テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

4人と、洋館。

2015-09-20 21:48:07 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うおおッ!らぐびィー、すごいィィ!」
「がるる!ぐるがるるるる!」(←訳:虎です!金星おめでとう!)

 こんにちは、ネーさです。
 強敵をブチ負かし、突然注目を集めることとなったラグビーのW杯……
 ロードレースの3大ツールが終わって気落ちしていましたが、
 これはステキだわね!
 にわかファンとなって応援にいそしむぞ!と拍手を送りながら、
 さあ、連休ド真ん中の本日も
 読書タイムを、どうぞ~♪

  



            ―― あの家に暮らす四人の女 ――



 著者は三浦しをん さん、2015年7月に発行されました。
 《谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品》と銘打たれ、
 著者・三浦さん御自身も
 《細雪へのオマージュ》と述べておられる長編小説です。

「ことしはァ、めもりあるいやーなのでスよゥ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:130と50!)

 文豪・谷崎潤一郎さんの生誕130周年にして没後50年。
 『細雪』を意識して書かれた作品。

 となれば、
 三浦さんの人気作《まほろ駅前多田便利軒》シリーズや、
 『風が強く吹いている』『政と源』のように、
 男性たちがメインキャスト、ということはありません。

 主役は、女性。

 杉並区の住宅地、
 善福寺川にほど近い洋館に暮らす
 四人の女性の物語、なんです、よね……。

「ええッとォ、どこかがァ~」
「がるっ??」(←訳:違うっ??)

 刺繍作家の、牧田佐知(まきた・さち)さん。
 佐知さんおお母さん、鶴代(つるよ)さん。
 牧田家に下宿している
 谷山雪乃(たにやま・ゆきの)さん、
 上野多恵美(うえの・たえみ)さん。

 4人で楽しい下宿生活?
 少女マンガの設定みたいね~と
 思われる御方もいらっしゃるでしょうが、
 その予想は、ちょこっと当たっています。

「よにんともォ~ちょッとォ~ふしぎィ~!」
「ぐるがるぐるるるる?」(←訳:ギスギスしてないね?)

 個性の強い女性が4人もひとつ屋根の下に暮らしていれば、
 衝突したりいがみ合ったり、
 ネガティブな感情が激突しかねない……?

 いえいえ、そんなことないのです。

 ここは、《しをんワールド》!
 谷崎さんが創造した世界をリスペクトしつつも、
 三浦さんオリジナルの華やかな花園が造成されています。

「きれいなァ、おうちはァ~…」
「がるがるぐるぐる?」(←訳:あちこちボロボロ?)
「あやしのォ、ひとかげッ!」
「がるーるーる!」(←訳:ストーカーだ!)

 そして、4人の女性を引き立てるように
 登場する男性たち――
 
 この男性たちが、
 出番は少なくとも
 存在感キョーレツです!
 
 もしや、この脇役男性陣の方が主人公なんじゃ……?と
 勘ぐってしまうくらいに。

「わきやくにはァ、もッたいないィ!」
「ぐるがるるぐるるるがるぅ!」(←訳:いや皆もう脇役以上でしょ!)

 ミステリ作品ではありませんのですけれど、
 筋書きもキモもオチも
 読み手の皆さまに発見していただきたいので、
 例によってこの先はヒミツです。

 東京の、杉並区の地理に詳しい方々には
 楽しさ&面白さもいっそう増す現代版『細雪』、
 全活字マニアさんに、おすすめですよ~♪

「ぞくへんッ、ないィでスかッ??」
「がるぐるるるぅ!」(←訳:期待してますぅ!)
 
 
 
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マエストロ、降臨!

2015-09-19 21:28:02 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ごーるでんよりもォ、しるばーッ!」
「がるる!ぐっるるがるる!」(←訳:虎です!けっこう長いぞ!)

 こんにちは、ネーさです。
 秋の特大連休がやってきて、新幹線は混みあい、
 東京ゲームショウは長蛇の列、ですって?
 そうよね、せっかくのお休みなんですもの、
 読書はひと休みすることにして、
 本日は、展覧会情報を、どうぞ~♪

  



             ―― 伊豆の長八 ――



 東京・武蔵野市の武蔵野市立吉祥寺美術館にて、
 会期は2015年9月5日~10月18日(9/30は休館)、
 『生誕200年記念 ――幕末・明治の空前絶後の鏝絵師』と副題が付されています。

「こてッ??」
「ぐっる?」(←訳:鏝って?)

 鏝(こて)というのは、
 左官(さかん)職人さんが使う
 パレットナイフに似た道具のことなんですよ。

  

 “伊豆の長八”こと入江長八(いりえ・ちょうはち)さん(1818~1889)は、
 日本中の左官職人さんたちから
 神さまとして仰がれている御方です。

 ちょうど、大工さんたちにとって
 左甚五郎さんが偉大なるレジェンドであるのと、同じように。

「これはァ、みんなァ~…」
「がるぐっるる?」(←訳:鏝で作ったの?)

  

 愛用の鏝を手に、、
 漆喰(しっくい)壁の上に浮彫りし、
 彩色を施して、
 目にもあやな《鏝絵(こてえ)》を
 造り出した長八さん。

 現存する長八さんの作品の多くは、
 伊豆・松崎町の『伊豆の長八美術館』に収蔵されていますが、
 この展覧会では、
 貴重な鏝絵と漆喰細工50点が展示されます。

「えどじだいィ、のようでもありィ~」
「ぐるるるるがるるる~」(←訳:明治のようでもあり~)
「ふぁんたじッくゥ!」

 入館料はおひとり¥100と嬉しいプチプライス、
 美術館の立地は吉祥寺駅から徒歩3分の繁華街ですから、
 観賞後はお買い物や街散歩、
 井の頭公園を訪れての~んびり♪するのも良いですね。

 東京近郊にお住まいのアート好きさんは、ぜひ!
 



    で、今日のオマケ画像は……。
   
   「あまぐもォ、ばいばァ~いッ!」
   「がるるぐるぐる!(←訳:連休は好天模様!)
   皆さま、どうか穏やかな休日を♪



   
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本家への挑戦!

2015-09-18 21:43:43 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスッ!
 ほわわわァ~♪ よいィかおりィ~♪」
「がるる!ぐるるるぅ!」(←訳:虎です!金木犀だぁ!)

 こんにちは、ネーさです。
 金木犀の花の香りにうっとり~♪な本日の読書タイムは、
 前回記事の流れに乗って、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~!

  



              ―― 炎の塔 ――



 著者は五十嵐貴久(いがらし・たかひさ)さん、2015年7月に発行されました。
 『The Tower of Flame』と英語題名が付されています。

 前回記事で御紹介したのは、
 スティーブン・キングさん著『ミザリー』を彷彿とさせる
 サイモン・ベケットさん著『出口のない農場』でした。
 対して今回は……

「えいがァ、でスねッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:伝説の名作!)

 ええ、そうなのよね。
 
 映画『タワーリング・インフェルノ』、1974年制作作品。

 著者・五十嵐さんは、御本巻末の『後書きと謝辞』ではっきりと
 以下のように述べておられます。

   いうまでもないことですが、
   本書は映画『タワーリング・インフェルノ』にインスパイアされて
   執筆されております。

「ならばァ、てーまはァ~…」
「がるぐるっる?」(←訳:火災パニック?)

 『タワーリング・インフェルノ』については、
 私ネーさ、申し訳ないんですけど、
 公開時にリアルタイムでは観ていなくて、
 TV放送の折に拝見した記憶があります。
 スティーブ・マックイーンさん、ポール・ニューマンさん、
 ネーさの大好きなフレッド・アステアさんも出演していて、
 パニック映画ブームのさきがけともされる傑作は、
 現在のハリウッド映画にも影響を与える金字塔です。

 高層ビルで火災が発生したら、どうなるか。

 その主題を引き継いで、
 物語を現代の日本を舞台に置き換えてみると……

「またまたァ、ぱにッくゥ??」
「ぐるるるるる!」(←訳:吹き上がる炎!)

 東京の一等地、銀座。
 そこに、いままさに新ビルが完成、
 華やかにオープン式典が行われようとしています。

 高さ450メートル、
 総工費三千億円の、
 日本一の超高層ビル《ファルコンタワー》。

 横浜のランドマークタワーよりも、
 スカイツリーよりも高い!というビルですから、
 もちろん、期待も高いわけなのよね。

「ふァいッ! おしゃれェ、でス!」
「がるるるぐるる!」(←訳:お出掛けしたい!)

