テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

変わりダネ《安楽椅子》?

2015-10-22 21:47:56 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 いぜんとしてェ、うりきれェでスゥ!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!人気は本物だ!)

 こんにちは、ネーさです。
 スポーツ誌『Number』特別増刊・桜の凱歌エディー・ジャパンW杯戦記号が
 たいへんなことになってるらしいわ!
 増刷に次ぐ増刷で計20万部発行予定、
 それでもまだ足りないかも?という驚きの事態です。
 書店さんで手に入れる日を待ちわびつつ、
 本日の読書タイムは、こちらのミステリ作品を、どうぞ~!

  



             ―― 赤い博物館 ――



 著者は大山誠一郎(おおやま・せいいちろう)さん、2015年9月に発行されました。
 ……皆さま、ようこそ、
 (ギギギ~ッとドアが軋みながら開く音)
 犯罪の博物館へ……。

「ひいいいいィ~ッ!」
「ぐるーがるるっ!」(←訳:ホラーですかっ!)

 あらら、いいえ、この御本はホラー作品じゃありませんよ。
 まあその、物語の舞台となる場所が
 ちょっと古い建物ですので、
 ドアがギィギィしたり、
 廊下がミシミシしたりするのは御愛嬌ってもので。

 ここは、東京の都下、三鷹市にある、
 赤煉瓦の外観が特徴な
 警視庁付属犯罪資料館――
 通称《赤い博物館》。

 ロンドン警視庁の犯罪博物館を真似て造られた施設ですが、
 うーん、その実態は……

「そうこォ?」
「がるる!」(←訳:保管庫?)

 そうねえ、どう見ても、捜査資料類の大型保管庫だわね。
 館員は、館長さんとその助手の二人だけ、ですし、
 これってやっぱり。

   ――ありていに言って閑職――

 と肩を落としたのは、
 先週の金曜日まで警視庁捜査一課に勤務していた
 寺田聡(てらだ・さとし)さん。

「ううッ、もしやッ?」
「ぐっるぅっる?」(←訳:やっちゃった?)

 お仕事で大失態をして、
 犯罪資料館に異動となった寺田さんを迎えたのは、
 館長・緋色冴子(ひいろ・さえこ)さんの冷たい眼。

 緋色館長は寺田さんに命じます。

 ここでの仕事はラベル貼りだ、と。

「らべるはりィ??」
「がるぐるる~!」(←訳:それキツイ~!)

 ラベル貼りなんて嫌がらせか?
 ため息する寺田さんですが、
 それはただのラベル貼りではありませんでした。

 所轄署から資料室へ移管される証拠品を
 一点ずつ取り出し、
 証拠品を入れた袋には
 QRコードのラベルを貼って、
 プラスチック製のケースに収め、
 温度22度、湿度55%の保管庫へ。

 証拠品を所轄署から受領するときには、
 捜査資料も同時に受け取る――

「むッ? それはァ、まるでッ?」
「ぐるるがるる?」(←訳:密かな再捜査?)

 ささやかな、しかし、決意に満ちた、
 事件解決への一歩。
 その一歩をうけて、また新たな一歩が。

 煉瓦でできた博物館を主な舞台とする連作短編集は
 安楽椅子探偵ものの変型、といえるでしょうか。

 事件発生当時の現場に行くことは出来ないけれど、
 迷宮の出口へは、
 資料が導いてくれる。

「しょうぶはァ~…」
「がるるるる!」(←訳:これからだ!)

 いぶし銀のロジックがじんわりと光ります。
 本格ミステリ好きさんに、
 警察小説すきな活字マニアさんにもおすすめの御本ですよ。
 探してみてくださいね~♪ 
 

 
コメント
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