グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

大島のヤドカリ達

2011年02月02日 | 海の生物
久し振りに専門のヤドカリを話題にしたいと思います。
ヤドカリというと、誰もが頭にその姿を思い浮かべる事が出来るでしょう。
貝に入ってはさみが出てて、脚が出てて。
こんな感じで絵にもかける位良く知っていると思います。

しかし、詳しく何処まで知ってるの?と聞かれれば、答えに詰まる方が殆どでしょう。
ヤドカリは、海にも川にも陸にもいるのか?
ヤドカリの脚は全部で何本なのか?
全部の種類が貝に入っているのか?など等
詳しくと言ってもこの程度の質問です。
「そう言われてみると~~」って感じでは無いでしょうか?
以前、カタツムリの時にも書きましたが、あまりにも身近に居すぎて関心すら持たれない生き物。
強いて言えばヤドカリはそんなカテゴリーに入る生き物なのです。

行く行くは「ヤドカリ図鑑」を世に出したいと思っている私にとっては、これは大問題。
あまりにもマニアックな生き物の様に思われがちだが
水中の他の生物に比べれば、かなり世に知られている生き物であるのも事実です。

今日は、このブログをお読みの皆様に、少しヤドカリの魅力に触れて頂こうと思います。
今回のテーマは、「美しいヤドカリ達」

色の綺麗なヤドカリは結構いるんです。
中でも「ゼブラヤドカリ」という仲間は非常に美しい色をしています。
大島では6種類のゼブラヤドカリが出現していますが
その内から3種ご紹介しましょう。

まずは、フルセゼブラヤドカリです。


大島では、非常に数の多い種で、この仲間の中では一番温帯域に適応しています。
なので、一年中見る事が出来るのです。

次にクレナイゼブラヤドカリ。

古い図鑑ではこれに「ゼブラホンヤドカリ」の名前が与えられている物もあります。
実に美しい色ですね~
実は、和名は私が考えさせて頂きました。実に思い入れの強いヤドカリです。

最後に、これが正真正銘、ゼブラホンヤドカリです。

何故、これだけ「~~~ホンヤドカリ」なのでしょう?
他のは全て「~~ゼブラヤドカリ」なのに・・・
それは、このヤドカリが発見された時には、「ゼブラヤドカリ属」はなく
「ホンヤドカリ属」だと思われていたからです。
そのまま名前が残っているのも、歴史を感じます。
この種は数も少なく、水深も深い所に生息しています。
因みに、この種が正しく載っている生態図鑑はありません。

何故、こんなに美しい色をしているのでしょう?
この仲間は、基本的には壁の亀裂の奥や、石の下に居ます。
水中では、明るい色は水に水に吸収され目立たなくなります。
しかし、それは光があたる場所の事、暗がりが好きなら別に派手じゃ無くても目立たないはず・・・
謎ばかりです。。。
種が細分化され進化して行く過程で、棲家を選んで来たのでしょう。
もしかしたら、過去にはもっと水深の深い場所で、この明るい体色を隠れ蓑にして生活していたのかもしれませんね。
それが、段々を生息場所を広げ、敵の多い浅場に来ると体色だけでは身を守れず
暗がりの隠れる様になった・・・

こんな感じで考えてみるのも非常に面白いものです。

今後も機会があったら、大島のヤドカリ達をご紹介して行きましょう。
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