グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

ばあたご様

2011年02月11日 | 歴史・文化
 大島南部でも夕方から雪が降り始めました。
北部や標高の高い所では、積もって道路の通行規制もあります。

 東京や横浜の積雪がTVニュースになってました。
関東周辺でまとまった雨量があるのは久しぶりです。
乾燥対策には、めぐみの水分です。

 九州、霧島連山の新燃岳(しんもえだけ:1421m)の
本格的噴火から半月がすぎました。
今日も午前中に爆発的噴火があったそうです。
大量の火山灰が降り積もったところに、
今日の雨で土石流や泥流が発生した可能性があるとか。

 まだ、明日以降も雨の予報がありますから要注意ですね。

 2000年に噴火した三宅島では、
1時間40~50ミリの雨量でも土石流が発生したそうです。
場合によっては数ミリの雨でも土石流や泥流は起こるそうで、
それが、何と6~7年後まで続いたそうですから・・・
大変なことですね。

 トップ画像は昨日午後、大島の外輪山、南西側にある「赤ダレ」
または「赤沢」と呼ばれている所を中腹から撮りました。

 赤ダレは、連なった外輪山が低くなった場所で、
昔、溶岩や火山灰が流れ下った所です。



 1777-78年に三原山が、安永の大噴火を起こしました。
大量の溶岩がカルデラの中や島の北東側に流れて、
現在の都立大島公園辺りまで達しました。

 その際、赤ダレから島の南西側にも溶岩が一筋流れました。
現在の都道一周道路の地層切断面近くまで流れ下ったそうです。

 この祠(ほこら↑)の場所は、下の間伏地区から登山道を登ると
赤ダレがよく見える、トップ画像の撮影地点です。
祠は赤ダレを背にして建っていますので、
ここでお祈りすると、赤ダレに向かって祈ることになります。
そして、赤ダレのその先には三原山の火口があります。



 この大岩↑は、土石流で流されて来たようです。

 この辺りは、三原山が噴火すると火山灰の降る量の多い地域です。
そのため過去に何度も土石流や泥流が発生したようです。
古地図などを見ても、この辺りから砂ノ浜海岸までの一帯が
砂漠のように描かれています。
現在の地図にも、下流の宮の沢橋の架かる谷を
「砂の川」と表記したものがあります。

 宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島連山の南西側に広がるシラス台地は、
火山灰が降り積もって出来ているそうですが、
厚い所では、その厚みが100メートルにもなるとか・・・。

 九州の雲仙・普賢岳の土石流では、1000軒近い家屋に被害がありました。
家ほどの大きさの岩石も押し流されるそうです。



 先程の大岩の東側へ回った所↑。まさに家ほどの大きさがあります。
古い時代の溶岩流の一部が土石流となって流れて来たもののようです。

 実は、先程の小さな祠がこの大岩の上にあります。
土石流や泥流の災害に対して祈りが捧げられたのかもしれませんし、
1950~51年の噴火の溶岩は、
カルデラ火口原に満ち溢れたと言いますから、
赤ダレから流れ下らないように祈祷した祠なのかもしれません。
コンクリート製ですから、その頃のものかも・・・。

 大岩を見ていて、溶岩樹形↓を2つ見つけました。
その1つです。ここも立派なジオサイトですね。



 間伏登山道を下る途中にあるのが、もう1つの祠「バアタゴ様↓」です。
道脇の小高い場所なので、晴れた日には沖の島々がよく見えます。

 そのため、祠の周辺には太平洋戦争中の塹壕跡が残っています。



 この小さな祠も山を背に建っています。
愛宕(あたご)神社は、元町の愛宕山の中腹にあって、
防火防災の神様です。

 頭に「ば」が付いて、どんな意味でしょう?


 最後に、もう1つ。

 
 安永の溶岩が流れ下った先端から、
400~500メートルの所にある鳥居です。
都道旧道沿いで、なぜか、鳥居しかありませんが・・・。
鳥居は、滑らかな石の上に立てられているような?

 近くには、ヤケドマリ(焼け止まり)や
ヤケダチ(焼け断ち)といった地名が残されています。

 神様への祈りが通じて、溶岩流と
灼熱の溶岩による火災が止まった場所なのではないでしょうか。


 ここも沖の島々が見渡せて、広がりが感じられる場所です。


 地球は宇宙のジオパーク。

  (なるせ)


今日の音楽♪
  竹内まりや『人生の扉』

    し・み・ま・す~
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする