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蝶の舌

2007年06月05日 01時13分34秒 | 洋画1999年

 ☆蝶の舌(1999年 スペイン 99分)

 スペイン題/La lengua de las mariposas

 ガリシア題/A lingua das bolboretas

 監督/ホセ・ルイス・クエルダ 音楽/アレハンドロ・アメナーバル

 出演/マヌエル・ロサノ フェルナンド・フェルナン・ゴメス ウシア・ブランコ

 

 ☆マヌエル・リバス『?Que me queres, amor?』

 1936年、スペイン・ガリシア地方

 ティロノリンコっていうのは、オーストリア原産の鳥のことだ。

 こういう珍しい鳥の話をしてくれたり、蝶の舌について優しく教えてくれたりするだけじゃなく、実際に子供たちと山へ入って蝶を採ってくれる先生っていただろうか?

 子供たちが大好きになって、勉強することの愉しさを教えてくれた先生は、ぼくの小学校時代にいったい何人いたんだろう?

 数人の先生の顔は浮かんでくるんだけど、なかなかいない。

 もともと、ぼくは先生に殴られこそすれ、頭を撫でてもらったことは一度もないし、褒められたっていう記憶もほとんどない。70年安保の尻尾をひきずったガキンチョだったぼくにとって、思想だの主義だのとかいったことはなんにもわからないくせに、学校とか教師とかいうのは、はなから敵視するき存在だった。

 まったく困ったもので、この映画に出てくるような和気藹々とした生徒と教師のような思い出はない。

 いや、ほんと、まとまりの好い挿話だった。

 戦争と子供というのは、常に変わらぬ静かな感動を与え、同時に明確な主張を託す。そういうことからいうと、大好きだった『抵抗の詩』を彷彿とさせた。

 フランコに反対する共和派の老教師を、どちらかといえば無思想に近い自然派の存在としている所が、好い。ここで、いたずらに共和政治をめざしている闘士のようなところを見せると、それだけで「あ~」と、おもわずひいちゃうかもしれないもん。

「ティロノリンコ、蝶の舌」

 と、マヌエル・ロサノがフェルナンド・フェルナン・ゴメスに叫ぶところは、たぶん、映画史の中でも名場面のひとつに数えられるんじゃないかとおもうんだけど、あんまり語られないんだよな~。

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