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ひきしお

2007年02月05日 11時59分45秒 | 洋画1971~1980年

 ◇ひきしお(1971年 フランス、イタリア 100分)

 原題/Melampo

 監督/マルコ・フェレーリ 音楽/フィリップ・サルド

 出演/カトリーヌ・ドヌーヴ マルチェロ・マストロヤンニ コリンヌ・マルシャン

 

 ◇エンニオ・フライアーノ『Melampo』より

 メッサーシュミット?

 とおもえるようなドイツ軍の戦闘機が、とうに使われなくなった滑走路に打ち捨てられている島。そこで世捨て人のような生活を送っている男。飛行機も男も、もはや、現代では通用せず、島にあるというだけの価値しかなくなっているんだけど、そこにまた恋に破れた女がやってくる。

 棄てられ、社会に復帰できるとはおもえない無用の飛行機と男と女。ただ、男は飛行機にも女にも興味はなく、可愛がっているのは飼い犬だけ。女は犬に嫉妬し、犬を溺死させ、みずから首輪をつけて、男に甘える。男の、棒を投げ、拾わせるという調教が始まり、やがては、女を飼い犬と認め、あたらしい生活が始まるんだけど、男の息子が島へやってくる。

 男の妻が男をまだ必要とし、自殺未遂をしでかしたから家へ帰ってくれと。

 男は、帰らなくちゃいけない。帰るが、女は男を追い掛け、牝犬になったまま男の袖をくわえ、島へ戻ろうという。妻はそんな女に嫉妬し、自分もまた牝犬になろうとするが、男は拒否、島へ帰る。けれど、陸との唯一の交通手段であるボートが嵐に流される。長雨と湿気に残っていた食糧は腐り、食べる物がなくなったとき、男と女はようやく島を出ようとするが、残された移動手段は戦闘機だけだった。

 ふたりは、賭けに出る。

 世の中がふたりをまだ必要としているなら飛行機は飛んでくれるにちがいない。だが、離陸することは叶わなかった。

 いったい、この単純な物語の主題は何なんだろう?

 わからない。

 わからないけど、抑えに抑えた撮影と演技から、へたをすれば陳腐なSMまがいの作品になりかねないところに、製作者たちの芸術的な感性があるんだろね。まあ、実際、当時のドヌーヴとマストロヤンニは同棲してるわけだし、首輪をつけて、四つん這いになってたかどうかは知らないけど、ドヌーヴはどういうわけか、異常な性愛がよく似合う。

 ただ、ドヌーヴの場合、それが卑猥にならないところが持って生まれた気品というものなんだろね。

 主題曲は、もはや古典。

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