テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 怪獣たちよ、どこへ行く ~

2020-02-18 21:58:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 たぶんッ、ことしもォやッてくるゥのでス~♪」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!夏の恐竜展が!)

 こんにちは、ネーさです。
 毎夏、チビッ子たちにも大人にも大人気なのは、
 恐竜や古代生物の化石をテーマとする展覧会ですね。
 しかし、書物の世界では、
 よりファンタジックな企画展示も充分に可能です♫
 本日の読書タイムは、
 こちらの御本で、さあ、夢の魔境へ羽ばたきましょう~!

  



     ―― 怪獣生物学入門 ――



 著者は倉谷滋(くらたに・しげる)さん、
 2019年10月に発行されました。
 えへん、《怪獣》……と題名にありますが、
 トンデモ本ではありませんよ。
 著者・倉谷さんは、理学博士号を持つ
 形態進化生物学者さんなんです。

「わおォ! ほんもののォはかせさんッ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:学者さんの怪獣論!)

 《怪獣》。

 生物学者さんの眼には、はたして彼らは
 どのように映るのでしょうか。

 荒唐無稽?
 ナンセンス?
 冗談?

 いえいえ、倉谷さんはすこぶる真剣に、
 怪獣映画に登場する不可解な動物たちを
 分析し、考察します。

 《異様な生物を『モンスター』と呼ぶからには、
  その分類学的素性に興味を抱かずにはおれない》

「ぶッ、ぶんるいィ~??」
「がる??」(←訳:素性??)

 怪獣映画のキングといえば、もちろん、
 ゴジラ。

 初代ゴジラが東京の街々を破壊してのけたとき、
 学者さんたちは分類したものでした。
 たしかにジュラ紀の生物だ!と。

 けれど、ゴジラに壊されたビルがちゃっかり再建され、
 古生物学が遠慮なく進歩してしまった現代、
 ジュラ紀やら白亜紀に生息した巨大生物、
 つまり恐竜たちは、

  なんとモフモフの羽毛があった!
  歩き方も直立ではなく、
  水平に近い姿勢で移動していたらしい!

 などの研究結果が、いまや常識に。

「ごじらくんッ、かわいそうゥ~…」
「ぐるる~…」(←訳:孤独だ~…)

 怪獣イコール恐竜……
 だったのに、イメージは崩れて、
 もはやゴジラを恐竜とは呼べない……。

 でも、
 古生物学の最新研究に媚びを売らず、
 ゴジラはあくまでゴジラとして存在することを
 倉谷さんは高く評価します。

 恐竜ではない生物、ゴジラ。
 では彼は何なのか?
 恐竜でないとすれば……

 哺乳類以外の何ものでもなかろう。

 何より、
 動いているゴジラが表情を持っているところが
 いかにも哺乳類らしい。

「ええッ! じゃあァ、ごじらくんはッ!」
「がるるぐる~???」(←訳:人間の親戚~???)

 地球の、いえ、
 地底というロストワールドの王こそ
 ゴジラならん――

 第一章『恐竜と怪獣の狭間』 
 第二章『日本怪獣学各論』
 第三章『進化形態学的怪獣学概論
     ――脊椎動物型怪獣の可能性』
 第四章『進化形態学的怪獣論
     ――不定形モンスター類の生物学的考察』
 第五章『ウルトラ怪獣形態学
     ――比較形態学と進化的考察』

 と5つの章で構成される《怪獣生物学》は、
 シャレが分かる怪獣マニアさん向けの
 愉快なフィクション……に見えて、
 実は、真面目で柔軟な
 生物学ノンフィクションです。

 特に、御本巻末の
 『あとがきにかえて
  ――設計(エンジニアリング)されるモンスター』
 を読めば、
 全章をつなぐ《糸(意図!)》が
 鮮明に見えてきますよ。

「かいじゅうゥ……
 かれらはァ、これからもォ~…」
「ぐるるるるる!」(←訳:進化し続ける!)

 ゴジラ大好き!な方々に、
 怪獣映画マニアさんに、
 SF好きな方々にも
 おすすめしたい新書です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする