喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『瞬~とき~』そのあと

2024-12-21 20:32:26 | 本・雑誌

『瞬~とき~』を一気に読み終えました。

「もくじ」がないなど編集に多少の瑕疵はありますが、わたしの年代の者は読まされます。

戦時中の父親との関係から書き起こし、幼少時代の思い出を細かく描写してゆく筆致が読む者の胸に染み入って来ます。

特にわたしは、戦後の情景とともに語られる体験が懐かしく、大いに共感。自分が忘れていた体験を思い出して涙が出る思いがしました。

その後、教員時代、校長時代の教え子のこと、教え子のその後のことなど、情深く書かれていて、胸温かくさせられます。

いい先生だったんですね。

そして、退職してからの人との交流。趣味の写真のことなど。これがまた興味深いです。

人への好奇心、寄り添い、半端ではありません。情が深いんですね。

特にドリアン助川さんへの思い。尊敬、憧憬、敬愛などいろんな思いが込められていてため息が出るほどです。

ただ、思いだけではなく、会わずにおれなくて「追っかけ」とも言えるような行動力。

それはわたしも体験?しています。

四月の信行寺さんでのドリさんとのコラボ朗読会に、彼女は東京から「行く」と言って来られたのでした。

もう定員に達していて締め切りましたと伝えても「忍び込みます」などとメールしてこられました。

結局は諦めてもらったのですが、その熱意に驚かされました。

この人は思い込んだら即行動に進む。82歳の今も。凄いエネルギーです。

後半は読んだ本についての感想文。というより、体験文といった感じ。著者への気持ちの寄り添いが強いんです。

問題意識を持って「私はなにをすればいい?」と義務感を強める場面も。責任感の強い人でもあります。

ただ最後は「猫のいる家」と題した長編詩。これがユーモアがあって、心温かく読み終えることが出来ました。

甲野さん、ありがとうございました。

あ、そうだ。私のことを書かれたページもあって驚きました。

わたしのことを「私より一歳上」と書いておられますが、ここは間違い。わたしの方が一歳下です。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『瞬~とき~』

2024-12-21 09:23:21 | 本・雑誌

新宿にお住いの甲野恵美さんからお贈りいただきました。

『瞬~とき~』。

「詩文集」とあります。

ご本人は「詩にはならない文章」と謙遜なさっています。

「詩みたいな文」という意味なのでしょうか?

たしかに行分け詩に近い文章が並んでいます。それが読み易いです。

読み始めてわたしは大いに共感しています。

というのも、彼女はわたしの一年だけ上の同世代。

彼女は東、わたしは西ではありますが、生きてきた時代が重なり体験が重なるのです。

このページ。

「冷蔵庫」。彼女は氷を買いに行ったと書いておられますが、わたしとこは、氷屋さんに毎日配達してもらってました。

表の道で、氷用の大きなノコギリで、ガリガリガリと氷の粉を散らしながら切って、しかし最後まで切らず少し残して、ノコギリの背でコンッと叩くとパカッときれいに割れました。一貫目だったか二貫目だったかを冷蔵庫に入れて下さっていました。

丁度24時間持つ大きさ。

そこに父が入れていたのはアップルジュース(安物のジュース)、ラムネなど。ビールは無かったと思います。

まあ主力は食品だったのでしょうが、子どもだったわたしが覚えているのはそんなもの。

次の「石蹴り…」も懐かしい。貸し本のことも書かれていますが、思い出すのはちょっと恥ずかしいこと。

借りた野球雑誌から好きな選手(阪神の吉田義男など)の写真を、バレないと思って切り抜いて大いに叱られたこと。

いやいや、懐かしい。次のページの「テレビ」も今の子供には考えられないようなエピソードがあります。

この後も読み進めるのが楽しみです。

訥々と、しかし細やかに書かれていて読み易いです。

ここには懐かしい時代がいっぱい詰まっています。セピア色の世界です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする