◎インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994年 アメリカ 124分)
原題 Interview With The Vampire
staff 原作・脚本/アン・ライス『夜明けのヴァンパイア』
監督/ニール・ジョーダン 撮影/フィリップ・ルースロ
美術/ダンテ・フェレッティ 特殊メイク/スタン・ウィンストン ミシェル・バーク
衣裳デザイン/サンディ・パウエル 音楽/エリオット・ゴールデンサル
cast ブラッド・ピット トム・クルーズ クリスチャン・スレイター アントニオ・バンデラス
◎クリスチャン・スレイターに捧ぐ
学生の頃、萩尾望都の漫画が好きで、中でも『ポーの一族』は大好きだった。この映画を観てておもいだしたのは、その一篇『メリーベルと銀のばら』だ。筋立ては異なるけど、印象はほとんど同じだった。ヴァンパイアたちが歴史の陰でひっそりと生きていたっていう発想は、どうやら、洋の東西を問わずに同じものらしい。死なないっていうことは人類の憧れでもあるけど、それはそのまま恐怖の対象になる。死ぬことも恐怖なら死なないことも恐怖だけど、ぼくだったら、たとえヴァンパイアになっても生きていたい。そんなふうに、誰もがヴァンパイアをとおして生死について考えがちだ。
ただ、この映画が封切られたとき、ぼくは勘違いしてて、全編を通してインタビューだらけのものにちがいないと思い込んでた。だから、クリスチャン・スレイターがもっと出てくるものと信じてた。でも、そうじゃなかった。早とちりもいいところだけど、ヴァンパイア諸君は、みんな、一見の価値があるくらい美しかった。まあ、欲をいえば、ラストのどんでん返しっていうか、お決まりの死人復活劇のために前後のインタビューが作られてるんだとしたら、なんだかな~っておもっちゃう。もうちょっとクリスチャン・スレイターに、ヴァンパイアの歴史と実在について深いところまで探ってほしかったかな~と。