テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 宵闇はささやく ~

2019-08-29 22:00:00 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 ふわァ~…はちがつゥがァ、おわッちゃうゥでス!」
「がるる!ぐるっ、がる?」(←訳:虎です!ええっ、もう?)

 こんにちは、ネーさです。
 8月のうちにやろうと思いつつも出来なかったこと……
 それは、宿題ではなく……
 スイカを食べることでもなく……
 そう、怪談をご紹介すること!
 という訳で、本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  


 
          ―― 化物蠟燭 ――



 著者は木内昇(きうち・のぼり)さん、
 2019年7月に発行されました。
 御本の表紙を飾る滝平二郎(たきだいら・じろう)さんの
 切り絵作品が、とても魅力的で、
 暗示的、でもありますねえ。

「……ううゥ、せッ、せなかァがァ~…」
「ぐるるるがるぅ!」(←訳:ゾクゾクするぅ!)

 収録されているのは、
 
 『隣の小平次』
 『蛼橋(こおろぎばし)』
 『お柄杓』
 『幼馴染み』
 『化物蠟燭(ばけものろうそく)』
 『むらさき』
 『夜番』

 という、江戸を舞台にした短編7作品です。

 怪談好きな活字マニアさんは、おそらく、
 『小平次』の文字を目にしただけで
 ニヤリ♪としてしまうでしょうが、
 ここはまず、表題作品の
 『化物蠟燭』
 について、ちょっとお喋りいたしましょうか。

「ぶるるッ! みみをォ~ふさごうゥ!」
「がるぐるるる!」(←訳:目を閉じよう!)

 富右治(とうじ)さんは、
 当代一と噂される
 腕利きの影絵師さんです。

 広小路でも名の通っている見世物小屋で、
 手影絵の技を披露して、
 毎回たいそうな喝采をいただいておりますが。

 或る日、富右治さんの長屋に、
 お客さんがありました。

  ――折り入って頼みたいことがある――

「いやァ~なァ、よかんッ!」
「ぐるがるぐるる!」(←訳:不安しかないよ!)

 訪ねて来たものの、
 そのとき、富右治さんは留守でした。

 決して名乗ろうとしないお客さんは、
 それで諦めるかと思いきや、
 見世物小屋での出番を終え、
 ほろ酔い気分で
 家路を辿る富右治さんの前へ、
 ぬぅ、と現れたのです。

「しッ、しつこいィ~!」
「がっるるぅ~…」(←訳:困ったなぁ~…)

 謎のお客さんは、
 案の定、
 富右治さんに頼み事を致します。

 え~、知らない人からの頼み事なんて断っちゃえばぁ?
 と言えるのは、私たちが外野席にいるからで、
 当の富右治さんは、ひとが好くて、
 ついお節介をしちゃう性質だもので、
 ハッと気付けば、
 頼み事を引き受けてしまう羽目に……。

「にッ、にげちゃおうゥ!」
「ぐるがるるるぐる~!」(←訳:いや逃げるのはダメ~!)

 はたして、
 富右治さんは何事に巻き込まれたのか。
 何に肝を冷やし、
 何をいみじみと噛みしめることになるのか。

 なんでもなさそうな日常と、
 その向こうの、摩訶不思議なできごと。

 ただ怖いばかりではない7つの物語は、
 怪談好きな方々にはもちろん、
 歴史好き&時代小説好きな方々にもおすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね♪
 
 
 
 
コメント
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