テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

バランス、取れてます?

2017-03-12 22:12:54 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うぐいすゥ~どこでスかッ?」
「がるる!ぐるるるがるぅ!」(←訳:虎です!行方不明だよぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 3月も半ばになれば、梅にウグイス……のはずなんですけれど、
 今年はホケキョ♪の声が聞こえてきません。
 どこにいるんだウグイスく~ん!
 早く来ておくれウグイスく~ん!
 春の便りを待ちながらの本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~!
 
  



        ―― 文庫解説ワンダーランド ――



 著者は斎藤美奈子(さいとう・みなこ)さん、2017年1月に発行されました。
 ええ、新書です。
 外観は、堅苦しそうな新書です。
 しかし、騙されてはなりませんよ。
 この御本は、思いっ切り愉快な“文芸評論”系ノンフィクション!

「ぶんこのォ、かいせつゥ!」
「ぐるるるるがるぐるるる!」(←訳:読書家さんにはお馴染み!)

 純文学でも小説でもノンフィクションでも、
 文庫化される作品、
 息長く版を重ねて刊行され続ける作品といえば、
 まず《名作》であることは間違いありません。
 たとえば、

  シェイクスピアさんの『ハムレット』。

  小林秀雄さんの『モォツァルト・無常という事』。

  松本清張さんの『点と線』『ゼロの焦点』。

「ふァいッ! めいさくゥでス!」
「がるぐーる!」(←訳:異議なーし!)

 《名作》たる文庫本に、
 大概の場合くっついているのが、
 《解説》という文章です。

 物語の背景、執筆当時の著者さんの境遇や状況など、
 詳しく記された文章は、
 より深く作品を理解したい読み手にとっては
 とてもありがたいものなのですが。

 ときには、
 トンデモない《解説》や、
 まったく的ハズレな《解説》もある?!?

「そッ、そんなッ??」
「ぐるるぅ?」(←訳:本当にぃ?)

 著者・斎藤さんがまず最初に血祭りに上げるのは、
 いえ、冷静沈着に一刀両断するのは、

 夏目漱石さん著『坊ちゃん』。

「ひょえええッ!」
「がるるぅ!」(←訳:大物だぁ!)

 言っておきますと、
 『坊ちゃん』そのものを貶しているのじゃないのよ。
 斎藤さんが指摘しているのは、

 文庫版『坊ちゃん』の《解説》、これでいいの?
 主人公・坊ちゃんとはこういう人物なのだと、
 解説者さんは決めつけてるんじゃなぁい?

 しかも、解説者さんによって言ってることが
 てんでバラバラって?

「なッ、なるほどォ~?」
「ぐるがるるる!」(←訳:混乱してきた!)

 太宰治さんの“超”《名作》、
 『走れメロス』の解説も、充分にヘンテコじゃない?

 『メロス』は友情と正義の物語……ですって?
 いやいやいや、
 メロスくんってすっごく性格に難アリな人物でしょ?
 メロスくんを“裁く”王様っていうのも
 圧制者さんな訳よね?
 そこらへん、完全にスルーしちゃう《解説》って、
 いいのかしらねえ?

「うむむゥ! ふくらむゥ~ぎもんッ!」
「がるるぐる!」(←訳:つのる疑惑!)

 バーネットさん著『小公女』では。

 壺井栄さん著『二十四の瞳』では。

 高村光太郎さん著『智恵子抄』では。

 作品と《解説》は、はたして
 バランスが取れているのか?
 どこか、傾いちゃっていないか?

「ゆゥ~らッ、ゆゥ~らッ?」
「ぐるるるがるっ?」(←訳:揺れてるかもっ?)

 矛盾や破綻、
 ズレや亀裂をスパリずばりと追及しながらも
 ユーモアも忘れない著者・斎藤さんの分析には、
 活字マニアさんなら、
 アハハと笑ったり、
 そうだよね~と頷いてしまう箇所も多数、かもしれません。

「いろいろォ、かんがえさせられるゥ!」
「がるっるーるぐる!」(←訳:トリッキーな御本!)

 フィクション好きさんにも
 ノンフィクション派さんにもおすすめの鮮烈新書、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪
 
 
 
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