テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ワン・ニャン・おサルに……トラ・ライオン?

2015-03-11 21:30:30 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きのうのォ、ことのォようにィ!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!憶えています!)

 こんにちは、ネーさです。
 また3月11日という日が巡ってきました。
 けれど、拙ブログでは敢えて特別なプログラムは組まずに、
 いつものように、展覧会情報を、どうぞ~!

  



            ―― 動物絵画の250年 ――



 東京・府中市の府中市美術館にて、
 会期は2015年3月7日~5月6日(月曜休館、ただし5/4をのぞく)、
 『悩んで萌える江戸時代 春の江戸絵画まつり』と副題が、
 『250 Years of Animal Pictures』と英語題名が付されています。

「おおォ~♪ ころころッ!」
「ぐるぐるがる!」(←訳:ふかふか仔犬!)

  

「にゃんこもォ、いまスゥ!」
「がるるるるるぐるるる!」(←訳:お猿さんに亀さんも!)

  

「おさかなもォ、いろォ~んなァしゅるいィがァ~」
「ぐるぐるっる!」(←訳:ピチピチっと!)

  

「あはァ! これはッ♪」
「がるるぐる?!?」(←訳:御先祖さま?!?)

  

 多種多彩を極める江戸時代の動物絵画は、
 愛らしいパピィちゃんから、
 お猿さん、象さん、鳩さん、鶏さん、
 ライオンに見えないライオンさんや、
 トラ……というよりネコの親戚っぽい虎さん図、
 楽しそうな浮世絵の三毛猫ちゃんまで、
 百花繚乱千客万来のキャラクターが揃ってます。

 しかも作者は、司馬江漢さん、
 長沢蘆雪さん、伊藤若冲さん、
 なんとあの宮本武蔵さんの作品まで展示されますよ!

「ひょえッ! ほんものォでスかッ!」
「ぐるるぅ!」(←訳:本物だぁ!)

 展示内容は、
 前期(3月7日~4月5日)、
 後期(4月7日~5月6日)に分かれていて
 全作品の展示替えが行われる予定です。
 
 宮本武蔵さん画『布袋見闘鶏図』は後期に、
 伊藤若冲さんの『河豚と蛙の相撲図』も後期に展示されます。
 あ、応挙さんのころころ仔犬『麦穂子犬図』は
 前期に展示されます~♪

「あいにィ~ゆこうゥ~♪♪」
「がるるるるる!」(←訳:御先祖さまに!)

 アート好き&動物好きな御方におすすめの展覧会、
 美術館が建っている都立府中の森公園は
 のんびり散歩・お花見にも良い場所ですので、
 お出掛けしてみてくださいね。
 




   ではここで、オマケ画像にエールをこめて!
   
   『カルビー』さんの
   《ポテトチップス オススメ!東北の味・秋田いぶりがっこ味》は、
   ネーさ弟(←お新香好き)が発見してきました。
   「おいしィ~ぞッ、これッ!」
   「ぐるるがるぅ!」(←訳:クセになるぅ!)
   東北のお米、
   東北の野菜に果物、お魚、お漬物。
   観光旅行にゆくことはなかなか難しくても、
   日々のお買い物で応援してます東北~!!!
   
   
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かさなる、ひびき。

2015-03-10 21:42:41 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぐむむッ、ひさしぶりィにィ、おもいィでス!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!大作だもんね!)

 こんにちは、ネーさです。
 本日の読書タイムは、ええ、久々にどん!と重量級、
 上下二巻の長編小説作品がやって来ましたよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



            ―― 波の音が消えるまで ――



 著者は沢木耕太郎(さわき・こうたろう)さん、2014年11月に発行されました。
 ↑上の画像が上巻で、

  

 ↑こちらが、下巻になります。

「けッこうゥ~どッしりィ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:息切れしそう!)

 正直に申しまして、私ネーさ、本当に息切れしました。
 いえ、読むのに疲れた、ということではなく……

 ああ、わからない。
 バカラって、いったい何なの?

「ふァ? ばからァ?」
「がーる、ぐるる?」(←訳:えーと、それは?)

  《バカラは一種の丁半博打(ちょうはんばくち)だ》

 上巻の序章では、そう描写されています。
 ディーラーが細長い箱から引き出した2枚のトランプのカードを、
 《バンカー》のサイドと
 《プレイヤー》のサイドに2枚ずつ配る。
 客は、その2枚のカードの合計数を当てる……

「わッかんないィでスゥ!」
「ぐるる!」(←訳:ボクも!)

