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雨のなかの女

2007年06月08日 01時03分35秒 | 洋画1961~1970年

 ◇雨のなかの女(1969年 アメリカ 101分)

 原題/The Rain People

 監督・脚本/フランシス・フォード・コッポラ

 音楽/ロナルド・スタイン カーマイン・コッポラ

 出演/シャーリー・ナイト ジェームズ・カーン ロバート・デュヴァル マーヤ・ジメット

 

 ◇1969年、ロングアイランド

 The Rain Peopleだからって、雨ばかりの映画じゃない。かれらは、雨の中にいるんじゃなくて、雨で出来た人々って意味だ。

 で、この雨族ってのが誰なのかっていえば、フットボールの花形選手だったのに試合で負傷して脳障害になり、スポーツや勉強はおろかセックスまで不能になってしまい、雀の涙の金で学校を追い出され、悲しみにひたっている青年と、結婚して1年経ったんだけど、毎日がどうしようもなく不安で、身の置き所がなくなったところへ妊娠したということがわかり、ますます強迫観念が増し、突発的に家出をしてしまう新妻のことだ。

 その偶然でくわした2人が当時の流行でもあるオールロケのロード・ムービーの主役になるんだけど、都合18州でロケしたってのは、たいしたものだ。

 若き日のコッポラとルーカスの映画に対する真摯な態度がよく見えてくる。

 この旅立ちの頃、脳障害の青年ジェームズ・カーンは、フロントガラスに降る雨を見ながら新妻シャーリー・ナイトにこういうんだ。

「雨でできた人間は、涙を出すと流れてしまうんだ」

 う~ん、なんともセンチメンタル・ジャーニーの出だしにふさわしいじゃないか。

 しみじみしてて、ええ。

 後は、物語の基本に忠実なんだけど、この「涙を出す」のは、学校を放校になったときでも、訪ねて行った恋人にすげなくされたときでもない。

 ましてや、シャーリー・ナイトがジェームズ・カーンを誘って、セックスしようとするんだけど、インポテンツになっているのをまざまざとおもおしらされる誘った側と誘われた双方の惨めさでもない。 

 運の尽きたような警官ロバート・デュヴァルにトレーラーハウスに連れ込まれ、シャーリー・ナイトが犯されそうになって、ジェームズ・カーンが怒り狂った矢先のことなんだよね。

 丁寧な小品だった。

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