 世界一安全なタワー、と喧伝されている《ファルコンタワー》。
 タワー内で開催されている博物展や、
 お買い物を目当てにお出掛けするのもいいでしょう。

 何事も起こらない、のだとしたら。

「うきゃあァッ! つまりィ!」
「ぐるがるるるぅ!」(←訳:巻き込まれるぅ!)

 御本の表紙画を目にすれば、
 真新しいビルで何が起こるのか、
 説明するまでもありません。

 小さな火花が、大きな災害を招こうとしている――

「つうほうゥ、しなくちゃッ!」
「がるるるる!」(←訳:避難誘導を!)

 炎との闘い、人命を救う闘いを、
 著者・五十嵐さんは“映画的”手法を駆使して描きます。
 勝利するのは、火か、人か。

 エンタ度も高層ビル級の一気読み本、
 連休は読書だ!という活字マニアさんに
 おすすめの一冊です。
 本家『タワーリング・インフェルノ』を愛する映画マニアさんも、ぜひ!



   
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或る農場の、光と影と。

2015-09-17 21:44:42 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 よそうゥがいィのォ、ひきわけェ~?」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!あのバルサが!)

 こんにちは、ネーさです。
 昨季のCL王者バルサがグループステージでローマとドロー?
 どうしたメッシさんもネイマールくんも?と驚いた今日は、
 読書タイムでも驚いていただきましょうか♪
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



           ―― 出口のない農場 ――



 著者はサイモン・ベケットさん、原著は2014年に、
 日本語版は2015年7月に発行されました。
 英語原題は『STONE BRUISES』、
 近年SF作品の刊行が目立っているハヤカワポケミスですが、
 こちらは昔ながらのポケミスらしさ横溢の国外ミステリ作品ですよ。

「のうじょうのォ、おはなしィ、でスかァ~?」
「ふるるっ?がるる~…」(←訳:あれれっ?これは~…!)

 御本を手に取り、ヒョイと裏返してみれば、
 粗筋紹介の短い文章がありますね。
 それを読んで、炊いての活字マニアさんは、
 あらぁ?
 と思うかもしれません。

 フランスの、どこか田舎町。
 主人公のショーンさんは、
 森で罠に捕えられてしまいます。
 目覚めてみれば、そこは見知らぬ農場の、納屋の屋根裏。
 足を怪我した彼は、
 動きたくとも動けず……

「それはァ、きんぐさんッ??」
「がるぐるるがる?」(←訳:あの御話と同じ?)

 スティーブン・キングさん著『ミザリー』。

 映画化もされた有名な御本ですので、
 知っているわ!という活字&映像マニアさんも大勢おられますよね。
 怪我をして、
 囚われの身となった主人公が味わう恐怖と痛苦……

 この作品でも、そんな展開が?と
 不安な予感をおぼえてしまうのですが、

 ページを捲るうち、
 読み手の私たちはどんどん引き込まれてゆきます。

 『ミザリー』とはまったく異なる世界に。

「いなかのォ、のうじょうはァ、のんびりィ~♪」
「がるるぐるがるるるる?」(←訳:してるはずなんだけど?)

 文化大国フランスは、農業大国でもあります。
 農業家さんたちは影響力・発言力があり、
 誇りも高い。
 ゆえに、農場はどこも豊かで、明るくて、陰もなくて……
 ともゆかなくて。

 怪我人・ショーンさんが滞在することになった農場には、
 やはり、“なにか”が隠されているようです。
 それに、ショーンさん自身も
 “なにか”を抱え込んでいるような。

 農場の住人と、予期せぬ訪問者、
 それぞれが引きずる《闇》とは――

「じわじわァ~ッとォ」
「ぐるる!」(←訳:怖いぞ!)

 “目に見えない”恐怖、不安。

 集積した負の感情が織り成すストーリーを
 これ以上お喋りしてしまうのはルール違反になりますが、
 どうか、最後まで読み通してくださいね!
 終幕をじっくりと観取った後に感じられるものは、
 悲惨さや暗さよりも、むしろ――

「すとォーッぷゥ、でス!」
「がるぐるる!」(←訳:秘密ヒミツ!)

 はいはい、そうですね。
 読む前も後もヒミツだらけのエンタな快作(怪作?)ミステリ、
 ぜひ、一読を♪



 
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なつかし?の、あの表紙画が!

2015-09-16 21:43:52 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむッ? ネーさがァ、きょどうふしんッ??」
「がるる!ぐるるがるるぐるがる!」(←訳:虎です!朝から様子がヘンだよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ほ~ほっほっほ♪(←高笑い)
 やりましたわ!
 チャンピオンズリーグ・グループステージ第1節で
 私ネーさの応援するユヴェントスはマンチェスター・Cに逆転勝利!
 守護神ジジさんに大拍手を贈りつつ、
 本日は、読書をパスして展覧会情報を、どうぞ~♪♪

  



          ―― 及川正通 特大号 展 ――



 愛知県刈谷市の刈谷市美術館にて、
 会期は2015年9月19日~11月8日
 (月曜休館、ただし9/21と10/12は開館し、9/24、10/13、11/4は休館)、
 愛知県で、とはまた、関東圏からはずーんと遠いんですけれども……

「ぴあッ、でスかァ~♪♪」
「ぐるがる!」(←訳:あの表紙!)

  

 2011年に、残念ながら休刊してしまった情報誌『ぴあ』。
 
 その表紙画を、1975年から描き続けてきた御方こそ、
 イラストレーターの及川正通さんです。

「ふァいィ~! たのしィ~いらすとォなのでス!」
「がるるるぐるーるるがる!」(←訳:名場面とスターさんたち!)

 映画マニアさんも
 音楽好きさんも
 アート好きさんも
 イベント好きさんも
 一度は読んだことがある『ぴあ』を象徴するのが、
 及川さんの画――

  

 この展覧会では、
 及川さんが御自身で選んだ『ぴあ』表紙画の代表作、
 『ぴあ』以前のお仕事のデパート広告、
 寺山修二さんが主宰したアングラ演劇のポスター、
 音楽雑誌の表紙となったミュージシャンのイラスト、
 『平凡パンチ』等男性誌に掲載した劇画、
 制作中の《ドリームマップ》シリーズの最新作初公開など、
 初期作品から近作まで
 及川さんの作品を幅広く紹介します。

「むふふゥ♪ ぴあがァ~」
「ぐ~っるるるぅ!」(←訳:い~っぱいだぁ!)

 9月19日には
 及川さんによるアーティスト・ギャラリートーク、
 10月10日にはトークイベント《対談 及川正通×つボイノリオ》、
 また、ワークショップや
 学芸員さんによるギャラリートークも予定されています。

 これはちょっと刈谷市周辺にお住まいの方々が
 羨ましくなっちゃう企画展ですわ……!

「ぜひィ、とうきょうでもォ~」
「がるぐるっ!」(←訳:開催してっ!)

 かつて本屋さんで『ぴあ』を手にして
 今週の映画評は?
 コンサートの前売券発売日はいつ?
 と、胸を高鳴らせた皆さまにおすすめの展覧会です。
 お近くの方々は、お出掛けしてみてくださいね♪
 
 

 


    ではここで、空腹時には危険なオマケ画像も。
   
   『不二家』さんの
   《カントリーマアム 焼き安納芋(あんのういも)》!
   「あきィでスねェ~♪」
   「ぐるがる!」(←訳:秋味全開!)
    今年の秋は猛スピードでやって来た、っていう感じです。
    既にインフルエンザが流行り出した?とも聞きますので、
    皆さま、服装に御用心を!

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松も、鈴も、そのお城に。

2015-09-15 21:45:19 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ろーどれーすのォ、つぎはァ~…」
「がるる!ぐっるがーるる!」(←訳:虎です!フットボールだ!)

 こんにちは、ネーさです。
 2015年のグランツールは終わってしまいましたが、
 欧州サッカーの頂点を目指す闘い=チャンピオンズリーグが始まりますよ。
 どのクラブが決勝の地ミラノへ駒を進めるのか?
 日本の片隅から見守りながら、
 本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



           ―― 江戸城のインテリア ――



 著者は小粥祐子(おがい・まさこ)さん、2015年8月に発行されました。
 『本丸御殿を歩く』と副題が付されています。

「わほゥ! ひさしうりィのォ、のんふぃくしょんッでスゥ!」
「ぐっるるがるる!」(←訳:がっちり学術系!)

 ええ、そうね、
 このところフィクション作品の御紹介が続いて、
 前回記事もエッセイ作品でしたから、
 ノンフィクション作品が新鮮に感じられます。

 どうですか、これ!
 お城の見取り図!
 CGによる復元図!
 
