枇杷の花
2013-02-04 | 植物
『植物雑学辞典』から
訪問するお宅の近くの家庭菜園に、
随分前から枇杷の花が咲いている。
調べたら、初冬から咲き始め、
3月には実もかなり膨らんでくるらしい。
去年までは、枇杷の花、
目に留まらなかった。
オレンジ色の実がたわわに生って初めて、
おいしそうだなって、関心を寄せてた。
今年は、
枇杷ってこんな寒い時期に花が咲くんだ。
実がなる木にしては早いな。
受粉する虫いるのかしらと、関心が向いた。
花の少ない時期だから
かえって色んな虫が寄ってくるらしい。
先日読んだ百年の手紙の最後に
堀辰雄への弔辞で室生犀星が出てきた。
その犀星が書いた「枇杷の花」という詩を見つけたのでご紹介。
蒼じろい枇杷の花が咲いてゐる
褐色のくたびれ過ぎた垣根に添うて
幽かで
遠慮ぶかく
いつもわたしどもの華麗な風景から
ひつそりとぬけ出し
糀(こうじ)のやうに寂しく咲いてゐる
何か話し忘れたやうな気がして
ふいと目にとまり
豆のやうに
つぶつぶに哀れな匂ひのあさい花だ
うつすりと冬日のなかで
ひと知れずあたためられ咲いてゐる花だ
誰の目にもはひらうとせず
そしておまへは陰影のある暗い枝の
枇杷の花である
それともう一つ、
同じ山口県出身の種田山頭火の句を。
「誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花」
(どんよりと曇った冬冷たい空に咲く枇杷の花。人が何となく恋しい気分。
「きごさい」ネット歳時記よりhttp://kigosai.sub.jp/kigo500b/345.html)