 そうよね、わかりっこないわよね。
 
 けれど、マカオの賭博場で
 バカラの台ををじっと見詰めている日本人男性がいます。
 勝負の結果は?
 次は、どんな“目”が出るのか――

 伊津航平(いず・こうへい)さんは、
 カメラマン、でした。
 サーファー、でした。
 現在の彼の職業は、何でしょう?
 ギャンブル中毒者?
 バカラマニア?

「ぎゃッ、ぎゃんぶらァー…」
「がるぐる……」(←訳:賭博中毒……)

 賭け事にさしたる興味は感じていない、のに。
 少しずつ、やがては喉元まで
 バカラの魔に憑かれてゆく航平さん。

 大きく勝つこともあれば、
 一瞬で何万ドルも失うこともある。
 その境目は、どこにある?
 
 この賭博――バカラに、
 必勝法をいうものはあるのか?

「えええェ? そんなのォ~」
「ぐるるがる?」(←訳:ないよねえ?)

 情熱と、それでいながら冷たく。
 計算しつつ、しかし行きあたりばったりに。
 きっとだ、約束ずると誓いつつ、すげなく破り。

 航平さんは、懲りずにマカオへ向かいます。
 バカラの勝負が奏でる、
 《波の音》を聞くために。

「もうゥ~やめようゥよゥ!」
「がるるる!」(←訳:危険だよ!)

 屈折しつつ、光の方へ。

 賭博小説、というジャンルは確かに在って、
 阿佐田哲也さんの『麻雀放浪記』はそれを代表する作品ですが、
 この御本は賭博ジャンル本とは異なって感じられます。

 章を進むごと、薄れる現実感。
 1ドルも1万ドルも同じ。
 たぶん、賭けの結果も、
 航平さんの本質を変えることは出来ない――

「すべてはァ、つまりィ~」
「がるるる?」(←訳:一期の夢?)

 そう、“目覚める前に見ている夢”のような。

 賭博小説ではなく、
 むしろファンタジーに近い儚さ、
 ゆらぎを内包する、
 《波》の放浪記。

 ノンフィクション作家・沢木さんのファンの方々も、
 このフィクション作品を
 ぜひ、読んでみてくださいね。
 寄せては返す波の音は
 どのページから響き来るのだろうか、と
 耳を澄ませながら。 
 



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美と寓話。

2015-03-09 21:36:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ちいさなァももちゃんッ!」
「がるる!ぐるるぅるるるー!」(←訳:虎です!モモちゃんとプー!)

 こんにちは、もしも黒猫を飼うことになったら
 名前は絶対プーだ!と決意を新たにしたネーさです。
 松谷みよ子さんの功績を偲びつつ、
 本日の読書タイムもまた“偲ぶ”気配が濃いこちらの御本を、
 さあ、どうぞ~!

  



         ―― 十二の肖像画による十二の物語 (新装版)――



 著者は辻邦夫(つじ・くにお)さん、単行本は1981年に刊行されましたが、
 2015年2月に画像の新装版は復刊発行されました。

 『背教者ユリアヌス』『西行花伝』他で知られる
 辻邦夫さん(1925~1999)は、
 美術に造詣深い作家さんであったことでも知られています。
 
 この御本も、美術と切っても切り離せない構成になっていますよ。

「これはァ、しょうぞうがァ、でスねッ!」
「ぐっるるがるる!」(←訳:けっこう有名な!)

 御本の表紙にもなっている
 ポライウォーロさん画『婦人の肖像』、
 ジョヴァンニ・ベルリーニさん画『レオナルド・ロレダーノの肖像』、
 レンブラントさん画『黄金の兜の男』、
 レオナルド・ダ・ヴィンチさん画『美しきフェロニエール』……

 って、こう並べると、
 アート好きな御方は、ニヤリ♪とされるかもしれませんね。
 どこか、クセのある――

「こせいてきィなァ!」
「がるるる!」(←訳:顔ばかり!)

 一癖も二癖もありそうな顔が描かれた12の肖像画から、
 著者・辻さんが想を得たのは、
 やはり、奇妙にねじれた、
 寓話のような12の短編小説。

 夭折の天才ジョルジョーネさんが遺した『老婆の肖像』。
 彼女はどんな思いを抱え、
 こちらを見据えているのか?

