◇あなたに降る夢(1994年 アメリカ 101分)
原題/It Could Happen to You
監督/アンドリュー・バーグマン 音楽/カーター・バーウェル
出演/ニコラス・ケイジ ブリジット・フォンダ ロージー・ペレズ アイザック・ヘイズ
◇大人の御伽噺
宝くじが当たったら、どうなるんだろう?
当たりたいなら買うしかないんだけど、ぼくは、これまで宝くじというものをほとんど買ったことがない。
ただ「当たったらこんなふうに使うんだろな~」とかいう皮算用はちょっとだけある。でも、コーヒーショップでチップがなかったからって「この宝くじが当たってたら、半分、チップであげるよ」なんて口から出まかせみたいなことをいって、ほんとに当たっちゃったら、どうするだろう?
半分は、とても上げられないよ。だって、この映画での金額は400万ドルなんだもん。けどまあ、それを上げちゃうから映画になるわけで、それで、これまでうわべしか見えていなかった人の真実が見えてくるって話は、いやまあ、いかにも昔風の作りのお話なんだけど、こういう予定調和な映画も、たまにはいいものだ。
ただ、これってアメリカだから似合う話なのかもしれないね。
陽気で優しくて正直で、どこまでも善行を信じてる国民性は、ある時代、ある一部のアメリカ人にはまぎれもなくあったのかもしれない。ていうか、もしかしたら、いまだにこういう人々は、あの国にいるのかも。
だから、すんなり受け取れちゃうのかな?
麻薬と拳銃と暴力と戦争と暴行と裁判と離婚と利権と差別と貧困の坩堝っていう側面を持ちながら、それでも、こういう映画をさらりと撮ってしまえるってのは、なんとも不思議な国だ。
なんで、こういう物語を上手に展開させられるんだろ?
おもいきり嘘っぽい話を愉しませるコツを心得てるっていうか、もしかしたら、マニュアルがあるのかな?
ともおもうんだけど、たぶん、そのマニュアルは、これまでに数万本と作られてきた過去の作品なんだろね。