◇女優マルキーズ(1997年 フランス、イタリア、スペイン 120分)
原題 Marquise
staff 監督/ヴェラ・ベルモン
製作/ヴェラ・ベルモン マルセル・ボーリュー
脚本/ジャン=フランソワ・ジョスラン ヴェラ・ベルモン
潤色・台詞/ヴェラ・ベルモン ジェラール・モルディヤ
撮影/ジャン=マリー・ドルージュ 美術/ジャンニ・クワランタ
衣装デザイン/オルガ・ベルルーティ 音楽/ジョルディ・サヴァール
cast ソフィ・マルソー ベルナール・ジロドー ランベール・ウィルソン
◇マルキーズ・デュ・ パルクの生涯
17世紀、喜劇作家モリエールと悲劇作家ラシーヌに愛され、もともとは一座の看板役者グロ・ ルネに見出された女優がいたなんてのは、もうそれだけで伝説になっちゃうくらいなんだろうけど、日本でいえば、ちょうど歌舞伎が成立するくらいな時代なんだろうか。やっぱり、そのあたりから、洋の東西を問わず、大衆演劇の歴史が始まるんだね。
マルキーズは踊りのちからはあっても演技が素人だったから、最初はどうしてもその美貌や肢体に目がいくし、それで人気が出るのは仕方のないことだ。けど、世の中、どこにどんな機会が巡ってくるのかわからないもので、マルキーズを見出したのは、時のルイ14世だったってんだから、正に伝説だ。なんだか出雲の阿国をおもいだしちゃうよね。
ただ、同時に、ぼくはソフィ・マルソー自身のこともおもっちゃう。
ソフィーは、ぼくのお気に入りのひとりなんだけど、『ラ・ブーム』でデビューしたとき、誰が『狂気の愛』とかに出るとおもっただろう。可愛いだけの女の子が、豊満な肉体を惜しげもなく晒して、つぎつぎに濡れ場を演じていく女優になるとおもっただろう。それがやがて、マルキーズを演じるまでになるんだから、もはや、堂々たるもんだ。
ただ、どうなんだろう。女優のプライドってのは、どれだけ男たちから愛されていながらも、付き人風情が自分の代役に立ってしまうことに、耐えられないように出来てるんだろか?でも、毒入りのチョコレートを呷るなんてのが、やっぱり女優だよね。