バスは超満員になっていた。私は「終点まであと少し… このまま乗降客なしで行けるかな?」と思っていたが、残念ながら「ピィー!」と降車ブザーが鳴ってしまった。
バス停に止まる時、前の方に立っていた女性が「前から降りていいですか?」と言ったので、私は前扉を開けた。幸い乗る人はなく、すぐに扉を閉めて発車… と思ったのだが、またすぐに扉が開いてしまった。
一番前で扉に背を向けて立っていた男性は「誰か乗ってきたのか?」という感じで振り返り… それと同時に再び扉が閉まり… すると男性は「誰もいないのか!」という感じで向き直り… それと同時に再び扉が開き… すると男性は「やっぱり誰か乗ってきたのか?」と振り返り… それを3回ほど繰り返していた。
多分、その男性の足が少しだけセンサー内臓ステップ(と言うのかな?)の上に乗っていて、ちょっとした体重移動で圧力がかかったりかからなかったりしているのだろうということは想像がついたのだが… その様子が“仔猫が自分の尻尾に驚いている”ように思えて可笑しかった。が、いつまでも見ているわけにいかなかったので、私は「もう少し中へ入って!」と手招きした。