を構成しています。

 後半の文章は、特に、
 詩人・重吉の略伝に留まらず、
 大正から昭和初期にかけての詩壇の様子もうかがえて、
 いっそう『風立ちぬ』との同時代性を感じさせます。

「ほんのォ、すうじゅうねんまえェなのにィ~」
「がるぐっるぅっるがる~…」(←訳:遠くなっちゃった時代~…)

 宮崎駿さんの映画『風立ちぬ』を観た後、
 堀辰雄さんの『風立ちぬ』を読んだ後には、
 活字マニアの皆さま、
 八木重吉さんの詩歌もくちずさんでみてくださいね。

 重吉さんの詩集や傑作選は多数刊行されていますが、
 この御本はことにおすすめです。
 ぜひ!

「よめばァ、かならずゥ!」
「ぐるるがるるるぅ!」(←訳:好きになりますぅ!)





   
 
 
コメント
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