バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

お喋りが好きなんだから…

2010年11月18日 21時41分44秒 | バス運転士

昨夜8時頃、某住宅地で発車時刻待ちをしていた。そんな時間にそこから乗る人はとても少なく、乗客はゼロだった。そこへ、1分ほど前に到着したばかりのバスから、一人の女性と運転士が一緒にやって来た。

女性は、私のバスの行き先表示を見ながら「このバスは○○駅へ行くんですね」と言った。私が「はい」と答えると、運転士が「もう運賃はもらってあるから…」と言った。女性は「すいません、私がそそっかしくて… お世話になります」と言った。私は「なるほど、そういうことか!」と思った。

彼女は「もう、バスに乗ったのは久しぶりで… まだ、運賃が160円だったような…」と言ったので、私も思わず「戦前の話ですか!?」とツッコミを入れてしまった。そのせいかどうか… その後、バスが発車してからも会話は続いた。

その中で、彼女は二度三度と「(バスを乗り間違えたことについて)あ~、もう恥ずかしい」と言ったので、私は「バスの運転士が道を間違えることもあるくらいですから、お客様がバスを乗り間違えてもおかしくありませんよ」と言った。

それに対して、彼女は「運転士さんにそう言ってもらえると気が楽になります。それにしても… バスの運転士さんって、こんなによく喋るんですね」と言ったので、私は「いえいえ、他に一人でもお客様が乗ってこられたら黙って運転しますよ」と言った。

しばらく行くと、××停で二人の乗客が待っていた。私が「××停、止まります」と言うと、彼女は「あ~、残念!」と言って静かに… と思ったのも束の間、発車してすぐに彼女は運転席の横まで来て「△△停って、どのあたりになるんですか?」と質問してきたのである。私は普通に「☆☆まで行かずに… 橋のすぐ手前になります」と答えると、彼女は「そうですか。じゃあ、そこの方が近いかなぁ…」と言いながら席に戻った。

その次のバス停を通過したところで降車ブザーが鳴った。そして、私はいつものように普通に「ご乗車~(後略)~」と言いながらバスを止めて、先程の乗客二人を降ろしてから発車した。すると、彼女が「さすがですねぇ~」と言ったので、私が「ブレーキかな? ハンドル操作かな?」と思っていると… 「ちゃ~んと営業口調になってましたよ。私、笑いをこらえるのに必死でした」と言ったのである。私は「そんなに違っていましたかねぇ?」と言いながら、ただ苦笑いするしかなかった。

それから数分後には△△停に到着して、彼女は「どうもありがとうございました」と言いながら降りて行った… 私はいつも真面目そうな(怖そうな?)顔をして運転しているけれど、他の乗客がいない時に話し掛けられるとついつい… まぁ、たまにはこんな運行があってもいいでしょう!?