 肖像画の巨匠・ティツィアーノさんの『自画像』。
 ヴェネツィアの老画家のアトリエへ、
 或る日、ひとりの男がやって来て言うには……?

「ううッ、ぞくぞくゥするでスゥ!」
「ぐぅっるがるる?」(←訳:ちょっと怖いぞ?)

 活字マニアの私たちにとって
 他人事ではいられないのは、
 ホルバインさん画『エラスムスの肖像』の物語でしょうか。

 本に目がないエラスムス先生、
 古書籍の行商人から
 大型の写本を買い取ります。
 古代東方の修道院で作られたというその本は、
 先生の書斎へ運び込まれましたが、
 重い!
 ……いや、日に日に重くなる?
 書棚を壊し、
 棚から落下しては床板を破り、
 ついには地下室の床石も
 本の重さに耐えかねて沈下し始めた?!?

「ひいィ! おうちがァ、こわれるゥ!」
「がるぐるるる!」(←訳:柱が傾くよう!)

 たった一冊の本のために、
 頑丈な建物が倒壊する?

 本好きには耳が痛くなっちゃうような、
 物語の結末は……。

「うむむむむゥ~…!」
「ぐるがるる!」(←訳:そう来たか!)

 12の物語にはそれぞれ、
 非常に暗示的かつ寓意的な題名が付されています。

 『鬱ぎ(ふさぎ)』、『妬み(ねたみ)』、
 『傲り(おごり)』、『謀み(たくらみ)』、
 『吝い(しわい)』……

 どの画にどの題名が宛てられているのか、
 ここで明かしませんので、
 アート好きな活字マニアさんは
 どうぞ御自身で確かめてみてくださいね。
 
 画を観ながら、物語を読んで、
 そして読み終えてのち、題名を見返したら――
 なるほど!

「むゥ! これはァ~…」
「がるぐるぅ!」(←訳:機智だねぇ!)

 
 時を超えた、
 画家さんと作家さんの見事なコラボ本、
 おすすめです!


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今日から一躍♪

2015-03-08 21:44:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あめのォしゅうまつゥ、でしたでスゥ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!寒さと湿気!)
「じめじめッ!」

 こんにちは、ネーさです。
 ふっふっふっ、本日の読書タイムでは、
 寒さはともかくも、
 じめじめオッケー!
 湿気って悪くないなぁ~と認識を改めさせられる一冊を御紹介いたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



            ―― カタツムリが食べる音 ――



 著者はエリザベス・トーヴァ・ベイリーさん、原著は2010年に、
 日本語版は2014年2月に発行されました。
 英語原題は『The SOUND of a WILD SNAIL EATING』、
 そう、耳を澄ませば、
 シャリシャリ、シャリシャリ……

「むゥ? そらみみィ、かなッ?」
「ぐるるる?」(←訳:気のせい?)

 いいえ、気のせいではありません。
 カタツムリがしおれた花の花弁をかじっている音を、
 著者・ベイリーさんは

   《何かとても小さな生き物が、せっせとセロリを食べているような音》

 であったと述べています。

 
「わほゥ! ほんとにィ?」
「がるぐるるるー!」(←訳:音がするんだー!)

 シャリシャリとセロリを齧るような音。
 
 けれど、このかすかな音は
 万人に聞こえる、というものではなさそうです。
 著者・ベイリーさんがこの音に気付いたのも
 特殊な環境下にいたため、でした。

 医師も病因を容易に特定できない難病に
 ベイリーさんは罹ってしまったのです。

 ベッドから動けない。
 数分以上、身体を起こしていられない。
 病気になる前は、
 愛犬と散歩をして、
 海外旅行もして、
 庭の菜園を手入れして……
 そんな生活は、いまから思えば夢のよう。

「うわァ~んッ、そんなァ!」
「ぐるるるる!」(←訳:苦しすぎる!)

 動けない彼女のもとへ、
 友人が或るお見舞いの品を持ってきてくれました。

 森で見つけた、
 野生のスミレの花の鉢。
 そして、その湿った葉の下には、
 小さなカタツムリ。

「おおッ、ちッちゃいィ~!」
「がるる!」(←訳:茶色だ!)

 スミレの鉢に住みついた
 ドングリくらいの大きさの野生のカタツムリは、
 ベイリーさんに安らぎと平穏をもたらします。

 病気のせいで、人と会ったり話したりすることは
 体力的にとてもつらい……
 けれど、じっとカタツムリを観察することで、
 こころが落ち着いてゆく。

「けんきゅうゥ、かいしィでス!」
「ぐるるるるるがる!」(←訳:カタツムリ学入門!)

