☆テルミン(1993年 アメリカ 83分)
原題/Theremin an Electronic Odyssey
製作・脚本・監督/スティーヴン・M・マーティン
音楽/デイヴィッド・グリーンウォルド
出演/レフ・セルゲイヴィッチ・テルミン クララ・ロックモア ロバート・モーグ
☆1920年、電子楽器テルミン登場
小学生の頃、東宝の怪獣映画やSF映画、テレビの特撮ドラマや怪談を観たりしたとき、かならずといっていいほど、特徴的な音楽が流れてた。ぼくは勝手に、大きな鋸をふにゃふにゃさせて、それを弦で弾いて奏でてるとおもいこんでた。けど、どうやら、すこしばかりちがったらしい。
ていうのも、その音楽の多くは電子楽器テルミンで演奏されたものだったみたいだから。
で、この映画は、そのテルミンを発明したソ連の物理学者のドキュメンタリだ。とはいえ、かたくるしいものではなくて、博士の見事な愛情、とでもいえるような作品に仕上がってる。
この天才科学者の名前は、レオン・テルミン。ソ連名は、レフ・セルゲーヴィッチ・テルミンね。
戦前、いったんは渡米したんだけど、第二次世界大戦の前夜にほとんど拉致同然でソ連に引き戻され、収容所に投獄されて、強制労働も経験したらしい。戦後は、秘密研究所に入れられて、西側諸国は死んだものとおもってたとか。まあ、そんなこんな、いろいろある人生なんだけど、チェロ奏者である事もテルミン博士の発明と愛情に一役買っているのかしら?
この作品が感動的なのは実際に生きた博士を撮影できた事もさることながら、編集の妙がとってもある。ドキュメンタリの場合、編集が如何に重要なものか教えてくれるよね。
電子楽器「テルミン」がどれだけ不思議な楽器かってことは、コンデンサ(蓄電装置)とアンテナ(2本あって、右上と左横にある)のことを、どれだけ説明しても文章だとよくわからないし、演奏の仕方も、左右の手を踊るように動かしていくんだけど、これもまた文章だとよくわからない。
映画は、便利だ。