テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 語れ、こころのはてを ~

2020-02-27 22:42:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぱふゥ! きょうはァ、おひさしぶりのォ~」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!怖さ炸裂!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい、ここのことろ、
 アート本やノンフィクション作品、
 短編集の御紹介が続いておりましたけれども、
 本日の読書タイムは久々に、
 ずっしり厚い長編小説作品の登場ですよ♪
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  


 
      ―― 黒武御神火御殿 ――



 著者は宮部みゆきさん、2019年12月に発行されました。
 『黒武御神火御殿』と書いて
 『くろたけごじんかごてん』と読むこの御本は、
 《三島屋変調百物語》シリーズの最新巻となる
 《六之続》です。

「ちょッぴりィ、さみしィ~…」
「ぐるがるるるる……」(←訳:もういないんだ……)

 袋物のお店としては
 江戸の市中で評判も業績も群を抜く、
 神田三島町の三島屋(みしまや)さん。

 その三島屋さんの『黒白の間』で行われる
 百物語の舞台から、
 “聞き手”のおちかさんが
 めでたくも退場したのは、
 前巻『あやかし草紙』でのことでした。

「ことぶきィ~だッたのでスゥ!」
「がっるーぐぅるぅるる!」(←訳:ハッピーウェディング!)

 おちかさんは
 貸本屋さんの若主人さんと祝言を上げ、
 『白黒の間』は空っぽに……なるところを、
 後を継いで百物語の聞き手になったのは、
 三島屋さんの次男坊、
 富次郎(とみじろう)さん。

 前巻までは、
 従姉妹のおちかさんと一緒に
 聞き手をつとめていましたが……。

「ひとりッてェ~…」
「ぐるるるがるぐるるる~…」(←訳:怖くないとは言えない~…)

 見も知らぬ客人さんから、
 想像したこともないような
 恐ろしい話を聞く。

 語って語り捨て、
 聞いて聞き捨て、が
 三島屋さんの百物語の身上ではあるものの、
 考えてみれば、穏やかならぬ状況です。

 たったひとりで、聞く。
 
 いえ、控えの間には
 守り役のお勝さんが、
 富次郎さんを気遣い、
 聞き耳を立ててくれているのだとしてもね、
 富次郎さん自身もドキドキしています。

「そわそわッ!」
「がるるる!」(←訳:はらはら!)

 でも、幸か不幸か。

 『黒白の間』を訪うた人物とは。

「はッちゃんッ!」
「ぐるぅる!」(←訳:富ちゃん!)

 かつて、同じ手習所に通っていた
 豆腐屋さんの息子さん。
 《豆源(まめげん)》という、
 美味しいお豆腐屋さんの
 八太郎(はちたろう)さんが、
 富次郎さんの前に座っていたのでした。

 元気そうで何よりだ、久しぶりだねえ、と
 昔話に花が咲き、
 お茶菓子を頬張るふたり。

 が、お喋りを愉しみながらも、
 富次郎さん、気が付いてしまうのです。

 そう、はっちゃんは無駄話をするために
 ここに来たんじゃないんだ。

 はっちゃんは、
 抱えている。

 ゾッと鳥肌が立つような、
 恐ろしい物語を……。

「きッ、きかないィわけにはァ~…」
「がるるるぐる!」(←訳:行かないよね!)

 第一話『泣きぼくろ』
 第二話『姑の墓』
 第三話『同行二人』
 そして表題作品である
 第四話『黒武御神火御殿』
 
 と、身の毛もよだつ4つの怖い話の連打を浴びて、
 聞き手になって間もない富次郎さん、
 耐えられるんでしょうか。

「おちついてェ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:深呼吸しよう!)

 富次郎さんが
 まさに歩みを進めようとしているのは
 恐怖と痛苦の魔境なのか、
 ひとの世の
 哀しい涙の海なのか。

 お江戸百物語のミステリアスな世界へ、
 皆さまも、ぜひ♪

コメント
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