「おおォ? これがァ、えどじょうゥ??」
「がるるっるるるるぅ!」(←訳:こうなってたのかぁ!)

 小説、映画やコミックでも
 たびたび登場する江戸城……ですけれど、
 その実際の構造はどうなっていたのか、
 全体像は、というと、
 正直に申しまして《?》です。

 が、この御本では、冒頭の10ページにいきなり、
 『江戸城本丸平面図』が掲載されていて、

「ほほォ~、なるほどォ!」
「ぐるるるっる!」(←訳:知らなかった!)

 『江戸城のインテリア』とある題名からは、
 建物の内装、調度品などについて書かれた御本なのかな?と
 思いがち、ですよね。
 そんな予想を、著者・小粥さんは
 良い意味で裏切って下さいます♪

 本丸平面図だけではありません、
 玄関、大広間、書院、廊下の間取り図、
 オフィシャルな空間とプライベートな空間の違い、
 忠臣蔵の名場面?で知られる松之廊下、
 大奥を象徴する御鈴廊下、
 そして、将軍専用のおトイレ……。

「ふうむゥ~、おといれェ~…」
「がっるるる^!」(←訳:あったんだ~!)

 明暦の大火(1657年)で焼失した江戸城天守閣。
 対して、
 5回もの火事に見舞われながら、
 その度に再建されてきた本丸御殿。

 政治と生活、ふたつの機能を備え、
 国と時代を動かしていた場所と、
 そこを行き来する人々の思いは
 どう作用しあっていたのか――

 いまとなっては
 図面を頼りに想像するしかありませんが、
 小粥さんのガイドは
 読み手をちょっと奇妙で奇矯、
 豊穣と不安が同居する異空間へ誘います。

「なさそうでェ、ありそうなァ、ふしぎのォくにィ?」
「ぐるがるぐるるる?」(←訳:でももう無いよね?)

 時代小説&映画好きな方々、
 江戸文化大好きな御方にもおすすめですが、
 建築マニアさんも、
 失われたお城への旅を、ぜひ♪


 
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古くなきゃ、ダメなんです?

2015-09-14 21:50:40 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 まどりーどにィ、ごォーるゥッ!」
「がるる!ぐるるがるぐる!」(←訳:虎です!勝者はアルさん!)

 こんにちは、ネーさです。
 2015ブエルタ・ア・エスパーニャ最終ステージは21日間の闘いを終了、
 スペインの首都マドリードにて表彰台の天辺に立ったのは
 ファビオ・アルさん(国籍はイタリア、アスタナ所属)!

「おめでとうゥございまスゥ!」
「ぐるる~!」(←訳:大拍手~!)

 選手の皆さん、スタッフさんたちも、お疲れさまでした!
 さらに!
 金城幸也さん(ユーロップカー所属)は、
 日本人初の3大ツール完走者となりましたよ~♪

「こちらもォ、めでたやッ!」
「がるぐる!」(←訳:快挙です!)

 さあ、清々しい心地でを見届けた本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、どうぞ~♪

  



           ―― アンティークは語る ――



 著者はマーク・アラムさん、原著は2013年に、日本語版は2015年8月に発行されました。
 英語原題は『THE ANTIQUES MAGPIE』、
 英国アンティークの専門家である著者さんによる、
 《アンティーク》にまつわるエピソード&雑学の御本です。

「あんてぃーくゥ、すきでスゥ~♪」
「ぐるるがる!」(←訳:可愛いよね!)

 日本でも、もう珍しくなくなりましたね、
 西洋アンティークのお店が。
 それに、有名アンティーク店やマーケットのガイド本なども
 書店さんに並んでいます。

 けれど、どうもね、
 《骨董》という、妙に高級っぽい品物の伝統があるこの国では、
 本場?の英国やフランスで
 《アンティーク》がどんな風に扱われ、
 身の回りに取り込まれているか、
 いまひとつ実感できないのですが……

「このおじさんならァ、だいじょうぶゥでス!」
「がるぐるる!」(←訳:情熱底なし!)

