◇異人たちとの夏(1988年 日本 108分)
監督/大林宣彦 音楽/篠崎正嗣
出演/風間杜夫 秋吉久美子 片岡鶴太郎 永島敏行 名取裕子 入江若葉 笹野高史
◇山田太一『異人たちとの夏』
違和感のある佳境だったわ。
夏のある日、死んでしまった家族が帰ってくるっていうのは、誰もが一度は空想したことのある話かもしれない。
脚本家の主人公がトラックと衝突して死んだ両親に遭うのはいいんだけど、ふたりは若いときのままなんだね。死んだときの年齢じゃないんだ~とおもったとき、ちょっとだけ違和感があった。死んで幽霊になったときって、その時点の年齢のままじゃないんだろうか?
自分がいちばんいい時代だっておもってるときの年齢になるんだろうか?
幽霊になってないからわからないけど、名取裕子の場合は、なんで、風間杜夫のところに化けて出てきたんだろう?
ていうか、わざわざ嘘をついてまでして現れる意味がちょっとわかんない。幽霊の恋って捉えればいいんだろうか?
風間杜夫が徐々に衰弱していくのも入れると、これってつまり、牡丹燈籠なのね。とはいえ、名取裕子がなんだかやけに可愛くおもえるのは、なんでだろ?
ちょっと頭がおかしいんじゃないかっておもいつつも、こんなふうに美人が訪ねてこないからな~って憧れる登場の仕方のせいだろか?
濡れ場が妙に色っぽく感じられるのは、なんでだろ?
鶴太郎がとっても良い感じに見えるのもそうで、なんでだろ?
演出が上手く嵌まってるってことなのかな…。それとも、脚本が上手だってことなのかな。ともかく、夏の暑い最中の陽炎のような話はとてもいい感じに進んでくんだけど、なのに、なんでまた佳境になってホラー映画みたいな展開になるんだろね?
それが美しく物悲しい怪談話ならともかく、B級ホラーもため息ついちゃうような特撮シーンは勘弁してほしいかなと。
クライマックスだけ撮り直してくれないかしら?
でもまあ、そんなふうにおもわせる映画に仕上がってるってことだよね。