☆友だちのうちはどこ?(1987年 イラン 85分)
原題/KHANE-YE DOUST KODJAST?
英題/Where Is the Friend's Home?
監督・脚本・編集/アッバス・キアロスタミ 音楽/アミン・アラ・ハッサン
出演/ババク・アハマッドプール ホダバフシュ・デファイ イラン・オリタ
☆イラン北部
そのコケール村とポシュテ村。
これといった筋立てはない。コケールに住んでいるババク・アハマッドプールが友達のノートをもって家に帰ってしまったんだけど、その友達は、今日も宿題を別の紙にやってしまい、先生から「今度、別な紙に書いたら退学だ」と脅されていた。
ババクは、困った。で、友達のためにとなり村のポシュテまでノートを持っていこうとするんだけど、肝心の友達の家がわからない。結局、なんだかんだとあったりなかったりで、ノートは返してあげられず、ババクは友達のノートに彼が書いたように宿題を書いて提出する。先生は「よくできました」と友達を褒めてやる。っていうだけの、なんとも単純にして明解な話だ。
けど、すんごくおもしろかった。
淡々とした進行、地味ながら落ち着いた画面、余裕たっぷりの静かな音楽。
どれをとっても派手さはなく、リアリティに包まれている。
ちなみに、テレビのバラエティで「はじめてのおつかい」は、昔から人気があるらしい。子どもの初々しさと純朴さがたまらなく可愛く見えるからだろう。それは、世界中、どこの国でも変わらない。たしかに、この映画のように、子どもの意思を伝えようとする場面で歯痒くなるところはあるけれども、それもまた幼さと純粋さ故のことで、自分がそれほど画面に食い入っているという証拠なんだろね。
それにしても、田舎の大人たちのなんと我儘で頑迷で無知で蒙昧で閉鎖的なこと。けど、それはなにもイランの田舎にかぎったことじゃない。世界中、おんなじだ。
暗愚な大人は少なくない。かれらは、誰もが子どもだったくせに、子どもの頃の素朴さや正直さをどこかに忘れてきて、いっぱしの口をきき、子どものいうことなんか本気で聞こうともしない。困ったもんだけどね。
あ、全然関係ない話なんだけど、イスラムの文化のひとつは窓の美しさで、この映画にも出てくる。でも、もうちょい映像で見せてくれたらもっとよかったかな~。あ、それと、友達の役をやったアハマッド・アハマッドプールは、ババク・アハマッドプールの実の弟なんだってね。