 調べてゆけば、
 カタツムリの生態は《!!!》だらけ。
 ベイリーさんも私たち読み手も
 驚きの連続です。
 カタツムリって、こういう生きものなんだー!

「ぎょうてんッ、でスよゥ!」
「がるるるぐるるがる!」(←訳:クマムシ以上の驚異!)

 種としては異質すぎる、
 しかし幸福な、
 人間のベイリーさんとカタツムリくんとの、
 世にも稀な出会い。

 そんな出会いから生まれたこの作品は
 2012年のウィリアム・サローイン賞他、
 数々のノンフィクション賞を受賞しました。

「かたつむりィがァ、いちやくゥ!」
「ぐるぅーるがるる?」(←訳:メジャーな存在に?)

 生物観察記であり、闘病記。

 ワンコ&ニャンコ本好きな方々、
 明日からはカタツムリに注目です♪
 


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 ~ 珠玉のデミタス宇宙 ~

2015-03-07 21:41:29 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでースッ!
 またもォ、ぎょうれつゥ!」
「がるる!ぐるーるるがる!」(←訳:虎です!新オープンです!)

 こんにちは、ネーさです。
 昨年あたりからブームがいっそう加熱しているものといえば、
 コーヒー!ですね。
 今日も、有名なコーヒーチェーンの新店舗がオープンしたと
 大きく報道されていましたよ。
 そこで本日は、コーヒーにちなんだ展覧会情報を、どうぞ~♪

  



             ―― デミタス コスモス ――



 東京都中央区日本橋の三井記念美術館にて、
 会期は2015年2月7日~4月5日(月曜休館)、
 『宝石のきらめき★カップ&ソーサー』と副題が付されています。

「ほッほゥ~、おちゃわんッ、でスねッ!」
「ぐるるるっるがるる?」(←訳:デミタスって何だろ?)

  

 この展覧会には、
 『 DEMITASSE COSMOS - Glitter of jewery 』と外国語題名も付されていますが、
 『デミタスカップ』とはフランス語で
 半分のカップ(半量のカップ)を意味し、
 食後に濃い味わいのコーヒーを飲むための、
 小さなサイズの器です。

「うきゃッ♪ ちいさいッ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:手よりも小さい!)

  

 日本ではあまり馴染みがないかしら?
 でも、ヨーロッパや米国では
 コレクターさんが大勢いらして、
 貴重な物は大手オークション会社の売り立てにも出品され、
 高値で売買されているようです。

 18~20世紀のセーブル、マイセン、KPMベルリン、ドレスデン、
 ミントン、ロイヤルウースター、ロイヤアルクラウンダービー、
 コールポート、エミール・ガレなど、
 東京在住の鈴木康裕さん・登美子さん御夫妻が
 40年に渡って収集された約300点の名窯の名品は、
 本当に、宝石細工のようですね♪

「ううむゥ、こわくてェ、つかえェないィでス!」
「ぐるるがるぐるる!」(←訳:これはもう美術品!)

 コーヒーが贅沢品であった時代の美しい遺産――
 珈琲マニアさんにおすすめの展覧会です。
 日本橋へお出掛けの際は、ぜひ♪


 



    さてとー、週末のオマケ画像もここで!
   
   『森永製菓』さんの
   《ステラおばさんの木苺のショコラケーキ》♪
   「こッちもォ、ちいさいィ!」
   「がるぐーる!」(←訳:ちびケーキ!)
   小さくても美味しいショコラお菓子でした。
   真冬が戻ってきたような寒さですので、
   皆さま、しっかり食べて、着込んで、
   穏やかな休日を!
  
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“幸”の幸吉くん。

2015-03-06 21:48:51 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えッとォ~、きょうはァ、まんげつゥ??」
「がるる!ぐるぅ~!」(←訳:虎です!どこぉ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 雲の具合か、いまはちょっと姿が見えないお月さま……
 では、本日の読書タイムも“見えないもの”をテーマにしてみましょうか。
 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



           ―― お江戸、にゃんころり ――



 著者は高橋由太(たかはし・ゆた)さん、2014年12月に発行されました。
 『神田もののけ猫語り』と副題が付されたこの御本は
 江戸を舞台にした《お江戸》シリーズの第三作、
 主な登場人物は、そのぅ~、
 妖猫とか~、
 妖狸とか~、
 死神とか~…

「ねことォ、たぬきとォ、しにがみィ??」
「ぐるるがるるるぐる?」(←訳:なんか読み憶えあり?)

