グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

塩に強いもの、弱いもの。

2012年07月01日 | 植物
海岸沿いの道を走っていて、植物がずいぶん枯れているのに気がつきました。
先日の台風の影響にちがいありません。

オレンジ色が夏の日差しに似あうスカシユリは、まったく姿を消してしまいました。
海沿いに生えているので、塩害には強いのかと思ったクロマツも半分茶色くなっています。


驚いたのは、ハチジョウイタドリの枯れ方です。

ぜんぶ茶色…

あ~あ…。


例年なら今が一番元気なはずなのに、花を咲かせる前にほとんどの葉が落ちてしまいました。

噴火後の溶岩の上にいち早く芽生え、たくましく生きる姿からは想像できない光景です。
日照りや強風や栄養のない状態には強くても、塩分にはこんなに弱かったんですね…。

枯れているのはイタドリだけか、周りも調べてみました。

だ、誰?

完全ドライリーフ状態です。

どうやら、ヨモギのようです。


今がまさに花盛りのはずのテリハノイバラも、すごいことになっていました。

毎年たくさんの虫が訪れる、見応えのある白い花を咲かせていたのに…。

このほか枯れ方が激しかったのは、シチトウエビズル、テリハノブドウなどのブドウの仲間。

今年は海岸沿いのブドウの実は、味わえなさそうですね。

半ガレ状態が、ラセイタソウ。

海岸に多い植物なのに、なんで枯れてるの?

一方、枯れている植物たちとは正反対の、生き生き元気な植物たちもいます。

ボタンボウフウ。

さすが「長命草」という異名があるだけのことはあります。

マサキやトベラなど、テカテカで厚みのある葉を持つ低木たち。


台風の時は通行止めだった海岸沿いの道。
どこまで海水が、かかったのでしょうか?

芝がはがれたところには、塩の結晶ができていました。


なめてみたら、しょっぱかったです。

料理に使えそうな、立派な塩です!

このぐらいの塩分が体についたはずなのに、ソナレムグラは全然平気なようでした。


秋には一面に黄色の花を咲かせるイソギクも…

元気、元気!

芝生よりも山側の車道を挟んだ土手にも、塩の結晶がついていました。


蟻たちがせっせと働いていましたが、巣の中に海水は入らなかったのでしょうか?

土で蓋でもしていたのかなぁ?

こうやって植物をじっくり観察してみたら、どうやら“海岸でだけ生きている植物”は塩害に強くて、“ほかの環境(森や草地や溶岩上など)でも暮らしている、海岸に特化していない植物”は、塩に弱い…ということが言えそうな気がしました。

ネットで調べてみたら、塩害に強い植物は様々な特徴を持っているようです。
その特徴とは…

1、塩が体に入らないような仕組みがある
2、塩に耐えられるような体を持っている
3、入ってきた塩を外に出す仕組みがある

フムフムなるほど~。
海岸でしか暮らさない植物たちは、きっとこの仕組みを持っているのでしょうね。

そして今回枯れてしまった植物たちは、春に花を咲かせ秋には実だけ残して葉を落とすことで、なんとか生き残ってきたのではないでしょうか?

例年なら、陸が海水をかぶるような大型台風がくるのは秋。
動くことのできない植物たちにとって、異常気象は生死に直結するのですね。

そして、花の蜜や秋の実を食べていた虫たちは??
ああ、考えていたら頭がグルグルしてきました(笑)

この続きは次回の台風のときに考えることにして、今回はこれで終わります~。

(カナ)









コメント (6)
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