テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

そのころ、の記憶と。

2016-05-31 22:04:20 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 いまァ、なぜかァ、うんどうかいィしーずんッ!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!梅雨前に運動会!)

 こんにちは、ネーさです。
 運動会に中間テスト、修学旅行、インターハイの準備も、と
 小学校から高校まで、学生さんは忙しそうです。
 本日の読書タイムは、
 高校を舞台にしたミステリ作品を御紹介いたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



       ―― 放課後スプリングトレイン ――



 著者は吉野泉(よしの・いずみ)さん、2016年2月に発行されました。
 『SPRING TRAIN』と英語題名が付されています。

「うむッ? ひょうしのォ、ふんいきィはァ~…」
「ぐるるる?」(←訳:ほんわか?)

 高校を舞台にしたミステリ、と申しましたが、
 ええ、ご安心ください、
 壮絶なバトルロワイヤルはありません。
 凄絶なホラーサスペンスシーンもありません。

 この御本に収められている
 連作短編ミステリ4作品に共通するトーンは、
 学校の音楽室で誰かが奏でるピアノ曲のような、
 どこかしら懐かしい音、でしょうか。

 その“懐かしさ”の理由は、
 おそらく、著者・吉野さんが巻末の『あとがき』に
 述べておられますが……

 ホームシック。

「なつかしのォ~こきょうゥ~♪」
「がるぐる~!」(←訳:我が故郷~!)

 物語の舞台になっている高校は、
 福岡市内の、或る高校です。

 高校の2年生といえば、
 うんうん、3年間の高校生活の中で
 いちばんリラックスして学校に通えるとき。

 この物語の語り手である、
 《私》こと泉(いずみ)さんも、
 今日の授業が終わるのを
 うきうきと心待ちにしています。
 なぜって――

「あはァ! わきゃッたでス!」
「ぐーるる!」(←訳:デートだ!)

 ブブー!違います。

 泉さんはね、
 親友の朝名(あさな)さんが彼氏さんを紹介するというので、
 福岡市内の、天神地下街の中央広場へ
 ゆくことになってるんですよ。

 友人のボーイフレンドさんは、
 はたしてどんな人でしょうか。
 自分のデートじゃないけれど、
 ほどよい緊張とワクワク感で、
 駅へと走る泉さんと、朝名さん。

「いそぎましょゥ!」
「がるぐる~!」(←訳:遅刻厳禁~!)

 しかし、
 電車から地下鉄に乗り換えよう、というところで。

 不思議な出来事が、
 泉さんの身の上に起こります。

「これはァ、いッたいィ???」
「ぐるるるがる~??」(←訳:どうゆうこと??)

 小さくても、
 実害はなくても、
 頭の片隅にいつまでも引っ掛かってしまいそうなその出来事を
 するん、とほどいてみせるのは、
 泉さんでも朝名さんでもなく、
 朝名さんのボーイフレンドさんでもない、
 新たな登場人物さん。

「わほッ♪ めいたんていィ!」
「がるる!」(←訳:鋭いね!)

 炯眼の持ち主さんと
 泉さんのお喋りに、
 はたまた学校の文化祭でのバタバタに、
 毎日の学校生活の様子に、
 読み手は記憶を刺激されることでしょう。

 自分の高校時代はどうだったろうか。

 うん、共学ってこんなだったよなあ。
 化学の実験、あったよね。
 文化祭かぁ、ウチのクラスは演劇じゃなくて
 模擬店だったっけ。

「あさのォつうがくゥ、きついィ~!」
「ぐるるがるがる!」(←訳:部活でクタクタ!)

 良い意味でケレン味を排し、
 ミステリよりも文芸作品に近い物語ですから、
 あんまりミステリを読まない活字マニアさんにも
 おすすめしたい一冊です。

 とりわけ、福岡で学生時代を過ごした御方は、
 ページを捲るごと――

「ぐぐゥッとォ~」
「がるるるるぐるる?」(←訳:こみ上げる何かが?)

 皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね!
 
 
 
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