 はて、どこやらで聞いたような組み合わせ?
 と思われたのも、ごもっともです。
 私ネーさが、2014年の年BEST BOOKとしておすすめしたアンソロジー
 『江戸猫ばなし』――

 この御本には、『江戸猫ばなし』の中でもとりわけ目立っていた短編作品
 高橋さん著『九回死んだ猫』が
 収録されているんですー!

「ネーさのォいちおしィ、でスねェ~」
「がるるるっるるぐるる~」(←訳:推しまくってたもんね~)

 ネコ好きさん&絵本『100万回生きたねこ』ファンの方々には
 何を措いても読んでいただきたい『九回死んだ猫』については、
 あらためてここで説明することはいたしますまい。
 
 代わりに、主な登場人物さんのひとり、
 死神さんに注目いたしましょう。

「あうううゥ! せなかがァぞくぞくゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:恐怖です!)

 いいえ、それがね、
 この死神さん、パッと見では、
 とても死神とは思われないんです。

 六、七歳の、子ども。
 人形のように整った顔立ち。
 着物は上等で、
 年に似合わぬ落ち着いた口振り。

 それでいて、死神。
 噂では、死ぬ直前にやって来る子どもがおり、
 “幸吉”と名乗るのだとか。
 そして……

 幸吉は死にゆく者の願いをひとつ、
 かなえてくれるそうな。

「……ねがいィ?」
「がるっる?」(←訳:願いって?)

 会いたいひとに会わせてあげるよ。

 小さな死神さんはそう言います。
 それがこの世に生きている人なら
 必ず、会わせてあげる――

「ふゥむむむゥ? それッてェ、なかなかァ~…」
「ぐるるがる~…」(←訳:一筋縄では~…)

 昔から、様々な文学作品に顔を出す
 死神さん、悪魔さん、妖怪悪鬼。
 近年の日本では、伊坂幸太郎さんの死神さんが有名ですね。

 伊坂さんの死神さんに対して、
 この御本の小さな死神さんは
 弱々しく、非力、とも感じられますが。

 やはり、死神は死神。
 人ならざるチカラを秘めています。
 
「ちッちゃいィのにィ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:約束は守ります!)

 小さな死神・幸吉くん。
 彼が死神になった背景は
 作品中にはぼんやり描かれているだけですが、
 私たち読み手をしんみりとさせます。

 江戸の昔には、よくあったこと。
 いえ、昔ではなく、
 ほんの数日前のことのような、その出来ごと。
 現在にもつながっている何か――

「じだいげきィだけどォ!」
「ぐるるがる!」(←訳:現代的です!)

 ジャンルとしては時代小説、なんですけど、
 この御本、チビっ子さんたちにも読んでほしいなぁと思うのです。
 本屋さんで、図書館で、
 皆さま、ぜひ探してみてくださいね♪
 


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~ 薔薇色の人生 ~

2015-03-05 21:47:02 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 おどるゥあほォよりィ~」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!読むアホウ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、そうです、
 本日の読書タイムのテーマは、ずばり、《阿呆》。
 何だソレ?と思った御方は、はい、こちらを、どうぞ~!

  



              ―― バンヴァードの阿房宮 ――



 著者はポール・コリンズさん、原著は2001年に、日本語版は2014年8月に発行されました。
 英語原題は『BANVARD'S FOLLY Thirteen Tales of People Who Didn't Change the World』、
 『世界を変えなかった十三人』と日本語副題が付されています。

「ううゥ~んッ、かうぃそうゥ~…」
「ぐるがるるぐるるる……」(←訳:阿呆なんて呼ばれて……)

 世間から、アホやアイツ~!とか言われちゃってるひと。

 そうね、アホ(=阿呆=阿房)かもしれません。
 でも、最初から最後までアホなのか?
 そのひとの人生には、もしかしたら、
 栄光の瞬間、
 満場の歓声を浴びた輝かしいひとときが 
 あったのかもしれない――

 著者コリンズさんが蒐集し、
 この御本に描き込んだのは、
 そういった、

 《只者》じゃないけれど、
 《真の偉人》にはなれなかった人たち、です。

「うんめいのォ、いたすらッ?」
「がるぐっるー?」(←訳:アンラッキー?)

