テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

京翁の闇語り。

2008-11-01 13:48:54 | ブックス
 木枯らし吹く11月になっちゃいましたね~、こんにちは、ネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでござるゥ~♪」

 月は変わりましたが、
 前回に続いて京都にまつわる御話などいかがでしょうか?
 はい、本日ご紹介いたしますのは、こちらで~す!



          ―― 怖いこわい京都、教えます ――



 著者は入江敦彦さん、’07年9月に発行されました。
 京都に生まれ、京都に育った入江さんが
 暗い御座敷でそ~っと語ってくださるのは……
 あらっ? どうしたのテディちゃ?
 顔色が、いえ、クマ色が悪いですよ?

「いいえッ、な、なんでもないィのでスゥ~!」

 そう? じゃ、先に進みましょうね。えへん。

 『千年のミヤコには千年かかって凝った澱のようなものがある』――
 入江さんは述べています。
 その《澱(おり)》が、恐怖、なのだと。

 入江さんが見出す恐怖は、
 よく知られてガイドブックに載っているような、
 昔むかしにお寺社で起きた怪異の痕跡、等とは少し違います。
 現在もじわじわと進行中の、
 或いは、息づかいが聞こえてきそうな、
 京都の町や人と今も共存している、何か……。

「……ふァ~、な、なるほどッ」

 例を挙げれば――
 鴨川の河原でカップルが必ず等間隔に座っているのは、なぜ? 
 
「えッ、あうゥ、な、なぜェでスかッ??」

 答えを知って、東京・多摩生まれ多摩育ちのネーさは唖然です!
 そんなことが?
 ああ怖い!
 河原でのデートって、実はもう命懸け、
 いえ、なんとも恐れ知らずな挑戦だったんじゃありませんか!
 しかし……
 知ってしまった以上、
 もうあの場所には座れそうにありません……。

「ひィィッ! こッ、こわいィ~ッ!」

 さらには、京都にもあるんですね、
 怖い噂がいっぱいのトンネルが。
 そして、地元の人も避けるすたれた小道や、坂、
 ぽつりと取り残された古い蔵……
 京都御苑内の、自転車の轍跡にさえ秘密が……。

「むぎゃうゥッ!」

 やさしく平明な、著者入江さんの語り口。
 それゆえ恐怖は募り、また同時に癒されます。
 故郷=京都への入江さんの愛情が、
 この御本を単なる怪異怪談集ではなく、
 より高みに引き上げているかのようです。
 
   京都というのは、こういうところなんです。
   ええ、こわいけれど、
   その怖さが愛らしくもあるでしょ?――と。
 
「そそそッ、そォでスねッ」
  
 狸も狐も、天狗も鬼も、
 目に見えるもの見えないものも、
 そして人間もが、
 ごく普通に暮らしている京都のほの昏い街角へ、
 さあ読書好きさん、ぜひ御一緒に!

「もぷゥ~ッ! もゥやだァ~ッ!!」 (←ついに脱走!)
 
 あらー、テディちゃ?
 これは、ほんの序の口だっていうのに……ふっふっふっ……。

「みぴィ~~ッ!」 (←何処からか悲鳴が……?)
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