朝、通勤通学の流れとは逆方向に走っていたら、終点の一つ手前のバス停に立っているおばさんを発見した。私は「多分、行き先の違う他のバスを待っているのだろう」と思いながらも、バスを止めて前扉を開けた。
すると、おばさんは「東○○へ行くには、何処行きのバスに乗ればいい?」と言ったのである。急に、別路線の「東○○(バス停)」と言われた私は即答できず、「え~っと…」と少し考えていた。数多い路線の中には、「東」の付くバス停がたくさんあり、「うっかり間違えないようにしなければ!」と思ったからである。
幸い、乗客がゼロになっていたし、後ろから他のバスも来ていなかったので、私は「落ち着いてゆっくり話そう」と思っていた。しかし、おばさんの方が早口で落ち着きがなく、私が何か言おうとする前に、次々と質問をされたりして…
私が頭の中を整理しながら、おばさんの質問を聞いていると… おばさんがチラッと車内を見たのに気が付いた。私が「まさか…」と思ったところで、おばさんも「まぁ、いいわ」と言ったので、私はバスを発車させた。
次の終点で、私が半信半疑のまま「ご乗車ありがとう~(後略)」と言いながらバスを止めて扉を開けると… 車内ミラーの死角から一人の女性が現れ、ダッシュで降りて行った… あちゃちゃ…