 何かが足りず、歴史の狭間に埋もれた彼らは、
 例えば、

 パノラマ画を利用した見世物の興行主だったり、

 台湾人を詐称したホラ吹き男だったり、

 空圧で動く地下鉄をNYに作ろう!と思いついた発明家さんだったり、

 シェイクスピアの墓を暴こうとした女性だったり。

「とんでもォないィでス!」
「ぐるる!」(←訳:愚行だ!)

 私ネーさがいっちばん笑ってしまったのは、
 『ロミオに障害を捧げて』という章で紹介された
 ロバート・コーツなる人物のお話。

 それは1809年2月9日のこと、
 英国のバース劇場で行われた『ロミオとジュリエット』に
 観客さんたちは度胆を抜かれたのでした。

「なななッなにィでスかッ、あれはッ?」
「がる~っ!」(←訳:うそ~っ!)

 スカイブルーのシルクの上着、
 赤いパンタロン、
 白いモスリンのベスト、
 チャールズ二世風の鬘とオペラハット(ダチョウの羽根つき)、
 パンタロンと靴のバックルには
 ダイヤモンドがきらきらきらっ、と。

 読んでいて、私ネーさ、メマイがしてきましたよ。
 これがロミオ?
 『白鳥の湖』の悪魔ロットバルトじゃないの?
 いえ、そのころ『白鳥の湖』はまだ上演されてませんけど。

「それにィしてもォ~…」
「ぐるがるるる~」(←訳:派手だよねえ~…)

 あまりにもあんまりなロミオを前にして、
 全観客は怒り狂って席を立った、のでしょうか?
 役者さんは舞台から引きずりおろされたのでしょうか?

 いえいえ、それが。

 結果を申し上げますと、客席は笑いと怒号の渦に包まれた、のです。

 呆然自失の者、
 大笑いして手をたたく者、
 引っ込め~と野次る者。
 これは喜劇的な悲劇なのか、
 悲劇的な喜劇なのか?
 劇場に響く、大喝采――

「……なんというゥかァ、そのゥ~」
「がるぐるる?」(←訳:英国らしい?)

 コーツさん演じる奇妙奇天烈なロミオは、
 悪評かつ好評。
 観たい!という要望が殺到します。

 はたして、ロンドンの演劇界でのコーツさん評は?
 彼を待つのは、栄光か、凋落か、
 それとも……?

「けつまつがァ、ふしぎィ!」
「ぐるるがるる……!」(←訳:もしやこの人……!)

 著者・コリンズさんによれば、

    《一世を風靡しながらその高みから失墜し、今は忘れ去られた13人》。

 けれど、こうして知ってみれば、
 忘れがたくもなる13人の挑戦者たち。
 ヘンテコで、
 問題ばかり起こす子どもみたいで、
 それが長所であり短所で。

「ぷふふッ、でスねッ!」
「がるがるっ!」(←訳:くすくすっ!)

 誰よりも“生を謳歌した”人びとの伝説を、
 活字マニアの皆さま、
 手に取ってみてくださいね。
 



 
 
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《見仏》2展!

2015-03-04 21:36:20 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでスッ!
 さくらッ、さいてるゥ??」
「がるる!ぐるるがるるー!」(←訳:虎です!あれは河津桜ー!)

 こんにちは、ネーさです。
 関東でも暖かい地域は河津桜がきれいに咲いているようですね。
 本日は、読書タイムをおサボリして、
 河津桜……ではなく、
 染井吉野の名所の展覧会情報を、どうぞ~♪

  


            ―― みちのくの仏像 ――


 東京・上野の東京国立博物館本館特別5室にて、
 会期は2015年1月14日~4月5日(月曜休館、ただし3/23と3/30は特別開館)、
 『東北6県を代表する仏像が集結!』なのだそうです♪

「じゅうようゥぶんかざいィ、とかッ!」
「ぐるがる!」(←訳:国宝とか!)

  

 東日本大震災から4年、
 仏像を通して東北の魅力にふれることで
 復興の一助になれば……という思いがこめられた特別展は、
 収益金の一部を被災した文化財の修復に役立てる予定です。

「なるほどォ~!」
「がるるぐる!」(←訳:いいぞ東北!)

 そして、同じ東京国立博物館の表慶館では、

  


             ―― インドの仏 ――


 会期は2015年3月17日~5月17日(月曜と5/7は休館、3/23、3/30、5/4は開館)、
 『仏教美術の源流』と副題が付されたこちらの企画展では、
 『アジア有数の規模、コルカタ・インド博物館からインド仏教美術の至宝が急遽来日!』
 ということですよ。

  

「いんどォでスかァ~♪」
「ぐるがる!」(←訳:石の像だ!)

