京都新聞連載『春かずら』(澤田瞳子作)が終盤に差し掛かり、毎朝新聞が来るのが待ちどおしい。小さな藩で起きた盟友が父を殺め、仇として追っかける主人公が母の死去で、12年ぶりに藩に帰ってくる。意外な事実と展開に心躍るここ2週間であったが、藩の将来を考え、藩の生きる道を忠実に守る父や藩士、それが正しき道でないと知った友が殺めたのが原因であった。主人公と仇の少年、幼馴染が家老の後妻になり、その原因を追求するなど、江戸時代とはいえ、人間模様・生きざまに共感を覚える点が少なくなかった。13歳の少年でも侍の息子、実に礼儀正しき日本語を使うことにも、昨今の恫喝のパワハラ言葉を耳にするだけに、素晴らしき人物がこの日本にもいたんだと思い返している。