テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

我々は、どこへ?

2017-03-30 22:00:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 はァ~るゥ~がァ~すゥ~みィッ!」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!ぽよよん!)

 こんにちは、ネーさです。
 春霞に高尾山のシルエットがふんわりボヤけて、
 あぁ冬去りぬ……と実感した一日でしたね。

「じゃァ、このままァ~」
「ぐるる!」(←訳:お昼寝!)

 とは行きませんよ。
 本日の読書タイムは、読みやすいけどズシッと重い、
 こちらのノンフィクション作品を、さあ、どうぞ~♪
 
  



   ―― 私たちはどこから来て、どこへ行くのか ――



 著者は森達也(もり・たつや)さん、2015年10月に発行されました。
 『科学に《いのち》の根源を問う』と副題が付されています。

「うむゥ? それェ、どこかでェ~…?」
「がるるぐるる?」(←訳:聞いたような?)

 そうね、アート好きな御方は心当たりがおありでしょう、
 『私たちはどこから来て……』って、
 それ、ポール・ゴーギャンさんの作品の題名じゃなぁい?

 ゴーギャンさんの代表作と評判高い作品の題名こそ、
 まさに『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』でしょ?

「ふァいッ! いだいなァ、てーまでスゥ!」
「ぐるるるるがる!」(←訳:人類永遠の命題!)

 著者・森さんは御本冒頭の『はじめに』で御自身を、

  《僕は圧倒的に文系だ》

 と表現します。

 そして、文系さんだからこそ、
 正面から攻略しようと試みるのです。

  《自分はなぜ今、この世界にいるのだろう》

「わきゃりませんでス!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:ボクも分かんない!)

 この答えを、知っている人はいるだろうか?
 例えば、一流の科学者さん、学者さんに訊けば、
 ヒントは得られるだろうか。

 一人ではなく、
 大勢の学者さんに訊いてみれば、
 より答えに近付けるだろうか――

 そうして、著者・森さんは始めます。

 福岡伸一さん(生物学者)、
 諏訪元さん(人類学者)、
 長谷川寿一さん(進化生態学者)、
 団まりなさん(生物学者)、
 田沼靖一さん(生物学者)、
 長沼毅さん(生物学者)、
 村山斉さん(物理学者)、
 藤井直敬さん(脳科学者)、
 池谷裕二さん(脳科学者)、
 竹内薫さん(サイエンス作家)を順に訪ね、
 『なぜ?』を繰り返す行脚の旅を。

 『なぜ人は死ぬのだろうか』
 『人はどこから来たか』
 『進化とはどういうものか』
 『生きているとはどういうことか』……

「むむむッ! ちょッきゅうゥ、でスねッ!」
「ぐるるがるるるぐるる!」(←訳:直球で具体的で抽象的!)

 私ネーさが個人的にワクワクさせられたのは、
 脳科学者・池谷さんと森さんが語り合う
 第9章『なぜ脳はこんな問いをするのか』中の、
 《なぜ人工知能は実現できていないか》という問いでした。

 ここで池谷さんが言う人工知能とは、
 将棋やチェスで人間に勝利するAIではなく、
 現行のコンピュータに比べてはるかに熱効率が良くできた、
 私たちの脳にいっそう近い“人工の知能(=脳細胞)”。

 人間の脳の神経細胞と同じものを作ることは
 まだ出来ない――
 
「まだァ、むりィ?」
「がるるぐるるる?」(←訳:いつか出来るの?)

 この御本が敢行されたのは2015年、
 森さんと学者さんたちの対談が行われたのは
 2014年以前のことですから、
 2017年現在の事情は変化しているかもしれませんね。

「かがくはァ、どこへゆくのかッ?」
「ぐるるがるるる!」(←訳:それも知りたい!)

 ポール・ゴーギャンさんの作品の題名は、
 正式には、

 『我々はどこから来たのか 我々は何者なのか 我々はどこへ行くのか』。

「どこへッ?」
「がるぐるる……」(←訳:どこだろう……)

 ヒトと世界の、過去と未来――

 フランス語で題名が画面の隅に書き込まれた油彩画(1897~1898)は
 米国のボストン美術館に所蔵されています。

 美術書で、ネットで、
 ゴーギャンさんの作品を観賞しながら、
 ぜひ、この御本も一読してみてくださいね♪

 

 
コメント
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