3年生が長い病院実習を終えて、
来年1月から実習が始まる2年生に、
学(まなび)を語ってもらいました。
ある学生が実習で受け持ちをさせていただいた、
Mさんへあてた手紙として語ってくれました。
私の声が聞こえますか?私が誰かわかりますか?
私はあなたに初めて会った日、名前を名乗りました。
あなたは返事をすることもなく、体を動かすこともなく、
目を開けることすらありませんでした。
ただ苦しそうに息をしているだけでした。
「それどころじゃない」といっているようでした。
体拭きはどうでしたか?タオルは熱くなかったですか?
冷たくなかったですか?
あなたのむくんだ手を見ることが、
あなたの乾燥した肌を見ることが辛かった。
手はグローブのように腫れあがり、足は棒のように細くなり、
皮膚はパリパリと音を立ててはがれ落ちる。
痛くなかったですか?辛くなかったですか?
あなたに快を感じて欲しくてしたことが、
不快になっていませんでしたか?
あなたの呼吸が苦しそうで、ゴロゴロと痰の音がして、
「苦しい」と聞こえたとき、私はあなたに吸引をしましたね。
私は技術を習得できたと喜んでいました。
あなたにとって、辛い技術だということを忘れて・・・・。
大きく反応しないあなたを前に、
仕方のないことだと決め付けていました。・・・・・ごめんなさい。
あなたにとって必要なことであっても、
もっとあなたの気持ちに寄り添うことが大切でした。
今日はあなたに呼ばれました。
私がすべて終わるのを待っていてくださったのですね。
どうしてわかったのですか?
その答えが今日という日で、今という時間だったのですか?
あなたは優しい方だったのですね。
人生の最後に私を呼んでくださって、お別れをさせてくださって。
うれしかったです。
でも、あなたの人生の最後に、
私という人間がそばにいてもよかったのですか?
私はただ、あなたを苦しめていただけではありませんか?
実習最終日、ちょうど記録を終えたところ、
受け持っていたMさんが亡くなったという連絡が入り、
お別れをさせてもらった学生。
傷つきやすい、ストレスに弱い学生達で、
身体症状がでて遅刻したり、
休んだりする学生が多かったけど、
気づきを深められた、
自分たちの心に響いた、実習ができたんだなと。
学生もそうだけど、
教員も看護教育にすごく熱心で情熱的!
そんな中、気力のわかない、冷めている、
情熱をそそげない私がいる・・・・・・・・・・・・・・