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日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

知識を得るだけでは・・・

2013-06-30 05:28:56 | 徒然

昨日、浜松で開催されていた「日本乳癌学会学術総会」の「患者向けセミナー」へ、出かけてきた。
「患者向けセミナー」は、今回初めての試みでこれまでは、専門医による学術総会のみだった。
セミナーとしては、とても充実した内容だったと思う。

乳がんに限らず、がん治療のポイントは「情報」と言われている。
その意味では「患者向けセミナー」での情報は、患者にとって新しい治療や治療の選択肢が増える。
患者として知っておく方が、治療の選択肢も増え自分にあった治療を知ることができる、数少ない機会といえる。

それに対して総会は、専門医を中心に最新の臨床情報などの発表が中心。
その学術総会に、患者が有料とは言え参加できた、というコトに違和感を感じたのだ。
患者が学術総会に参加してはいけない、と言うのでは無い。
違和感を感じたコトと言うのは、患者が学術総会で知った情報がどのような方法で、活用されているのか?と言う点で、疑問に感じたからだ。

学術総会のそれぞれの内容は、臨床の現場で活躍をされている専門医を対象にテーマ別に行われている。
この様な学術総会に参加する患者さんたちは、日頃乳がんに対して相当の勉強をしていらっしゃる方達だと思う。
何故なら、専門医と同じ内容を理解できるだけの知識が必要だからだ。
専門医であれば、常に臨床の現場にいるし、新しく得た知識を基に治療など臨床の現場で生かすことができる。
しかし、患者の場合得た知識を生かす現場というのは、「患者会」くらいだと思う。
「くらい」と言っては失礼だが、患者会でそれほど高度な知識を必要とするのだろうか?と、疑問に感じたのだ。

米国のがん患者会というのは、専門医並の知識を持ち活動をしていると聞いている。
しかしその活動内容は、日本とは全く違う。
患者会が大きな連合組織となって「治験」などの情報を患者会が会員に伝え、治験参加を呼びかけたり、ロビー活動のようなコトもしている。
時には、患者会が募金活動をし研究資金の資金提供まで行っている。

上述した通り、患者の集まりである「患者会」でも、がんについての様々な知識は必要だ。
必要だが必要とされている内容が、臨床の専門医レベルでは無いと思うのだ。
何より、様々な不安を抱えている患者や家族の心に寄り添い励ますためには、専門医とは違う視点が必要だと思うし、得た知識を説明したりするためには、専門医とは違う、患者の気持ちに寄り添った判りやすい言葉で伝える、と言う難しさがある。
学術総会で発表される高度な内容を説明をする、と言うのは専門医であっても相当大変だと思うと、「知識を得る」と言う意欲だけで終わっているのでは?と言う気がしたのだった。

何もこの様なコトは、医学学術総会だけのコトでは無いと思う。
ビジネスパーソンが、難しいセミナーに参加をしても得た知識をアウトプットできないまま、記憶の彼方にしまわれたままで終わっている・・・そんなコトは案外多いのでは?と、考えながら帰ってきたのだった