現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

尺八の音に魅せられた外人

2019-09-10 22:45:27 | 筝尺八演奏家

「クリストファー遙盟」氏の著『尺八オデッセイ―
天の音色に魅せられて」(河出書房、2000年)に
こんなことが書いてありました。
 
彼はアメリカ、テキサス生まれ。1972年に来日。
山口五郎師に師事しつつ、1982年「東京芸術大学
大学院」を修了。

さて、その「東京芸大」に在学中、芸大の総長も
在席されたパーティで、彼は、その総長の所に
挨拶に行って「私は芸大の尺八課の学生です」と
名乗ったら、その総長曰く「芸大に尺八科なんて
有ったっけ?」と全く無視されたとのこと。
正しくは「邦楽科」の中の「尺八専攻」なのでしょう。
でも悲しいね。

そして もうひとつ。ある外交官の催すパーティに
呼ばれた時、事前に「尺八を演奏させて欲しい」と
申し入れておいた。当日、彼は紋付袴に威儀を正し、
出番を待ったが、全く無視。「いつ吹かせてもらえるか」と
聞いたら、みながワイワイ歓談しているさなか、
「その隅っこででも吹いていればいい」と。

そんな扱いなのです。日本では。


私の生徒の一人、アメリカ人の「パメラ・ロー」さん。
女性。来日して、半年で尺八をマスターし、帰国していった。
しばらくして手紙が届きました。

アメリカに帰って、日本の大使館員やらを大勢招待して
ホームパーティを開いた。その時、飾ってあった尺八を見て、
日本人は「何ですかコレ?」と。また「あぁ尺八。これは
難しいんだ。まず音が出ない」と薀蓄を傾ける人も。
そこでパメラは、やおら尺八をとって『春の海』を吹いた。
「オー、ノー」と日本人はビックリ仰天。

「日本人は“尺八は吹けない”と言うことを自慢します。
変ですね」と私に手紙をよこしてきました。 


私の尺八の師はアメリカ人

2019-09-10 22:43:33 | 筝尺八演奏家

東京オリンピックで日本のお家芸柔道がオランダのヘーシングに
敗れて以来、今や相撲界も外国勢に席捲されている。尺八もだ。

外国人で著名な尺八のプロは、ジョン海山ネプチューンを初め
10人以上いる。ネプチューンは尺八の可能性を広げてくれた。
尺八でジャズでも何でも自由自在に吹く。オリジナル曲を次々に
発表し、レコード部門で「芸術祭大賞」もとっている。今日の若手
尺八奏者に何らかの影響を与えている。
実は私の尺八の師は堀井小二朗と、もう一人ネプチューンなのだ。
私の尺八もネプチューンが作ったもので、パワーも音色も従来の
日本の物とは数段違う。

第100回古典本曲の全国大会が京都東福寺で行われた時、海外
からも10人くらいの参加者があった。半数が女性。黒の道衣に
黒の袴、日本人以上にまさに堂に入っている。演奏も驚いた。
同じメロディを全員一斉に吹くだけの日本人とは違って、6人
で三重奏、四重奏でハモッているではないか。皆唖然。

日本人は伝統に固執して、なかなか殻から抜け出られない。
気がつくと時代に取り残され、忘れられたニッポンとなっている。

こうして海外から新しい息吹を吹き込んでもらえると、尺八の
世界も広がり、もっと流行ると思うのだが。