 ええ、そうなのよね、
 以前はオークションの競売人のお仕事をしたこともあり、
 BBCの『アンティーク・ロードショー』の解説役も務める著者・アラムさん、
 アンティークに関する知識は
 “第一人者”の称号に相応しい広大無辺っぷり。

 この御本でも、語る語る、
 99話の《アンティーク》エピソードを、
 ネタに困るでもなく、さくさくっと。

 切手、宝石、人形……といった
 いかにもアンティークらしいものから、
 女王陛下のランジェリー(!)、
 博物館の起源、
 金属(??)、
 デスマスク、
 スター・ウォーズのグッズ、
 たった45ポンドで売買されたレオナルド・ダ・ヴィンチの真作、
 某独裁者の日記、
 そして日本刀まで。

「みィ~んなァ、あんてィーくゥ!」
「ぐるるがるる??」(←訳:何でもアリだ??)

 クリーニングには注意!
 アンティークの場合、
 下手にお掃除したりすると価値が損なわれちゃう!
 というお話にはニヤリとさせられますね。

 ブロンズは素人が磨いちゃダメ!
 コインも絶対に磨かない!
 絵画はそもそも暖炉やヒーターなどの近くに置かないこと!

「おていれはァ、せんもんかさんにィ~」
「がるるるぅ!」(←訳:任せましょ!)

 なるほど、
 日頃からアンティークに接して暮らしている人は
 こういう見方をしているんですね。
 日本のブリキ玩具についての文章もあり、
 これも、日本人とは感じ方・捉え方が違うなぁ、と
 頷いたり、微笑ましく思ったり。

「それにしてもォ~…」
「ぐるがるるる!」(←訳:話が尽きない!)

 永遠に尽きることのなさそうな、
 著者・アラムさんの楽しいお喋り、
 古いもの&可愛いものが大好きな方々におすすめです。
 マーケット巡りが趣味という御方も、
 ぜひ一読を~♪
 
 
 
 
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いつかは、きっと。

2015-09-13 21:50:19 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ううむッ! しょうぶゥ、あッたァ!なのでスゥ~」
「がるる!ぐるがっるるー!」(←訳:虎です!激戦だったねー!)

 こんにちは、ネーさです。
 2015ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージで動きがありました!
 単騎で100キロの大逃げ、
 エース&アシスト一丸となっての揺さぶり、
 登攀を利用した頭脳戦、
 ライバルと一時協定を結んでの共闘、と
 これがロードレースだ!な熱い内容の結果、
 イタリアのアル選手(アスタナ所属)が総合首位の座に!

「あしたがァ、さいしゅうびィ!」
「がるぐるがる!」(←訳:優勝ほぼ決定!)

 いえいえ、ゴールするまで気を緩めちゃいけませんよ。
 さあ、観戦の興奮冷めやらぬ私たちは、
 ここで読書タイムに突進いたしましょう。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



             ―― 長いお別れ ――



 著者は中島京子(なかじま・きょうこ)さん、2015年5月に発行されました。
 『長いお別れ』という題名からは
 あの有名なミステリを連想する方々も多いでしょうし、
 著者・中島さんもそれを意識しておられたのかもしれませんが、
 もちろん、まったく別の作品です。

 この御本は、とてもシリアスな小説……

 でありつつ、
 ただシリアスなだけ、真面目なだけではない、
 意欲的な家族小説、闘病小説、
 ユーモアのにじむ“観察”小説です。

「とうびょうゥ~??」
「ぐるるるがるるぐるる?」(←訳:どなたか御病気ですか?)

 東(ひがし)家で《おとうさん》といえば、
 それはもう、昇平(しょうへい)さんに決まっています。

 その昇平さんが、病気になってしまいました。

 病名は、アルツハイマー型認知症。

「あァ~、それッってェ~…」
「がるるぐる~…」(←訳:つらいです~…)

 もはや改めて説明する必要もないほど
 広く知られるようになった病気、
 そして、特効薬や、決定的な治療法がない病気。

 この物語は、病気に罹ってしまった昇平さんと、
 そして、昇平さんの家族を中心に進みます。

 妻の曜子(しょうこ)さん、
 長女の茉莉(まり)さん、次女の菜奈(なな)さん、
 三女の芙美(ふみ)さん、
 昇平さん曜子さん夫妻の孫にあたる子どもたち。

 ――と、こう書くと、
 一族総出の修羅場・愁嘆場で
 全編大混乱大騒ぎ、
 泣き言や愚痴の連続かと思われるでしょうが。

「あれれッ? これはァ?」
「ぐるる?」(←訳:意外に?)

