現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

一休さんの最期の言葉

2018-02-04 21:25:05 | 虚無僧日記

「一休さんの最期のことばは “死にとうない”だった」という

ような話がネットで横行しています。

「一休さんのようなえらい坊さんでも、死は怖かった? 私たちと

同じだ」というような、安堵感。これも悟りだというのでしょう。

ですが、「一休が最後に“死にとうない”」と言ったという原史料はありません。

強いていえば、

一休は 最晩年に、酬恩庵の庭先に 自分の墓(寿塔)を建てています。

愛する森女や弟子たちに「一休の死後も、一休はここにいる」という

メッセージぐらいは語ったかもしれません。

一休自身の筆になる『狂雲集』の中の詩から想定できるのは

「一休は未来永劫生き続け、弥勒となって人々を苦から救おう」という

メッセージです。つまり「死にとうない」ではなく、「一休は死なない。

未来永劫生き続ける」という方が、一休の最期の言葉です。

その言葉の通り、一休は没年から600年経った今日でも

人々の心の中に生き続け、ほっとするような安らぎを与えてくれています。

人々は「一休」に名を借りて、笑ったり、喜んだり、留飲を下げたりして

満足感を得ているではないですか。