 前回記事では日本の木造建築に関する書物を御紹介しました。
 ここでも、ああ、日本って木の国なんだなぁ、と
 しみじみ思い知らされますね。
 かたや石像、かたや木の仏像……。

「あッ! みうらじゅんさんッ!」
「がるるぐるるるがるる!」(←訳:いとうせいこうさんも!)

 かの『見仏』マスター、
 みうらじゅんさん、いとうせいこうさんが
 《インド仏像大使》に就任!
 御二方の監修によるグッズも販売される、ってスゴい~!

 さらに、グッズ付前売券にびっくり♪

 『《インドの仏》カレー引換券付チケット』¥1.800!
 『みうらさん&いとうさん監修ロータス・ピローカバー引換券付チケット』¥3.000!

「……かれーッ??」」
「……ぐるーがるー??」(←訳:……ピローカバー??)

 4月8日のお釈迦さまの誕生日=灌仏会(かんぶつえ)には、
 先着100名様にポストカードがプレゼントされます。
 見仏マニア諸氏は、ぜひお出掛けを。





    では、今回のオマケ画像も春っぽく!
   
    雑誌『SAVVY 4月号』の特集は
    《大阪神戸京都 喫茶店・カフェのモーニング》。
    「うきゃきゃッ♪おいしそゥ!」
    「がるるるー!」(←訳:朝ごはんー!)
    今春、関西方面に行ってみようかな~と思案中の
    旅好きさんにおすすめです♪




    
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無双のパズル。

2015-03-03 21:31:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 じぐそーぱずるはァ、にがてでスゥ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!ボクも苦手!)

 こんにちは、ネーさです。
 そうねー、私ネーさもクロスワードパズルは好きですが、
 ジグソーパズルはちょっと……。
 でも、今日の読書タイムでは、
 高難度ジグソーパズルも顔負け!な“作品”がテーマなんです。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



              ―― 日本木造遺産 ――



 著者は藤森照信(ふじもり・てるのぶ)さん、藤塚光政(ふじつか・みつまさ)さん、
 2014年12月に発行されました。
 『千年の建築を旅する』と副題が付されています。

 建築史家にして建築探偵、路上観察家の藤森さんと、
 写真家の藤塚さん。
 おふたりは、《最強ユニット》なのだそうですよ。

「さいきょうッ??」
「ぐるがる?」(←訳:腕力最強?)

 御本の見返しには、こう記されています。
 《建築界の最強ユニット》。

 『藤』組、とも名付けたい、
 そんな御二方が旅するのは、
 日本各地の木造建築23。

 なぜ木造建築か?
 御本冒頭の『まえがき』で、
 藤森さんがおっしゃるには――

    《石の建築ならイタリア、木の建築なら日本を見ればいい》

「ふむむゥ~? そうなのでスかァ?」
「がるるるっる!」(←訳:知らなかった!)

 イタリアの大理石の質の良さ、種類の多さは世界屈指。
 そして、
 日本列島ほど建築用の多様多種な木が生育した地域はないし、
 銘木という考え方が生まれた国もない。

 縄文時代の栗に始まり、
 楢(ナラ)、欅(ケヤキ)、紅葉(モミジ)、桜、樫(カシ)、
 檜(ヒノキ)、杉、松……
 
 そういった豊富な木材を使い、
 加工技術の精度を高め、
 何より、

    《建築を愛すること》

 それが日本の木の建築を世界屈指のレベルに到達させたのでした。

「うんうんッ! にほんじんはァ~」
「ぐるがるぐる!」(←訳:建築好きかも!)

 浄土寺の浄土堂、
 平等院鳳凰堂、
 旧金毘羅大芝居[金丸座]、
 厳島神社……

 誰もが納得する名作木造建築の中に、
 おや?と目をパチクリしてしまう奇々怪々な建物が、ひとつ。

「これはァ、なにィでスかッ?」
「がるるるる!」(←訳:ヘンテコだ!)

 福島県会津若松市の『会津さざえ堂』は、
 1796年に造立されたもので、
 正式名称『円通三匝堂(えんつうさんそうどう)』。

 
「……かたつむりィ?」
「……ぐるるる?」(←訳:……ヤドカリ?)

