喫茶去

徒然に、日々の生活を書き留めたいと思います。喫茶去、まあ、お茶でも飲んで、のんびりしていって。

Mさんへ

2007-11-10 | ナースの卵

3年生が長い病院実習を終えて、
来年1月から実習が始まる2年生に、
学(まなび)を語ってもらいました。

ある学生が実習で受け持ちをさせていただいた、
Mさんへあてた手紙として語ってくれました。

私の声が聞こえますか?私が誰かわかりますか?
私はあなたに初めて会った日、名前を名乗りました。
あなたは返事をすることもなく、体を動かすこともなく、
目を開けることすらありませんでした。
ただ苦しそうに息をしているだけでした。
「それどころじゃない」といっているようでした。

体拭きはどうでしたか?タオルは熱くなかったですか?
冷たくなかったですか?
あなたのむくんだ手を見ることが、
あなたの乾燥した肌を見ることが辛かった。
手はグローブのように腫れあがり、足は棒のように細くなり、
皮膚はパリパリと音を立ててはがれ落ちる。

痛くなかったですか?辛くなかったですか?
あなたに快を感じて欲しくてしたことが、
不快になっていませんでしたか?

あなたの呼吸が苦しそうで、ゴロゴロと痰の音がして、
「苦しい」と聞こえたとき、私はあなたに吸引をしましたね。
私は技術を習得できたと喜んでいました。

あなたにとって、辛い技術だということを忘れて・・・・。
大きく反応しないあなたを前に、
仕方のないことだと決め付けていました。・・・・・ごめんなさい。
あなたにとって必要なことであっても、
もっとあなたの気持ちに寄り添うことが大切でした。

今日はあなたに呼ばれました。
私がすべて終わるのを待っていてくださったのですね。
どうしてわかったのですか?
その答えが今日という日で、今という時間だったのですか?

あなたは優しい方だったのですね。
人生の最後に私を呼んでくださって、お別れをさせてくださって。
うれしかったです。
でも、あなたの人生の最後に、
私という人間がそばにいてもよかったのですか?
私はただ、あなたを苦しめていただけではありませんか?

実習最終日、ちょうど記録を終えたところ、
受け持っていたMさんが亡くなったという連絡が入り、
お別れをさせてもらった学生。

傷つきやすい、ストレスに弱い学生達で、
身体症状がでて遅刻したり、
休んだりする学生が多かったけど、
気づきを深められた、
自分たちの心に響いた、実習ができたんだなと。

学生もそうだけど、
教員も看護教育にすごく熱心で情熱的!

そんな中、気力のわかない、冷めている、
情熱をそそげない私がいる・・・・・・・・・・・・・・

コメント (1)
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