 著者・中島さんは《病(やまい)》を
 敢えて飄々と、
 明るい陽光の下での寸劇のように描きます。

 家族間での喧嘩みたいなやりとりも、
 悲しい出来事も、
 淡々と。

「ふしぎなァ、ふんいきィ、でスねァ~…」
「がるぐるる~…」(←訳:暗くないね~…)

 最新の医学や科学のニュースを聞くにつけ、
 今後、人類は間違いなく不老不死の研究を突き詰め、
 やがては実現させてゆくのだろうと実感させられます。

 こういった《病》から逃れるために。

 病がもたらす悲しみを無くすために。

「でもォ、まだまだァ~…」
「ぐるるぅ~…」(←訳:遠いねぇ~…)

 いつかは、人類が忘れ去るであろう悲しみ。

 明朗で優しい筆致の、
 しかしやはり、
 読む進むのがつらくなることゼロとは言えない御本ではありますが、
 どうか皆さま、
 最後までしっかりと!
  
 こころに残るラストシーンが待っています。
 



 
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100年、ガンバりました。

2015-09-12 21:38:20 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ひゃあァ! もうすぐゥごーるゥでスゥ?」
「がるる!ぐるるるる!」(←訳:虎です!いつの間に!)

 こんにちは、ネーさです。
 台風や川の増水や水害のニュースでバタバタしたり落ち込んだりして
 ハッと気付いてみれば……あららっ、
 2015ブエルタ・ア・エスパーニャも終盤だわ!
 総合首位をオランダの新星ドゥムランさん(ジャイアント・アルペシン所属)が奪取、
 ベテラン勢の猛追をかわして優勝なるか?という
 大番狂わせな展開です。

「びッくりィなのでス!」
「ぐるがるるぐるるるるがっるるる!」(←訳:でも首位と2位の差はたった6秒!)

 たかが6秒されど6秒――
 緊迫の争いを見守りながら、
 本日は読書……をいつものようにサボって
 展覧会情報を、どうぞ~♪
 
  



           ―― 明治有田 超絶の美 ――



 神奈川県横浜市の そごう美術館にて、
 会期は2015年9月5日~10月4日(会期中は無休です)、
 『万博博覧会の時代』と副題が付されています。

「ひゃあァ! こまかィ!」
「がるるぐる!」(←訳:細密で精密!)

  

 明治時代の日本では、
 新政府の殖産興業政策によって、
 多様な《海外向け製品》が制作され、
 ウィーン、フィラデルフィア、パリなどの万国博覧会会場へ送り出され、
 欧米のアート好き諸氏の耳目を集めました。

「うむゥ! これはァ、うけそうゥでスねッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:東洋趣味だ!)

  

 この展覧会では
 万博に出品された作品をはじめ、
 初公開50点以上を含む約200点の貴重な有田焼が展示されます。

「ひゃくねんッ!
 がんばッてェ、のこりましたでス!」
「がるるるっるる~!」(←訳:割れなかったよ~!)

 そうねえ~…
 所有者さんたちが大切に保管してくれたとはいえ、
 割れたり壊れちゃったりしたら
 もうアトがないのが陶磁器――焼きものです。
 よくぞ今まで残っていてくれたわ!

  

 ここ数年、明治期の“超絶技巧”美術品&工芸品が
 非常に注目されていますが、加えて……
 
 ここで取り上げられている有田焼は
 肥前有田での磁器生産が始まって来年で400年!
 その長い歴史の中でも
 特に技術の粋を凝らすよう要請された時期に作られたものですから
 いわば折り紙つきの逸品、なんですね。

「いべんともォ、ありまス!」
「ぐるるるるる!」(←訳:プレゼントも!)

 明日9月13日には講演会、
 また、9月30日のそごう美術館30周年を記念して、
 9月26~27日には来館先着30名さんに美術館オリジナルグッズを、
 9月28日には抽選で30名さんに有田焼豆皿、
 9月29日は来館先着100名さんに次回展覧会のチケット、
 などのプレゼント企画も予定されています♪
 そして、9月30日の開館記念日は入場無料!

「それはァ、うれしいィ~ッ!」
「がっるーぐる!」(←訳:ラッキーだね!)

 詳細をHPで確認してから、
 ぜひ、お出かけを♪♪
 
 
 


   じゃ、今回はオマケ画像もフンパツしちゃいましょう!  
   