 ええ、そうなのよ!
 貝に似てるでしょ?

 実は、アタマでっかち風の外観の内側には、
 二重螺旋の階段が隠されています。

 木の階段を、上へ上へと進んでゆけば、
 あら不思議、
 いつのまにやら段を下ってる?

「どうなッてるのォ??」
「がるるる!」(←訳:四次元的!)

 数多のミステリ小説でも取り上げられている『さざえ堂』を、
 著者・藤森さんは次のように評します。

  《日本の伝統的な仏教建築の行き着いた果てに建つ最後のスタイル》
  《この先はもうない》

「おもしろすぎるゥでス~♪」
「ぐるーる♪」(←訳:ユニーク♪)

 木が在ったからこそ叶え得た、
 夢と妄想と技術の結晶が、
 この御本に詰まっています。
 『さざえ堂』を知っている御方もまだ知らない御方も、ぜひ。
 

 
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“幸福”な怪冒険。

2015-03-02 21:40:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むむゥ! またまたァ、あいつがァ!」
「がるる!ぐっるるるがる!」(←訳:虎です!やって来たです!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、アイツがまたまたやってきましたよ、
 二十の顔を持つというアイツが!
 ってなったら、あの子たちの出番ですね。
 さあ、活字マニアの皆さん、
 声を合わせて、高らかに~♪

  



             ―― 全員少年探偵団 ――



 著者は藤谷治(ふじたに・おさむ)さん、2014年12月に発行されました。
 《みんなの少年探偵団》とシリーズ題名が付されています。

 
「ぼくらはァ、しょうねんたんていィだんッ?」
「ぐるる??」(←訳:全員が??)

 江戸川乱歩さんの生誕120周年を記念しての
 《みんなの少年探偵団》シリーズ刊行――
 第一弾の5人の作家さんによるアンソロジー作品『みんなの少年探偵団』、
 また先日は
 小路幸也さん著の長編作品『少年探偵』を
 御紹介いたしました。

 そして、本日は、
 『みんなの少年探偵団』にも参加した藤谷治さんが
 長編作品を引っさげての登場です!

「やたッ! このォ、ふんいきィ!」
「がっるるるるっ!」(←訳:待ってましたっ!)

 小路さん版の少年探偵は、
 抒情性豊かな昭和の少年少女小説……な趣きがありました。
 表紙画も、少女雑誌のようだったわね。

 藤谷さん版の少年探偵は……
 おおお~♪
 榊原一樹(さかきばら・いっき)さんによるカバー絵と挿絵が、
 やってくれちゃってます!

「おどろおどろしィぞッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:怪事の兆候!)

 ……忍び寄る、霧。

 その日、東京に異変が発生しました。
 東京湾から濃い煙のような霧が押し寄せ、
 なんと東京中を覆ったのです。

 電車は動かず、
 車はライトを点けてノロノロ運転するのがやっと。
 小学校の通学路も、白い霧の海……。

「こッ、こわいィよォ!」
「がるるるぐる!」(←訳:歩くのも恐怖!)

 家が近い子どもたちは、
 なるべく一緒に帰ることになりました、が。

 ひとり、ふたり、と
 それぞれのお家の前で別れて、
 最後に残ったのは、
 吉田元基(よしだ・もとき)くん、ひとり。

「ひとりでェ、だいじょうぶゥ?」
「ぐるがるる!」(←訳:危険だよう!)

 御安心ください、
 吉田くん、お家に着きました!
 ドアを開けて入ろうとして、
 そのとき――

「うきゃァーッ!」
「がるーっ!」

 背後から迫る黒い人影。
 まるで、巨大なコウモリのような。
 はたして、吉田くんの安否は?

「こうなッたらァ、よばなくちゃッ!」
「ぐるるるっ!」(←訳:お約束のっ!)
「しょうねんたんていィ!」
「がるるるる!」(←訳:明智探偵も!)

 王道の《少年探偵団》路線?
 お約束だらけのパロディ?

 と思わせておいて、
 御本の終幕近くでは、著者・藤谷さん、
 すばらしい切れ味を見せてくださいます!
 本文231ページの或る文章に、
 きっと江戸川乱歩さんはニコリとして、
 よくやった!と賞讃を送ってくださることでしょう♪

「はくしゅッ!」
「ぐるるー!」(←訳:ブラボー!)

 幸福さえおぼえる読後感。

 本好きさんは、どうか、この一冊をお読み逃しなきよう。



コメント (2)
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