テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 水辺の、ふしぎ物語 ~

2019-02-25 22:14:02 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ううゥ~、かなしィでスゥ~…」
「がるる!ぐるるがる~…」(←訳:虎です!寂しいです~…)

 こんにちは、ネーさです。
 バスケット日本代表がW杯へ!の嬉しいニュースで始めるつもりが、
 ミミズクくん力尽きる……のニュースが入ってきて、
 やり切れない気持ちです。
 いっそ高尾山まで逃げてきていれば……
 翼もつムクムク毛玉ちゃんを悼みながら、
 本日の読書タイムは、こちらの御本を、さあ、どうぞ~!
 
  


  
           ―― 月虹の夜市 ――



 著者は折口真喜子(おりぐち・まきこ)さん、2019年1月に発行されました。
 先日ご紹介しました『おっかなの晩』に続く、
 《日本橋船宿あやかし話》シリーズの第二作目です。
 『月虹』は『げっこう』とお読みくださいね。

「あはァ! おりょうゥおねえさんッ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:船宿のアイドル!)

 昔むかし、
 お江戸の町が“水の都”だった頃のこと。

 浅草川に浮かぶ島、箱崎で
 船宿・若狭屋(わかさや)を切り回しているのは、
 お涼さん、
 という若女将さんです。

「ちょこッとォ、ふしぎなァ~おかみさんッ!」
「がるるぅるぐるるる!」(←訳:視えちゃうらしいよ!)

 お涼さんの父親が“視えちゃう”系の御方だからなのか、
 過去の経緯からなのか、
 それとも海の水と川の水が交じり、
 いろいろなモノが流され着く土地柄のせいなのか、
 お涼さんの身辺には、
 不思議なことが起こったり、
 不思議なモノが訪ねてきたりいたします。

 表題作品『月虹の夜市』でも、
 お花見の晩、
 あれよあれよと
 奇怪な出来事に遭遇するお涼さんですが……
 
 いえ、ちょっと待った!

「ふァ??」
「ぐるぅ?」

 ベンガルワシミミズクくんのためにも、
 ここで、予定変更ですよ。
 御本のいちばんはじめに収録されている
 『小正月と小僧』、
 この作品に注目を!

「こしょうゥがつゥ?」
「がるるる!」(←訳:冬だねえ!)

 小正月とは、正月14日の行事です。
 地方や地域によっては、15日が小正月だったり、
 女正月、戻り正月と呼んだり、
 小豆粥をいただく習慣があったりしますが、
 船宿《若狭屋》でも、
 小正月の決まり事をひととおり済ませて、
 家の近くの御稲荷さまに
 お参りしたお涼さんは――

「わきゃァ~ッ!」
「ぐるるがるぅ?」(←訳:いつのまにぃ?)

 いつの間にやら、
 小さな男の子が、横にいる?

 ……うん? 少し様子がヘン、ですね。

 男の子は、ふつうの子、ではない?

 どうやら……山の神さま、みたいな?

「かみさまァ??」
「がるるる?」(←訳:この子が?)

 山の神さまは、
 もちろん、或る目的があって
 お涼さんを訪ねてきたのでした。

 その目的とは……探しもの?

 神さまの探しもの、とは……いったい??

「むむむゥ? みつかりィまスかッ?」
「ぐるるるるるがる!」(←訳:見つけようよ皆で!)

 ミミズクくんにも、
 山の神さまのような御方がついていて下さったなら。

 今日ばかりは、そんな風に思い、
 幾度も溜め息してしまったんですけど、
 お涼さんと山の神さまの探しものの旅は、
 ご安心くださいな、
 あたたかく、こころに染み入る物語です。
 
 全8編の連作短篇から成るこの御本、
 もう次作が待ち遠しくてなりません。
 時代小説好きさんにも
 ファンタジーが好きな活字マニアさんにも
 激おすすめしたい一冊、いえ、シリーズなんですよ。
 どうか皆さま、ぜひ!
 
 

 
コメント
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