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入院生活から見えてきたこと

2024-10-17 20:13:18 | Weblog

実に2か月以上ぶりの更新となってしまった。
実は、8月に左足首骨折と右肩ヒビという、怪我をしてしまったため、更新ができずにいたのだ。
最初の1か月は「急性期病院」と呼ばれる、緊急手術や高度医療をする為の病院に入院。
後の1か月は、「リハビリ病院」と呼ばれる、日常生活に戻るためのリハビリを目的とした入院だった。

これまで怪我による入院とは縁が無かったので、あくまでもイメージとしてとらえていた「整形外科病棟」は、比較的年齢も若くスポーツや交通事故によるものがほとんどだと思いこんでいた。
しかし現実は、7~8割は高齢者で、入院の理由も「家庭内・高齢者施設内での転倒」がほとんどだった。
若年者の怪我による入院であれば、怪我をした時にパニックになるようなことはあっても、体そのものは元気で「怪我を治す」ということに対して前向きなのでは?と、想像できる。

しかし、高齢者となると認知機能の衰えから、入院しているということが十分に理解できず、一晩中大騒ぎをされる方も少なくない。
それだけではなく、ナースコールも頻繁する為、看護師さんの手が回らない、ということが起きてくる。
ナースコールそのものも、昼間よりも夜間が多い為、看護師さんの疲労は半端ないのでは?と、想像できるほどだった。
それは病院だけではなく、「高齢者施設」でも同じだろう。
というのも、「高齢者施設」から急性期病院に入院された患者さんの多くは、退院先の受けれは怪我をした高齢者施設だからだ。

急性期病院からリハビリ病院に転院すると、そこには急性期病院とは違う現実を知ることになる。
私のように、「怪我をして日常生活に戻るためのリハビリ」という、整形外科関係の入院患者は圧倒的に少ないのだ。
多くは内科の高齢者で、病気がある程度よくなったが、入院期間が長かったため筋力が低下の回復、脳卒中などの治療後の運動機能を回復させるための「リハビリ」という目的になってくる。

このような場合、「リハビリに対する動機付け」そのモノが難しくなる傾向があるようだ。
何故なら、病院に入院をしていれば上げ膳・据え膳で食事が提供され、トイレなども車いすで看護師さんが連れて行ってくれ、介助までしてくれる。
トイレに行けなくても、「看護管理」の為、看護師さんは嫌な顔一つせず、下の世話をしてくれる。
このような状況に陥ると、リハビリに対する動機付けが難しく、「自宅に帰られるように、リハビリをしましょう」と、作業療法士さんたちが積極的に声をかけても「今日は体が動かない。動きたくない」と、理由をつけリハビリを避けるようになる。
とはいえ、リハビリ病院もいつまでも入院できるわけではなく、最長90日という入院期間が決まっている(私のような怪我の場合は、60日)。

「リハビリ」に対する動機付けそのものは、患者本人の問題ではあるのだが、医療費などのことを考えると、決して軽くみられる問題ではない。
特に、皆保険制度の日本では社会保障費の中の医療負担の増大は、このような背景があるのでは?という気がしたのだ。
制度としてはよくできた皆保険制度だと実感できるのだが、どこかモヤとした気持ちもあるのだ。
今年に入り、盛んに「Well Being(よりよく生きる)」という言葉が聞かれるにようなってきたが、言葉だけが先行し内容が伴っていないような気がしている。
内容が伴っていない、というよりも現場の状況を知らない、といった方が良いのかもしれない。
そして医療サービスの充実を図るのであれば、経営的視点ではなく真のホスピタリティーという視点で考える必要があるのでは?と、感じた2か月間の入院生活だった。