   「わきゃッ♪」
   
   「ぐるるっ♪」
   『ヤマザキナビスコ』さんの新作チップスターは、
   《紫いも》と
   《かぼちゃ》のお味ですね。
   「あざやかなァ、いろあいがァ~」
   「がる!」(←訳:新鮮!)
   「ぱくぱくゥいけまスゥ!」
   いろいろありすぎた一週間でしたが、
   明日は、どうか、
   穏やかな休日でありますように……。



   
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あの『ねこ』をめぐって。

2015-09-11 21:38:08 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 またァきょうもォ、ためいきィ~でスゥ~…」
「がるる!ぐるるるがるるるるる!」(←訳:虎です!八大竜王雨やめたまへ!)

 こんにちは、ネーさです。
 本日の読書タイムで御紹介いたしますのは、
 日本中の、何千何万、何百万もの人々の心を震わせ、
 悲しみの、喜びの、ときには希望の涙をさそった或る書物への
 トリビュート作品です。
 つらい日、苦しい日にこそ、
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



           ―― 100万分の1回のねこ ――



 著者は、収録順に(せーの!)、
 江國香織さん、岩瀬成子さん、くどうなおこさん、井上荒野さん、
 角田光代さん、町田康さん、今江祥智さん、唯野未歩子さん、山田詠美さん、
 綿矢りささん、川上弘美さん、広瀬弦さん、谷川俊太郎さん、
 2015年7月に発行されました。

「にゃんこォでス!」
「ぐるる!」(←訳:猫だね!)

 ええ、ネコ――
 それも日本で最も有名なネコちゃんであると
 断言してもいいかもしれませんね。

 御本の冒頭には次のような一文が掲げられています。

   ――絵本『100万回生きたねこ』と佐野洋子さんに愛をこめて

「やッぱりィ、あのにゃんこォ!」
「がるるるるぐるるる!」(←訳:100万回生きた彼!)

 不朽の名作、佐野洋子さん著『100万回生きたねこ』(1977年刊)。

 この御本は、人気の作家さん13人による
 13の作品が収録されています。

 100万回生きたという、
 あの『ねこ』の《生》のうちには、
 こんな物語もあるだろうか、
 こんな生き方もあったろうか、と
 作家さんたちが空想し、想像する、
 いわば、あの『ねこ』版アラビアンナイトでしょうか。

「かくひとォしだいィでェ~」
「ぐるがるるるる!」(←訳:猫も変わります!)

 とっぷばったーの江國香織さんが描くのは、
 『生きる気まんまんだった女の子の話』。

 『百万回生きたねこ』のストーリーをよく知る女の子は、
 “誰かをコッコロから好きになっちゃったりしたら身の破滅”であると
 肝に銘じて毎日を過ごしています。

 誰も好きじゃない、
 誰にも恋しない。

 だってあたし、生きる気まんまんなんですもの♪

「ふァ~…」
「がる~…」

 生きる気に満ち満ちた彼女は、
 はたして、どのような生涯をおくることになるのか……

「めまいィしそうにィ~」
「ぐるる!」(←訳:濃ゆい!)

 どの作家さんも、浅からぬ想いをあの『ねこ』に抱いています。
 詩、ファンタジー、お伽噺、回想、SF、と
 それぞれの100万回の1回は
 『ねこ』そのもののような多面性を見せますが。

 谷川俊太郎さんの作品『虎白カップル譚』は、
 あっさりと、あっけらかんと、
 それでいて他の何者をも寄せつけない筆力で
 『ねこ』の本質を語ります。

 佐野さんにとって、
 谷川さんにとっての、『ねこ』。

「ねことはァ、そもそもォ~」
「がるるるぐるるる!」(←訳:不思議な生きもの!)

 13の作品には、本文とは別に
 佐野さんを偲び、
 各作家さんが短かい文章を書き添えています。

 谷川さんが佐野さん(と『ねこ』)に向けて記した、
 たった3行の文は――

「これはァ、だめでスゥ!」
「ぐるるがるるるぅがる!」(←訳:ここでばらしちゃダメ!)

 『ねこ』とは、何か。
 誰であったのか。

 『100万回生きたねこ』を愛する皆さま、
 どうか、谷川さんのその文章は、
 御自身の目で。

 
 
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