◇豪姫(1992年 日本 142分)
監督/勅使河原宏 音楽/武満徹
出演/仲代達矢 宮沢りえ 三國連太郎 松本幸四郎 真野響子 井川比佐志 山本圭
◇富士正晴『たんぽぽの歌』より
1634年6月18日、豪姫、没。
うまく説明できないんだけど、語り口になんとなく違和感があった。
前作の『利休』と似た映像美は、たしかに感じられる。でも、どことなく物足りない。なんでかはわからないんだけどね。
背景も物語も激しくうねっている筈なのに、展開の仕方になにか勘違いがあったために失速したんだろうか?
豪姫がどんどんありきたりの女性になっていってしまうのが、ことに残念。
まあ、ぼくたちが戦国乱世の姫に憧れるのと、当時の姫の実際とはおおきく異なっているだろうし、そこに、原題的な味付けをしようとしても、人生そのものが決まっているから、なかなか難しいかもしれない。
でも、古田織部を「おじい」と呼んで慕っていたという設定は悪くないから、そのつながりからいえば、高山右近ともっと昵懇にして余計な人物をあてがわない方が好かったんじゃないじゃないだろか。
秀吉の養女として奔放に生きた青春時代を送ったんならなおさらのこと、きまじめの極致、宇喜多秀家との結婚を臍にして、少女から女へ変貌を遂げていくさまを、宮沢りえにはもっと演じてほしかった。
衣装も装飾も豪華なもので、なんにもいうことはないのに、なにかがちがうような気がするんだよな~。