◇蘇える金狼(1979年 日本 131分)
監督 村川透
◇やっぱり風吹ジュンだろ
村川透はその頃の東映関連の映画の多くがそうだったからかもしれないけど、青い映画を撮る人だっていう印象がある。その名前のとおり、透明感のある絵が得意で、とくに引きの絵はそんな印象だ。もっともそれはカメラマンの仙元誠三の特徴でもあるんだろうけどね。
そんな漠然とした印象はさておき、当時、松田優作は熱狂的なフアンがいて、大学のサークルでも後輩たちはこぞって映画を観に行ってた。ぼくは古臭い学生だったから往年の映画ばかり観ていて、松田優作の新作はかならず行くんだと息巻く感覚がほとんどなかった。とはいえ、当時の松田優作の影響は凄まじく、同時に村川透も仙元誠三も邦画好きな若者たちからは喝采を浴びてた。少なくとも僕のまわりはそうだった。
で、僕だが、風吹ジュンのことが好きな僕としては、この映画に関しては見ないわけにはいかない。ま、小林麻美も好きだったんだが、当時、彼女らはとにかくかっこよかった。松田優作を観たいんじゃなくて風吹ジュンを観たかったんだよね、きっと。
内容について語るのは野暮だし、松田優作の演技についてもいまさら書いたところで仕方がない。だって、僕なんかより遙かに松田優作のことが好きでたまらない人間はこの世の中にごまんといるし、そういう人が書いた方が好ましい文章になるからだ。
けど、そう、この映画は音楽が良かったんだよね。当時でも死後だけど、しびれるような主題歌だった。音楽はケーシー・ランキンだったんだけど、主題歌を歌ってたのはペドロ&カプリシャスの前野曜子だ。すげえ、かっこよかった。この歌を聴くと、なんとなく大学時代のあれやこれやが浮かんでくる。映画の内容や風吹ジュンよりももしかしたらこの歌がなにより懐かしいんだよね、実は。